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病気をもつ人の「働きやすさ」は、病気をもつ人だけのものではない

2021年10月~12月に放送されたテレビドラマ、「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」。
弱視の盲学校生の女の子(主人公)と、ちょっとヤンキーな男の子のラブコメディーでした。

このお話しはただのラブコメディーではなく、視覚障害をもつ人の日常、人間関係、就労などについても描かれていました。

その中で、印象に残った部分がひとつ。
主人公がアルバイトをしているハンバーガー屋さんにて、注文伝票の印字が薄くなったことで、主人公が文字を読むことが難しくなり、ミスが増えてしまう場面。

主人公が「文字の大きさや濃さを変えてほしい」などと提案し、反対したスタッフもいましたが、店長が「やってみてから判断しよう」と、実行。
対応したスタッフが、フォントも見やすいものに変更してくれました。
その結果、主人公の作業がスムーズになっただけでなく、他のスタッフのミスも減り、結果的にみんなのためになりました。

このシーンが、私が実際に働いている中で、「私の困りごとを解決したら、病気をもたない他の人にも役立った」といういくつかの経験と重なりました。


新たな気づきと向き合う

以前ピーペックで行った就労支援ウェブセミナーでもお話ししましたが、私も病気をもってから、物の見方が変わり、新たな気づきが増えました。

病気をもっていないかったときには気づかなかった、あるいは、気づいていても、重要視はしていなかったこと。

「こうなったらいいのにな」と思ったことはあるけど、改善しようと行動に移すほどではなかったこと。

私が病気をもったことで、それを改善しないと困るようになってしまったから、行動に移したこと。

これらの新たな気づきと向き合っていくうちに、病気をもつ人の困りごとは、実はみんなの困りごとかもしれなくて、改善されて助かるのは、病気や障害をもつ人たちだけでは無いのかもしれないと考えるようになりました。


みんなの「働きやすい」をつくる

私の病気のように、症状や体の状態を数値や目に見える何かで表すことが難しいものは、それを「どう伝えるか」が大きな課題でもあります。

「出来ない」をただ伝えるよりは、どうすればそれが「出来る」という状態に近づくのかを伝え、それを実現させる手段を、当事者と周りの人が「一緒に考え、実行する」ことが重要なのではないかと思います。

そして、これらの課題解決は、病気をもつ人だけが助かるわけではなく、
そうでない人たちにとっても「働きやすさ」に繋がることが多いのではないかと、改めて感じました。

病気をもつ私たちがぶつかってしまう課題を一つ一つクリアしていき、“安心して働けるようになった状態”がゴールというわけではありません。

そこから更に、仕事に対して楽しさややりがいを感じられたときに、私は「社会人としての充足感」を得られるのではないかと思っています。

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