性格や能力と仕事(や立場)の不一致~アンダーアチーバーとカウンセリング

アメリカで心理学のPhDを取得し、東京都内で心理カウンセリング・心理療法を中心とした事業を主宰しております、オープンマインドです。今日は「アンダーアチーバー underachiever」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

アンダーアチーバーとは、知力や能力が十分にあるのに、それが仕事や学力などで発揮されていない状態を指します。心理学の研究、特に教育心理学では知能(IIQ)と到達度(成績など)を測ったとき、その間に差がある状態を指しますが、現実的には特に大人の場合、もっとバリエーションがあるかと思います。

カウンセリングをしていると、こういう状態の方に会うことが多いと感じています。当然のことですが、能力があるのにそれを発揮できず、持て余していたり発揮する場がないとどうしても不満を感じてしまい、そこからメンタル的な問題にも発展しやすいのです。比較的合った環境にいて、実力が十分に発揮でき、かつ周囲からも認めてもらえていれば、まあまあそこの部分は幸せなのではないでしょうか。

どうしてこれが起こるのか? と考えるときに、長期的な問題としては子どもの頃から親や周囲のサポートを十分に受けてこなかった、というのがあります。親が多忙だったり、無関心だったり、あるいは世間の教育事情などに疎かったりした場合、子どもは伸びる余地があるのに、その機会が与えられない状態になってしまいます。家庭に経済的な事情があり進学したり適切な教育を受けたりできなかったとか、親が必要な関心を子どもに払っていない、ネグレクト的な状況があった場合もあります。教育に価値を見いだしていない親の場合(例:「女の子なんだから、上の学校には行かなくていい」~これにはジェンダーも絡んでいますが、「大学なんか行っても意味がない」など)もあります。

また、女性にありがちなのは(女性の話が多くて申し訳ないのですが)、上記のような親からのメッセージに限りません。いったんそれなりにやり甲斐のある仕事に就いたものの、結婚や出産などのライフイベントによってキャリアが中断され、再び働こうというときには以前のキャリアや実力に見合った仕事をさせてもらえず、パートなど非熟練労働しかない、といった状態です。となると、働くのは「お金のため」「家計のため」になってしまい、仕事を通じて自己実現をしていくというのとは遠ざかってしまいがちです。

これは、本人の問題と言うより社会の構造(キャリア中断を原則認めない、育児のためのサポートが十分でない、実力のある女性が実力を発揮できるような仕事やポジションを与えない)も大いに絡んでおり、議論されていることも事実です。が、それも「仕方ない」と諦めてしまうより、方法を見いだしたり作っていったりすることも可能です。

能力の問題というより、性格や興味などと職業などやっていることや置かれた立場が合っていない場合もあります。アーティスティックな人、クリエイティブな人などによく見られます。そのはけ口がないまま、単純作業のようなことをやらされていたら窒息してしまうでしょう。仕事や、生計のために必要であれば単純作業の方をつづけつつ、できる範囲でもっと自分のやりたい、自分の内から出てくることをやれると少しラクになっていきます。とは言え、このタイプの人でなかなか自分が信用できない、という場合もあります。世間や親の価値観に流され、「そんなの役に立たない」とか、「そんなのお金にならない」、「無駄だ」などと思ってしまっている場合も、少なくありません。

いずれの場合も自分を卑下したり、諦めたりするのでなく、自分の能力や価値、関心を認めてあげた上で、現在置かれた場所でできるちょっとしたことから始めることが、やがて突破口につながることになるのだと思います。カウンセラーとしての役割は、その人の性格や能力に気づき、「不一致」を減らす方向へ向けていってあげることです。クライアント本人に気づきがあり、努力が噛み合い出せば状況は改善して、人生の充実感も増すでしょう。オープンマインドでは、その人がその人らしく、かつベストな状態になっていけるよう、支援をしています。

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