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05【くらしヒアリング発表会_01】  40代女性に「料理好きマインド」の谷?(前編)


「くらしヒアリング発表会」とは?

オレンジページは創刊以来、リアルな暮らしに役立つ情報をお届けするため、さまざまな調査を通して「生活者の声」に耳を傾けることで、本当に求められているニーズや世の中の小さな兆しを見つけ、誌面づくりを始めとする、さまざまな事業に生かしてきました。

「もっと暮らしをよくしたい、楽しみたい!」というリアルな生活者の声から導き出された調査結果の数々は、生活者に向けたビジネスに関わる方々にとっても、わずかながらでもお役に立つのではないかと考え、2022年4月から、定期的に発表の場を設けさせていただくことになりました。

企業のみなさんと生活者の間の「距離感」が少しでも縮まったり、新しい発見やヒントになる情報をお届けできれば……という思いからスタートしたのが、「くらしヒアリング発表会」です。

今回は、その第1回として4月22日に実施した『40代女性に「料理好きマインド」の谷?』の内容を抜粋してお届けします。
料理に対する気持ちが40代で後ろ向きになるのは、じつは本人だけの問題じゃない!?
そんな40代女性のマインドに寄り添うには、何が必要?
調査から見えた結果を、前編・後編の2回に分けてご紹介します。


「40代で料理好きの気持ちが落ちる」は
20年前から続く傾向

オレンジページ「定期読者調査」2002~2010年「料理を作るのは楽しい」

こちらのグラフは、オレンジページが創刊以来、毎年行っている「定期読者調査」のうち、「料理を作るのは楽しいか」という質問に対しての2002~2010年の回答結果を、20代~50代の年代別に表したもの。いずれの年も、40代(オレンジのグラフ)で「谷」になっているのがわかります。

オレンジページメンバーズ調査「料理をするのが好き、または楽しい」

こちらは、今年3月に実施した調査での同様の質問に対しての回答結果です。下がりぐあいは10年前に比べて小さくなっていますが、やはり40代で落ち込む結果となりました。

ただ、10年前と違うのは、50代でも気持ちが回復せず、さらに下がっていること。40代が料理好きマインドの「谷」ではなく、もはや「下り坂」の始まりになりつつあるのかもしれません。

50代で落ち込みが続く理由は今後調査する必要がありますが、今回は、30代と40代の意識の差についてみていきたいと思います。

オレンジページメンバーズ調査「料理をするのが好き、または楽しい」

ちょうど年代の境になる30代後半と40代前半で比較すると、「料理が好き・または楽しいと思うか」に「はい・どちらかといえば、はい」と答えた人は、40代前半が6P低い結果に。この境目に、どのような意識の違いがあるのかを探っていきたいと思います。


「有職か無職か」で料理好きマインドの落ち込み方に差

40代で「料理好き」の気持ちが下がる要因は、いろいろ考えられますが、今回の調査で特に意識の差が大きく見えたのが、「仕事をしてるかしてないか」での違い。

30代後半と40代前半の比較で、「料理が好き・または楽しいと思うか」の問いに「はい」と答えた人の割合が、
有職でも約4P差で40代前半が低かったものの、無職では、なんと10P以上の差に!

40代前半無職の人は、「夕食を毎日作る」88%(30代後半無職72%)、調理にかける時間も長めという結果も出ていて、
料理頻度が高く負担が大きいことが、落ち込みの差が大きい要因のひとつといえそうです。


「料理がめんどう」でも気持ちの落ち込み少ない30代後半有職者

オレンジページメンバーズ調査「料理をするとき、めんどうだと感じること」

こちらは、料理で何をめんどうと感じるかを聞いた質問の集計結果。平均より5P以上高いところに赤、5P以上低いところに青の地色が敷かれています。料理好きマインドの落ち込みが大きい40代前半無職の人よりも、30代後半有職者のほうが、赤い項目が多いことがわかります。

オレンジページメンバーズ調査「料理をするのが好き、または楽しい」

料理で「めんどう」と感じる項目が多い30代後半有職の人たち。でも、じつは「料理が好き・楽しい」と思う気持ちは、40代前半無職の人にくらべて、それほど落ち込んでいないんです。

この差は何なのか……
食事作りに対する意識の違いを細かくくらべてみたいと思います。


「ちゃんとしなきゃ」の40代前半無職、
「上手に割り切り」の30代後半有職

今回の調査では、料理に関するさまざまな意識について聞いたのですが、その結果から、40代前半無職と30代後半有職の料理に対する向き合い方の違いが見えてきました。

例えば「夕食を毎日作る」は、40代前半無職で88%だったのに対し、30代後半有職は65%。「毎日作らなきゃ」という気持ちが強くないことがうかがえます。

また、30代後半有職は

●インスタントやレトルトに抵抗がない
●「〇〇〇の素」をよく使う
●料理の「裏ワザ」や便利グッズに関心が高い
●SNSの活用などレシピ情報の入手先が幅広い

という傾向が見えたいっぽう、

●家族には手作りの料理を食べさせたい
●家族に手抜きと思われるのはイヤ

の項目では40代前半無職が大きく上回る結果に。

40代前半無職の人は、家族の好みのほか、材料や調味料が少なくすむか、洗い物が少なくすむかなど、いろいろなことに配慮しながら料理をして傾向もみえましたが、

●ふだんの食事作り、手間や時間を省きたいか

の問いに対して、「はい」が30代後半有職90%に対して40代前半無職74%と大きく差がつき、40代前半無職は、手間や時間は省かず「ちゃんとしなきゃ」という気持ちが強いことがわかりました。

いっぽう30代後半有職者は、「毎日作らなくてもいい」「手間を省けるところは省く」といった割り切りがあり、自分をラクにする工夫ができているという実態が見えました。


(まとめ)
「家族のためにちゃんとしなきゃ」という気持ちのプレッシャー。これが40代前半無職の「料理好きマインド」の落ち込みにつながっていると言えそう。

次回後編では、そのプレッシャーはどこからくるのか? 生活者インタビューでのリアルな声から探っていきたいと思います。


オレンジページでは、さまざまなリサーチやデプスインタビューによる生活者のリアルなインサイト発掘、「兆し」の発見で、みなさまのマーケティング活動のお手伝いができればと考えております。ご興味がありましたら、下記までお問合せください。

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2022年3月オレンジページ調べ 対象:国内在住の成人女性(回答数1215件)

06【くらしヒアリング発表会_02】
40代女性に「料理好きマインド」の谷?(後編)
へ続く