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掏摸 読了

この本の感想の前に、少し〜
中村文則氏がとても好きになったのはここ最近の話。手始めに「何もかも憂鬱な夜に」を読んでんけど、こんなに鬱屈とした気持ちを緻密に表現できる人がいるのか…となったのと、途中に出てくる親友の日記ノートがすごく刺さったことがあり、好きになった。

次に、「私の消滅」を読んだ。これもめちゃくちゃ良かった。薄いのに内容がとんでもないくらい濃くて2回読むとさらに面白い!どんでん返しで、こんなのも書くのか…と。

そして、今回この「掏摸」が3作品目。
比較的、最近に出版したものやった。これこそ描写を讃えたすぎる。「掏摸」見たこともしたこともないねんけど、目の前に情景が浮かぶくらい手順が細かくて、詳細な描写で文章が進んでいく。
掏摸のときのスリルが臨場感を帯びてるのと、毎回やけど家庭環境が複雑な子どもを取り上げたり、風刺的な内容も含むところがこちらに“考えさせる”のを訴えかけてくれてとても好き。

小説を読んだ、ということのみが残るのではなく、考える余白を残して読了後も少し引き摺るような内容なのがありがたい。読んだ意味があるな、と私は思う。

今回も重たくもあり、内容が面白いのは言わずもがな、臨場感のある文章がとてもよかったです。

石川が好きでした。

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