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【熟成胡蝶蘭はどうやってつくられているの?】はたらくひとインタビュー@松村洋蘭 vol.03

仕事内容やこだわり・やりがいを聞いていくシリーズ
「胡蝶蘭はどうやってつくられているの?」

▼第2回 ミディ胡蝶蘭 編はこちら

今回は第3回です。
熟成胡蝶蘭 部門で活躍する、いっちーさんにお話を伺いました。

— いっちーさん、よろしくお願いします。

よろしくおねがいします。

松村洋蘭ではたらく経緯

— 以前は花業界ではない業界で仕事をされていたと伺いました。

これまでは、工場でのモノづくりや飲食店の調理をしていました。
”売る”より”作る”ことが多かったです。
作ることに興味を持ちやすいのか…今回は胡蝶蘭を育てることに興味を持ち、松村洋蘭に応募しました。
松村洋蘭で7~8年はたらいています。

— 初の花業界ですが、はたらいてみて何か変化はありましたか?

お中元やお歳暮で胡蝶蘭をプレゼントする機会が増えました。
親戚に枕花を贈るときは、熟成胡蝶蘭 5本立を選んでみたり。
1株5本立なので、豪華かつ株元はスッキリしていて、ラッピングが映えるんです。

熟成胡蝶蘭 5本立(ブラウン・パープルラッピング)
熟成胡蝶蘭 5本立(ブラウン・パープルラッピング)

贈るときは直接出荷場へ行き、自分でラッピングをセレクトして、自分好みの組み合わせを楽しめるのはありがたいです(笑)

熟成胡蝶蘭 部門の立ち上げ

— はじめから熟成胡蝶蘭 部門の所属ですか?

最初はミディ胡蝶蘭 部門に配属されました。
配属後1年ほど経過した頃、あたらしく立ち上げた熟成胡蝶蘭 部門に異動しました。
縁あって立ち上げメンバーに選んでいただいてから今までずっと、熟成胡蝶蘭 部門におります。

— 松村洋蘭の屋台骨ともいえる熟成胡蝶蘭 部門の立ち上げ!アツい!

当初は社長と3,4名のメンバーだけの、小さな部門でした。
嬉しいことに注文がかなり増えまして、現在のメンバーは当初の約5倍の18名に増加しました。
温室もちょこっとしかなかったのが、いまや3つに増えました。
どんどん規模を拡大している部署のひとつですね。

熟成胡蝶蘭 エリア
熟成胡蝶蘭 エリア

— 熟成胡蝶蘭 部門への異動に不安はありませんでしたか?

むしろワクワクしていました!
あたらしいことに挑戦できる楽しみを感じていました。
異動してしばらくは学ぶことや考えることがいっぱいで、無我夢中で仕事に取り組みましたね。

熟成胡蝶蘭 部門のメンバー

— 人数が多く、組織もしっかりつくってあると伺いました。

熟成胡蝶蘭 部門のリーダーがいて、その下に各担当のリーダーがいます。
そしてその下にメンバーがいるという形です。
私は取り出し・組み立て・鉢の寄せ担当のリーダーを担っています。

— 人数が多いので、まとめるのは大変でしょう。

これまでさまざまな場所で仕事の経験を積んできた女性が多い職場です。
それぞれが自分事として捉えて頑張る方が多いので「どうしてもここはゆずれない!」という意見のぶつかり合いが起こることもあります。
しかしそこでギスギスしてしまわないよう、みんなが気持ちよくはたらけるように、リーダーが気を配ってくれています。
リーダーにはいつも感謝しております!

熟成胡蝶蘭 部門の仕事

— 1日の仕事内容を教えてください。

まず朝礼を行い、その後作業に取り掛かります。

  • チームの仲間へ仕事の指示
    メンバーの特徴や情報を頭に入れつつ、仕事を割り振ります。
    それぞれ年齢・経験・熟練度・勤務日時が異なるため、その人ができるペース・範囲の仕事を考えて、おまかせしています。

  • 出荷しない花のリメイク
    熟成胡蝶蘭は3本立以上のものを使います。
    何らかの形で2本立になってしまったものは、寄せ植えとして使います。
    2株つかって、3本立・4本立に寄せ植えます。
    ほかにも、満開になったら切り花にする等のリメイクをしています。

  • 注文書を見て胡蝶蘭をつくる
    工程は「取り出し→組み立て・寄せ→仕立て・仕上げ」です。
    私が担当する取り出し→組み立て・寄せの工程は、胡蝶蘭の美しさを最初に決める重要なパートです。
    パッと見て、胡蝶蘭同士のバランスを見極めて、胡蝶蘭を選び、寄せていきます。
    その後、仕立てパートにて美しく整えていきます。

ひととおり作業を終えたら、片づけに入ります。

— いっちーさんの担当工程について、詳しく教えてください。

まず、取り出しについて。
ここでは、茎の長さや輪数で胡蝶蘭を選別します。

茎をのばしてバランスを見ます
茎をのばしてバランスを見ます

次に、組み立てについて。
1株で3本立の熟成胡蝶蘭をつくる時は、左右の茎の長さや輪数を揃えます。
仮に、右と真ん中の茎の長さが同じ場合は、真ん中と左の茎を交差させ、左右の長さを合わせます。

仕立てた時に美しいように、左右の長さを合わせます
仕立てた時に美しいように、左右の長さを合わせます

2株で5本立の熟成胡蝶蘭をつくる時も同様、茎の長さや輪数を揃えます。
様子によって、縦と横、どちらにも並ぶことがあります。

縦並び。前方の株の茎を交差させて整えます。
縦並び。前方の株の茎を交差させて整えます。

株や茎の数がいくつに増えようとも、基本は変わりません。
5株で12本立の熟成胡蝶蘭をつくる時も、茎の長さや輪数を揃えます。
増えれば増えるだけ、揃えるには熟練の技が必要となります。

5株・12本立。仕立て前なのでごちゃっとしています。
5株・12本立。仕立て前なのでごちゃっとしています。

最後に、寄せについて。
寄せる前に、鉢を用意します。
トンカチでひとつひとつ鉢を鳴らすことで、割れがないか確認します。

目視判別不可な割れもあるので、かならず鳴らして音を確認
目視判別不可な割れもあるので、かならず鳴らして音を確認

1株で3本立の熟成胡蝶蘭は、専用の発砲スチロールに寄せていきます。

しっかり埋めます
しっかり埋めます

複数株の場合は鉢に株を寄せて、隙間に発砲スチロールを詰めます。

横向きに寄せてできた隙間に…
横向きに寄せてできた隙間に…
発砲スチロールで詰めました
発砲スチロールで詰めました

鉢に寄せたら、次の仕立ての方がわかりやすいように、茎をとめます。

この状態だと仕立て位置がわかりづらいので…
この状態だと仕立て位置がわかりづらいので…
茎を少し離した状態にしてから仕立てへ渡します
茎を少し離した状態にしてから仕立てへ渡します

このあと、仕立て・仕上げ工程にて綺麗に整えていきます。

支柱をした状態
支柱をした状態

心得:次の工程を常にイメージ

— 仕事の心得を教えてください。

ベルトコンベア式に作業をしているので、次の作業(仕立て)がしやすいように、かつ手が空かないような工夫をしています。

— 仕立て・仕上げがしやすいとは?

仕立て作業をイメージして、先回りの配慮をしています。

流れとして、組み立てや寄せを行った胡蝶蘭は、台車に置きます。
その胡蝶蘭を仕立ての人が取り、仕立てを施し、台車に戻します。

この”胡蝶蘭を台車に置く”際は、胡蝶蘭の仕立て姿を想像しながら間隔をあけて置くようにしています。
胡蝶蘭は、未仕立て状態だと茎が上を向いていますが、仕立て済状態だと茎が垂れ下がる形になります。

←支柱済 / 未支柱→
←支柱済 / 未支柱→
←支柱済 / 未支柱→
←支柱済 / 未支柱→

仕立て姿をイメージしながら胡蝶蘭を台車に置く。
それをきちんとすることで、仕立てた方が戻す胡蝶蘭の位置を調整する必要がなくなります。

— あわせて、スピードの調整も大事ですよね。

仕立てパートのスピードを見ながら、自身の作業スピードを調整します。
仕立てパートの方の手が空かないようにすることはもちろん、自身が作業を早くしすぎても台車に置けなくなってしまいますから。
いつも、効率よくやる方法や作業スピードとクオリティを両立するための方法を考えています。

苦労:前例のない”熟成胡蝶蘭”への対応

— 苦労したことについて教えてください。

熟成胡蝶蘭は、松村洋蘭のオリジナルの品種。
他の洋蘭屋さんが作っていない、まったくあたらしい胡蝶蘭です。
教科書となるお手本がありませんから、仕立て等のやり方をいちから考えてベストな方法を模索する必要があり、立ち上げ時は大変苦労しました。

— 別の胡蝶蘭のやり方を踏襲できないのですか?

熟成胡蝶蘭は、1つの株から2~5本の茎が出るお花です。

熟成胡蝶蘭 1株より3本の茎が出ています
熟成胡蝶蘭 1株より3本の茎が出ています

対して、大輪胡蝶蘭は、1つの株から1本の茎が出るお花。
ミディ胡蝶蘭は、1つの株から1~2本の茎が出るお花です。

大輪胡蝶蘭 1株より1本の茎がでています
大輪胡蝶蘭 1株より1本の茎がでています
ミディ胡蝶蘭  1株より2本の茎がでています
ミディ胡蝶蘭  1株より2本の茎がでています

株の数が違えば、組み立ての方法も異なります。
1つの株から多本数の茎が出る熟成胡蝶蘭は、あたらしくやり方を考える必要がありました。

例えば、熟成胡蝶蘭 5本立の仕立てを考えるときも「5本の茎がどういう形になれば最も美しいのか」を考えることからはじめました。
株の形が違えば、寄せの場所も考えねばなりませんからね。

他にも、熟成胡蝶蘭 8本立というものもあります。

熟成胡蝶蘭 8本立
熟成胡蝶蘭 8本立

こちらは主に3株を寄せ植えてつくっています。
最初は1株3本&1株3本&1株2本を使って8本立を作っていました。
しかしトップとサイドの差が大きくバランスがあまり良くなかったため、皆で相談して組み合わせを変え試しながら、どんどん改良していきました。

— 意見や知恵を出し合いながら、これまで進めてきたんですね。

仕上がりの綺麗さはもとより、作業のやりやすさも並行して考えました。
例えば、仕立ての場合は支柱が入れやすい方法や仕立てしやすい方法など、携わるひと全員で意見を出し合いながら、進めました。


立ち上げから現在まで、熟成胡蝶蘭と共に走り続けてきた、いっちーさん。
さまざまな工夫を経て、皆さまのもとに熟成胡蝶蘭がお届けできているのですね。

第4回目はリ・アン胡蝶蘭 部門です。
ちいさいサイズの胡蝶蘭は、気軽なプレゼントに最適な花ギフト。
特に母の日は、たくさんの方にお選びいただけて嬉しい限りです。
そんな母の日の舞台裏を中心にお伝えしてまいります♪

▼第4回 リ・アン胡蝶蘭 編はこちら

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※このnoteも、胡蝶蘭専門店Lianと松村洋蘭が共同で運営しています

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