【ショートショート】日常
僕らの日常なんてのは多分、世界ができた時にたまたま生まれた小さな隙間の物語だ。
欲と欲が絡み合って、それを結束だなんて恥さらしをする。どこまでいっても動物な僕らは、それでも「最も賢い」と意地を張る。嫌な病だと、ふと嗤える。
いつの間にか、檻の外側からものを見ている気になっていた僕らだから、これっぽっちの日常でも、それが全てだと思い込んでいる。それ以外の部分の方が遥かに広く、果てしなくとも、それを無視する神経だけは常に研ぎ澄ませている。
僕たちの見ているこの礫のような檻の内側は、際限なく嘘をつく。その外側を密に隠して。内側でかまけている僕らの愚かさを、無言の笑みで観察して。
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