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友をたずねて三千里・西へ(1) 北京空港トランジットとマドリッドへの道 (Madrid, 2017.9)

友人夫婦がそこで暮らしはじめたのは、私が訪ねた時期から遡ること半年ほど前のことだった。
彼女は私が関西のコテコテの土地(当時の私にとっては、どんな海外の都市よりも心理的に遠い場所だった)へ赴任していた時、遊びにきてくれた数少ない存在だ。そして、数年前彼女が別の国で暮らしていた頃「おいでよ」と誘ってくれたのに、私は行くことができなかった。今回は、なんとしてでも行かなければならない。

そんなわけで、9月に夏休みを取得してマドリッドに行くことを決めた。家族や友人とは予定が合わず、ひとり旅になった。

マドリッド・・・。プラド美術館には私が中高時代から憧れてやまないフラ・アンジェリコの『受胎告知』が展示されている。その絵を見るだけでも十分行く価値があるのだが、せっかくなら他の土地にも足を伸ばしたい。何せ、丸々一週間、合計9日間の休暇をもぎ取れたのだ。そして訪問先の友人夫婦は平日仕事である。

友人夫婦とは、メスキータのあるコルドバとアルハンブラ宮殿のあるグラナダとを巡る週末1泊2日のプランを立てた。その後、一人で1泊2日のポルトガル旅行をすることに決めた。日帰りでトレドにも訪問した。結局マドリッドに滞在したのは合計2.5日となったが、プラド美術館ソローリャ美術館をはじめとして沢山の美術品を鑑賞するだけではなく、現地の生活にも密に触れることができた旅となった。

旅行時期:2017.9
同行者:無し
テーマ:友人とアンダルシア地方・マドリッドを満喫&ポルトガルの港町を楽しむ
■Day1(Fri.) HND→Beijing Airport→(本記事)
Day2(Sat.) Madrid着→Cordoba→Granada
Day3(Sun.) Granada→Madrid
Day4(Mon) Madrid
Day5(Tue.) Madrid→Porto Airport→Agueda→Aveiro→Porto
Day6(Wed.) Port→Madrid
Day7(Thu) Madrid→Toledo→Madrid
Day8(Fri.) Madrid
Day9(Sat) Madrid→Beijing
Day9(Sun.) HND着

日本からスペインまでは約10,640kmだという。これは2,660千里だ。四捨五入すると約三千里だ。私は友をたずねて約三千里の旅をしたことになる。
マルコはイタリアからアルゼンチンまでの三千里、数えきれない苦労を重ねてついぞ母親と再開できたのが、現代はなんと気軽に・手軽に三千里を旅することができることか・・。素晴らしき文明・・。

・・などという、はたから見ればどうでもいいことに感銘を受けながら旅の企画をしていた2017年前半の私。私はその時、北京空港トランジッド8時間がどんなに辛く心細い時間になるかわかっていなかったのだ。

北京空港トランジット

13:55に羽田発。

中国国際航空(エアチャイナ)で17時30分に北京空港到着。手続き時間を差し引いても6時間程度ある。エコノミークラスのため、ラウンジは使えない。北京の街に出ることも考えたが、入国手続きに時間を取られることを考えて、そし中秋節の真っ只中で街に人が少ないと聞いたので、空港内で過ごすことにした。

一応トランジットラウンジが用意されているが、夕ご飯どきだというのに中秋節だからかなんだか、ビュッフェは空っぽである。

かつ、中国なのでネットもつながらないし、時間つぶしにもほどがある。持参した小説を読んで過ごすも、まだ3時間しか経っていない・・。

パンも飲み物もなく、唯一の食べ物がこの豆だったちなみに右のボードには「夕ご飯は17:00-21:30だよ♪」と書かれているが、「嘘つき!18:00-00:30まで滞在したけど、何一つ用意されなかったではないか!」と言ってやりたい。

残り3時間、スマホ内に保存していたスペイン情報を読んだり、本を読んだりしてなんとか過ごした。暇。ネットつながらないってこんなに苦痛なんだね。

そんなこんなで、中華クオリティを堪能したあと、01:25に北京空港発・・するかと思いきや、機材トラブル?か何かで1時間程度遅れる。ひやひやした。

味はお察し。

マドリッド到着

北京からの出発が遅れヒヤヒヤしたものの、土曜日の午前7時20分、30分強遅れでマドリッド国際空港に到着する。
出口を出てすぐ、友人夫妻の笑顔が見える。こんな風に現地でスムーズに落ちあえることは久々なので、ホッとする。

週末を利用し、友人夫妻と鉄道でアンダルシア地方に向かい、コルドバとグラナダの街を見て回ろうと計画していた。
まずは私の荷物を置かせてほしいという私のわがままで、友人夫妻の家にお邪魔する。

友人いわく、マドリッドではカーシェアやUber/grabが大変メジャーであり、今日もカーシェアでレンタルした車できたとのこと。その車は、こんな感じ。とてもコンパクトだ。

車でサラマンカ地区とゴヤ地区の間にある友人宅の目の前まで到着。

可愛い。

自転車が多い。

建物自体は古めかしいが、2バス・2ベッドルームのとても美しい白壁を有する広々とした住宅。

ベランダも広く、夏はバーベキューをしたり机と椅子を出して外でディナーをとったりしたらしい。9月下旬ともなるとそこそこ寒くて、外での食事はできないとのことだった。

2バス・2ベッドルームの作りであるため、そのうちの1つを私に貸し出してくれるという。普段は友人(妻)の仕事部屋になっているらしく、友人(夫)は「来てくれてよかったよ〜こうでもしないとこの部屋片付かないから!」とのことだった。
とても快適に過ごせる部屋で、本当にありがたい。友人のお宅に7日間も滞在させてもらえるなんて。

友人に頼まれていた自作のピアスもきちんと持参した。

ところで、こちらをみていただきたい。

お分かりいただけるだろうか。スーツケースの半分以上が、お土産という名の友人夫妻が指定したものが大半だ。つまり、運び屋である。日本のお菓子やおせんべい、レトルトの味噌汁をいそいそと運んだのだった(なお、どれも軽いものであるため、かさばるが重くはない)。日本では当たり前に手に入るものも、海外ではなかなか手に入れられない。当たり前のことなのだが、夫妻のリクエストの切実さに改めてそれを思い知ったのだった。

この日の一曲はこちら。