― 「ところかまわずナスかじり」第244話 ホワイトボードに浮かび出た文字 ―

 私は教師である。
 
 ある日のことであった。
 私は一人、教室で授業の準備をしている最中であったが、ふと奇妙な気配を背後に感じ、振り返った。
 教室には私しかいなく、当然、振り返ってもホワイトボードがあるだけだった。

 私は講師であると同時にオカルティストでもある。
 こういった気配を感じた時には当然霊の存在が疑われた。

 私はその霊が邪悪なものではないことを祈りながらしばらくじっとしていた。
 気配は依然としてそこにあった。

 と、カラカラと微かな音がしたかと思うと、ホワイトボードマーカーが揺れているではないか!
 その揺れがだんだん激しくなってきたかと思うと、マーカーは突然宙に浮き始めた。
 そして、キャップがふわりと取れ、ホワイトボードにペンが何か書き出した。
 私の頭の中は真っ白であった。
 これまで気配を感じることはあっても、こんな現象を目の当たりにしたことはなかった。

 ペンがゆっくりとホワイトボード上を動いていき、やがて文字が出来上がった。

 ~ ぎゅうどん くいたい ~

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