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#06 自信と、悔しさを胸に

人は誰でもミスをする。だから誰かがミスをしたら、全員でカバーして取り返す。それを、堅守のチームを相手にやってのけた選手たちを誇らしく思います。でも、最後に勝ち点2を失う形になってしまいました。悔しいですが、選手たちは自信と悔しさを胸に、さらに成長してくれると信じています。

アルビレックス新潟は5日、アウェーで甲府と対戦し2―2で引き分けました。序盤にミスから失点しますが前半のうちに追いつき、後半で逆転に成功しました。ところが試合終了間際に同点に追いつかれてしまいました。

アルビは前節、勝ち点で並んでいた琉球に勝って連敗を止めました。5位の甲府にも勝って連勝を飾り、勢いを付けたかったところです。ただ、前半21分にキャプテンの堀米選手のバックパスを奪われて先制されるという思わぬ展開から、逆転したことは評価できますし、大きな自信にもなるのではないでしょうか。

甲府は6試合負け無しで、直近の4試合は無失点でした。失点は16試合で12、京都に次ぎ2番目に少ないチームです。守備時は5バックになり、その前にも4人が並ぶコンパクトで、統率の取れたディフェンスをしてきました。

それを、1点を追う展開からともに流れの中から2点を奪ったのです。先制されても焦ることなく、自分たちのサッカーを貫き、ボールを保持して相手を揺さぶり続けた結果でしょう。

1点目は、相手陣内右サイドのタッチライン沿いを巧みなドリブルで突破して、ゴールライン付近まで持ち込んだ高木選手から、藤原選手、高選手とつなぎ、高選手のクロスを谷口選手が決めました。胸トラップで相手DF2人の間に割り込むよう入り込んで素早くシュートを放った谷口選手の技術、さすが昨シーズンのJ3得点王ですね。海斗さんだけに、海のシーズン・夏には大暴れしてくれることでしょう。

注目したいのは、この時、ニアにいた谷口選手が中央に、中央にいた鈴木選手がクロスするようにニアへと動いていたことです。ニアに入った鈴木選手のスルーさすがでした。2人の連係がさらに高まれば、得点アップも間違いなしですね。

2点目は藤原選手のボール奪取からのショートカウンターでした。ボールを受けた高木選手の、一人かわしてからのノールックパス、しびれました。それを決めた谷口選手の、コンパクトながらパンチをのきいたコントロールショット、お見事でした。

失点に関しては、高木選手の「反省点はゲームの締め方や、1失点目のように簡単なミスからの失点。どうしてもボールを大事にしていく戦い方だから、起きかねないミスとは言え、それが失点に繋がらないようにプレーを心がけなければいけない」(モバアルZのモバゼコのコメント)に尽きるでしょう。ここまでも、勝っても負けても反省して成長し続けるチームのことです。次に期待しましょう。

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アルビ、そしてサッカーから多くのことを学ぶことができます。「サッカーは人生の縮図である」というドイツの経営コンサルタント、ラインハルト・スプレンガ―氏は、著書「勝利を求めず勝利する―欧州サッカーに学ぶ43の行動哲学」(英治出版)で、サッカーとはミスのスポーツだと書いています。

どんなに優れた選手でもボールを奪われる、シュートを外すというミスはある。山ほどのミスがあるから成功の価値が高い。それがサッカーのいいところだ、というのです。

そのうえで、最大のミスとは、ミスを恐れることだと強調します。失敗に過剰反応するようになると「リスクをとることも決断することしなくなる」からです。サッカーに限ったことではなく、何事にも言えることですね。

スプレンガ―氏は次のようにも書いています。「全員で助け合えばいいのだ。攻守の切り替えを早くして、ボールを奪われたら、ただちに奪い返す。いつでもどこでも、それぞれの選手が責任をもってサポートし合うことで、ミスによる影響は軽減されていく」

「攻守の切り替え」はアルベルト監督が常に言っておられますし、これこそが今年のチームの最大の武器、素晴らしさだと感じています。「サポートし合う」ことも、さらに磨きがかかれば、失点はさらに減っていくことでしょう。

9日の水曜日は天皇杯2回戦の金沢戦が、13日の日曜日には明治安田生命J2リーグの岡山戦が、ともにデンカビッグスワンであります。天皇杯はどんなメンバーで臨むのか。そして岡山戦では、失点16と6番目に少ない相手をどうやって崩すのか、楽しみで仕方がありません。アルビのある日常に感謝です。

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