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【夏休み自由研究】強火をやめると料理がおいしくなる。


約4年前に、遅ればせながらこの本に出会いました。

『強火をやめると、誰でも料理がうまくなる!』
(水島弘史著)
料理の常識を根底から覆す科学的視点がベースの理論です。

調理現場で働いていた時は全く知らなかったので、強火調理が多々ありました。せっかくのステーキ肉は中心温度と焼き色重視で冷めたら固くなる。
また、野菜を強火で炒めると盛りつけ時点で早くも水分が流出してシャキシャキ感が持続しない。悲しかった。どれだけテクニックがないのだろう。

しかし夢中で料理本をペラペラめくっていたひと昔前も、栄養士養成施設で調理学他を学んだ時も、「野菜(肉)は中弱火でジワジワ加熱する」とは教わらなかった。

どうもテクニックだけではなさそう。

数々の悲劇を経験し、納得のいく料理が提供できなかった反省を踏まえて、現場から離れて10年後に今さらながら検証してみました。この理論が正しいことは、日々の料理ですでにいくつか確認済みです。

今回は、しみじみと「もやし」


🔲もやし炒め

何が水分出やすいって「もやし」でしょう。
(内心出ろ!出ろ!ウキウキウッキーです♪)

1.材料と方法

もやし、塩


【材料】
もやし 226g(1袋)
塩    1.4g
米油   4g(小さじ1)


【方法】
1.もやしは洗ってザルで水を切る。
(ザルから水滴は落ちません)

2.フライパンに油を入れる。もやしを加えて全体に油をコーティングする。

3.点火する。火加減は中火〜弱火の間で7〜10分炒める。

さあ、やってみよう!

コールドスタート
油+もやし=もやし全体に油をコーティング
(もやしの写り込みなし)
加熱3分経過:少し水滴発生
6分経過:あまり変化なし
10分経過:あまり変化なし
塩を振ります(もやしの0.6%=1.4gにしました)
フライパンを火から下ろしました。
消火後10分経過(合計20分)
やや水滴が増えた。
20分経過(合計30分)
やや水滴が増えた。
30分経過(合計40分)
やや水滴が増えた。
フライパンの中で水分の大量発生なし



⚫︎粗熱を取ってから、保存容器に入れて冷蔵庫へ。
 一晩置きました。


2.結果

翌日(28.5時間後)
容器を傾けると水分発生
もやし水分流出は10.1gでした。小さじ2です。



もやし重量は226g。流出した水分は10.1g。
(およそ4.5%  *炒めたもやし計量失念)

食感はシャキシャキ感が残存しています。ぐったり感はありません。外観のみずみずしさをキープしています。


3.考察

えっ、水分流出はこれだけ?少ない。
これが多いか少ないかは、「強火で加熱したもやし」との比較で証明すべきなのですが、2袋のもやしを食べ続ける勇気がないため見送り←そこ?

加熱時間が長過ぎた可能性があります。
7〜8分だと流出がさらに減少したかもしれません。

経験上では、強火加熱もやしはかなりの水が出て、冷めてからのぐったり感と追い水分流出あり

強火調理をされている方は一度火を落としてお試しください。食えばわかる。きっとシャキシャキが待っていますから。
……科学に「きっと」はいらない?


4.追加実験

①参照:グリーンアスパラ
1.冷たいフライパンに切ったアスパラを入れる。
2.弱火で約2分加熱
3.塩ふたつまみを振って火から下ろす。

できあがり。水分らしきものはありません。
28時間経過しても全く変化なし。


②参照:ハンバーグ
何となく適当に作りました。

ハンバーグおろしポン酢のせ
下は3日目「もやしのナムル」(←早く食べて!)
強火拒否!夢の共演


コールドスタートのハンバーグは、水分と油脂分が内部に残っているため、かなりジューシーです。

コールドスタート→中火焼き→蒸し焼きしてみました。生焼けや焼き過ぎがありません。失敗が少ないと思います。ふっくら柔らか、肉汁あふれる仕上がりです。反省点は焼き時間が長過ぎたか、若干うま味が逃げたように感じました。


5.調理理論まとめ

これではあまりにタラレバなので、著書から理由を教わります。

野菜から水分が出るのは、細胞壁の膜であるペクチン(食物繊維)が70〜75℃で分解されるため。強火ではたちまちこの温度帯に達し、細胞壁は破壊され、水分のロスも多くなることは、データが明確に示しています。

強火で短時間で加熱した炒め物は、時間が経つと必ず大量の水が出てくるのです。

一方、弱火でゆっくり加熱すれば、細胞壁のペクチンが温存され、一定量以上の水分は流出しません。野菜のシャキシャキとした歯ごたえやみずみずしさが残ります。

弱火で時間をかけて炒めれば、甘みは増し、冷めてもシャキッと感が損なわれることはないのです。

水島弘史著『強火をやめると、誰でも料理がうまくなる!』




野菜を炒める時は、中火〜弱火で試してみます。

また、肉については40〜55℃で細胞が収縮して水分が放出されはじめるので、ゆっくり通過させて(強火ではなく)肉汁やうま味が残るように火加減には注意します。



お子様の夏休み自由研究にいかがでしょうか。
食とは生涯関わりますから、幼少期・学童期の調理体験として記憶に残る可能性大です。
自分で作って食べる楽しさ、いろいろな野菜と火加減の比較研究でより一層おもしろいと推察します。

謎が深まった場合は、「NHK子ども科学電話相談」へお問い合わせください。当方は責任を負いかねます!

昨日のワンプレート:センター2品
中央:「もやしのナムル」 
中央左:「アスパラの白和え」



クールな感じで収まっています。
2品ともお皿に水たまりはできませんでした。



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