ざわお

夢の日記をつけています。どうぞ。

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最近の記事

『眠い奴ほどよく眠る』第六夜

こんな夜中にナースコールが鳴ったらしい。 今、その病室に向かっている。だけど、みんな分かってる、そこに患者なんて居ないことは。 病室のドアを静かにスライドさせたが、やはり綺麗に片付けられたベッドがあるだけ。人の気配はない。消毒液の匂いが漂っている。 でも、間違いなく、この部屋からナースコールが押されたと、私の後ろをついて歩いてきた看護師は、ばつが悪そうに言った。 『また、これか…』 こんな事が時折ある。単なる怖い話だと思う関係者も多いが、そんな簡単な話ではない。

    • 『眠い奴ほどよく眠る』第五夜

      『もうダメ!!限界だ!!』 肩が痛くて、痛くて… 何をした訳でもないのに…泣けるぐらいに痛い…硬い… こんなにカチコチの肩で歩き回っているのは、僕か二宮金次郎だけじゃないかと思ったが、あちらは石像だからカチコチなだけか。 そんな事は、どうでも良い。 今まで、湯船に浸かれば何とか肩こりを誤魔化せてきた。でも、もう無理な所まで来てしまった。 肩が悲鳴をあげている。耳の近くだから、とてもうるさい。 人生で初めて、マッサージに行ってしまおうか。 でも、何だかお金がもっ

      • 『眠い奴ほどよく眠る』第四夜

        夕方の町を歩いている。兄と一緒に喋りながら、ダラダラと。愛犬の散歩をしているのだ。 どうでもいい世間話やら、この間観た映画の感想、今年の花粉はヤバイらしいとか。 しばらく歩いていると、向かいから真っ黒いワンピースを着た綺麗な女性が、大きく太った猫を連れて歩いてきた。 『見覚えがある気がするけど…誰だったかな…』 考えている間に女性との距離が段々縮まってくる。 答えも出ないまま、ついにすれ違ったその瞬間、フワッと風が流れた。涼しい爽やかな風じゃなく、ぬるくて汗ばむよう

        • 『眠い奴ほどよく眠る』第三夜

          これからしばらくは、このゾウの子どもと暮らす事になった。 僕が芸を教え込まなければいけない。責任ある役割だ。 芸を仕込む側と、それを披露する側、一心同体になっていく為にも僕は、ゾウと一緒に寝泊まりしていく事に決めた。 案内されたのは、木造の狭い狭い部屋。小さな窓が1つある。それ以外には、ベッドもイスも何も無い。 ゾウと僕が座ると、部屋は ほとんど埋まってしまった。 『まぁ、いいか。この環境で人と住むよりは良い。しかも相手は、アフリカゾウより遥かに小さいアジアゾウだし

        『眠い奴ほどよく眠る』第六夜

          『眠い奴ほどよく眠る』第二夜

          近所に小さな映画館がある。 昔は、沢山の人で賑わっていたのであろう、小さな小さな映画館。 昼間、そこの前を通った時に覗き込んで見るが、いつも、館長らしきおばあさんが一人、陽の当たる入り口に座り、まどろんでいるだけだ。 受付を離れているという事は、客が誰も来ないという訳だろう。 『当館で絶賛上映中!』と貼り出された映画ポスター。お客が居ないのに絶賛されている。誰にだ。。 『潰れてしまわないのだろうか?』と心配になる店が、たまにある。 ABCマートの向かいにある小汚い

          『眠い奴ほどよく眠る』第二夜

          『眠い奴ほどよく眠る』第一夜

          僕は、今、慌てて大学に向かってる! 今日、学校に行かないと単位を落としてしまう!しかも1つや2つじゃない、大ごとだ!母親に叩き起こされ、大急ぎで家を出たところ! 焦りながら学校へ向かっていると、誰かが後ろから僕の肩を叩き、「頑張ってますね。」と言った。 その落ち着いた声のする方を見ると、僕よりも背の大きい、丸々としたネコがコートを着て、こちらを見下ろし、ニコリと笑っている。 『ああ、ネコがコートを着てる。そう言えば、冬か。』冬にしては暖かい日だった。 この大きなネコ

          『眠い奴ほどよく眠る』第一夜