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3分社会学:日常の中の自分=社会

あなたの性格、または人格はどのようにして出来上がっていますか?たくさんの挫折を味わったり、悲しんだり、努力したり、遊んだりと様々な経験をしてからこそ皆さんの性格が出来上がっていると思います。
実は社会学ではこの人格形成といういかにも個人的な経験のように見えるプロセスは社会の影響のもとにできた性格であると定義します。
あなたが人格や性格を形成したわけではなく、社会があなたを作ったのです!

社会=自分?

都市の研究を社会学の視点で主に行っている若林幹夫教授によると自己(皆さんの性格や人格)は以下のように定義できるとされています。

自己の意識や他者の身体は、そのようにして他者や社会や社会の欲望を生きいれ、我がものとしてゆくという意味で、社会が映し出される「社会の鑑」となる。社会を生きるとき、人は社会という鑑=鏡のなかで、自らもその自己に社会が映し出される鏡になる。

若林幹夫 社会学一歩手前より

ここで若林教授が強調するのは社会というものは個人を映す鏡であり、逆に個人は社会の影響をもろに受けているということなんです。これはチャールズクーリーという学者のとらえた自我は社会によって作られていて社会は自分を映す鑑であるという理論から来ています。

身についてしまっている習慣や文化

ここで少しこれを理解するために皆さんが違和感を覚えた他国の習慣について考えてみてください。僕は昔から母の見ている韓国ドラマを一緒に見ることが多かったです。そのときに演者の方々が食事をとるシーンがよく出てくるのですが、見ているとみんな食器を持ち上げずにそのままおいて食べていました。小学生だった僕はちょうど母にマナーについて厳しく言われていて「しっかり上まで茶碗持ち上げて食べなさい!」と言われていました。なので韓国ドラマの食事シーンはマナー違反のように見えました(笑)。それを母に聞くと、「韓国だと持ち上げるのは逆にマナー違反なんだよ」といわれてしまい小学生の僕はいままで感じていた常識と違うことにかなりの衝撃をうけました。

つまり、韓国の方々にとって、韓国社会ではお皿を持ち上げないのが当たり前でそれが常識で、日本では逆だということです。ということですがその常識は誰が作ったのでしょうか。もちろん文化や習慣などの見方もすることができますが社会全体としてこの習慣や文化を常識ととらえるという風潮ができたのは事実なのです!他国の習慣はこのようにその国ごとで発展した彼ら彼女ら我々の社会的な常識なのであってそれを知らず知らずのうちにその国の方々や我々は当たり前のように自分のことのように享受して行動に移しているのです。

社会がコントロールするあなた

これは習慣や文化にとどまりません。自分の親や友人もあなたに多大なる影響を与えた方々でしょう。彼ら彼女らが何かに対して意見を持ったり、教えてくれたり、自分がその人たちに対して感じてることは結局社会という枠組みの中で形成されたものに過ぎないというのが社会学的な考え方なのです。

極論を言ってしまえば、幽霊という概念に恐怖を感じるのは社会が作り出した考え方であるということも言えます。これは先日放送のクレイジージャーニーにて発見したことですが、インドネシアには“死ぬために生きる民族”トラジャという方々がいるそうです。かれらは死というイベントを盛大に祝い、大金をはたいて葬式をするのです。かれらに幽霊は怖いかと聞くと怖いもの?君おかしいんじゃないの?と言われるほど理解できない概念なんだそうです。つまり彼ら彼女らは幽霊という偶像に恐怖をという感情を感じるという概念が存在しないのです。つまり感情さえも社会によってコントロールできるということがいえるでしょう。

日常生活のなかで発生する事象に対しての考え方や感じ方は社会の作り出された”あなた”によって理解されるわけですから。

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