『眠い奴ほどよく眠る』第四夜
夕方の町を歩いている。兄と一緒に喋りながら、ダラダラと。愛犬の散歩をしているのだ。
どうでもいい世間話やら、この間観た映画の感想、今年の花粉はヤバイらしいとか。
しばらく歩いていると、向かいから真っ黒いワンピースを着た綺麗な女性が、大きく太った猫を連れて歩いてきた。
『見覚えがある気がするけど…誰だったかな…』
考えている間に女性との距離が段々縮まってくる。
答えも出ないまま、ついにすれ違ったその瞬間、フワッと風が流れた。涼しい爽やかな風じゃなく、ぬるくて汗ばむよう