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再開、海外旅行 6

旅行代理店の帰りにスーパーマーケット(coles)があるので寄る。今晩の夕食はホテルのレストランを予約してあるが、明日の朝食のことも考える必要があるし、水も買いたい。

ところがここでカルチャーショックを受ける。何もかもが高いのだ。牛乳はアメリカほどではないにせよ大きなパックなのでそもそも買う気は起きないが、日本のビヒダスみたいな、百数十円で売っているようなヨーグルトは安くても4ドル代(約400円弱)、スーパーの、全く美味しそうではないクロワッサンが、1個3ドル代(300円弱)と日本のブーランジェリー並のお値段、卵も12個入りで、安いものでも4ドル代だ。日本の卵は価格が倍になったと言っても200円代で売っているではないか。何も買う気になれず、とりあえず水を一本だけ買って店を出る。朝ごはんのことは明日考えよう。ちなみにこの店にはいわゆる調理パンは売っておらず、プレーンなパンだけだったので、パンを買って終わりというわけにはいかない(おかずが要る)。そしてホテルの側に、コンビニもあるにはあるようなので、なんとかなるだろう。

しかし、日本はいつの間にこんな貧乏国になってしまったんだろう、と思った。これでは昔、海外旅行が高値の花だった時代に逆戻りだ。今が円安だから高いのだと考える人がいるかもしれないが、問題の本質はそこにはない。例えば1米ドル130円が1割円高になって117円になったとしよう。それでも物価が倍なら焼け石に水だ。ちょっとコロナで鎖国していた間に、これほどまでに格差が拡大したか、という実感だ。そして帰国したあとのYahooニュースに載っていたのは、「エビアン1.5リットル、43.5%の値上げ」と言う記事だ。普段ならもしかして見逃したかもしれない記事だが、海外から帰ったあとだと、そんな値上げは当たり前で、むしろ序の口であることがありありとわかる。賃金と物価が高い海外で生産されたものは高いのだ。

夕食どきにはホテルのレストランでオージービーフのステーキの食事を予約してあった。前菜と、Tボーンステーキと、デザートのセットメニューだ。
ここでも気になるのは値段のこと。前菜とステーキとデザートのセットメニュー1人95ドルが、果たして高いのが安いのか、他の店にまだ行っていないこともあってわからないが、ビールは8ドル(700円強)、グラスワインは12ドル(1100円程度)だ。ホテルだと言うことを考えると、日本に比べて高くも安くもないと言えるかもしれないが、実はこれはホテル以外でも、どこでもこれくらいの値段だったので、日本に比べて高いと言わざるを得ない。この日の会計は2人ぶん合計で、日本円で25000円くらいかかった。
それでもオープンエアの暖かい風の中、飲むビールやワインは最高で、年収1000万であるらしいシェフが作る料理はどれもおいしく、非常に満足できた。オーストラリアはアメリカほど馬鹿みたいな量の食事は出てこないが、それでも量は多く、ステーキはちょっと余ってしまったので、持ち帰ることはできるかと尋ねたら、持ち帰り用の紙パッケージをくれた。私たちは持ち帰った肉や、付け合わせの野菜やイモを、結局翌日の朝食にした。これで朝食問題はひとまず一件落着だ。
しかし年収1000万は、高いのではなく、物価が高いので、収入がそれだけなくては食べていけないということだ。物価が倍なら、年収1000万は、日本の年収500万に当たるわけだ。そんな国がゴロゴロしている中で、輸入に頼る部分も大きい日本の物価だけが、低いまま永遠に据え置かれるなんていうことはあり得ないわけで、将来が不安になったのも事実だ。
ガイドブックにも載っていたこのレストランには、日本人の客が何組か居て、なんだ、日本人いるんじゃない、と私は思った。私が部屋に閉じこもっていたから、今まで日本人に出くわさなかったのかもしれない。

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