「自分でやるという選択肢」 DIY STUDIO〔ディーアイワイスタジオ〕 ・ 原 直樹
OPEN Magazine "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。
今回は、リノベーション会社・FIELDGARAGE〔フィールドガレージ〕が運営するレンタルスペース・DIY STUDIO。
コロナを機にブームにもなったDIYは、Do It Yourselfの略で、直訳すると「自分自身でやる」ということ。自分で小物や家具を作ったり、壁紙や床の修繕・張り替えを行ったりすることを指します。
"都会の作業場"とも呼ばれているDIYスタジオは、地域の人々が気軽にDIYできる環境を提供しています。そんな場を手掛けているFIELDGARAGE代表の原さんに、DIYの魅力や今後の展望についてもお話伺ってきました。
ただの趣味では終わらない、DIYの奥深い世界に迫ります。
リノベーションで社会貢献する
- - 広い視点でいえば、原さんは「ものづくり」を生業にされていると思いますが、過去に興味を持つきっかけがあったのでしょうか。
原さん:両親が美術関係の仕事をしていたので、その影響を受けたと思っています。小さな頃から、図画工作といったものづくりが大好きでした。
建築系の大学に進んで、卒業後に小さな設計事務所に就職しました。そこでは7年ほど働いて、その後にリノベーション会社・FIELDGARAGEを立ち上げ、独立しました。
- - なるほど。では、なぜリノべーション会社だったのでしょうか?
原さん:とにかく社会貢献がしたかったんです。僕の中で、リノベーションは「時代に合わなくなった機能や性能をアップデートさせ、新たに価値を生み出すこと」だと定義しています。リノベーションを通してなら、僕の中での最大限の価値創造ができると思ったんです。
実体験を元に生まれた場
- - では、DIYスタジオについて教えてください。ここはどんな場所なのでしょうか?
原さん:DIYスタジオは、いわば都会の作業場です。DIYは、僕自身の長年の趣味なのですが、マンションに住んでいた時は、大きな物音が立てれず、DIYに励むことができなくて。そういった経験もあって、「誰でも気軽にDIYが楽しめる場所をつくろう」と考え始めたんです。
- - なるほど。DIYスタジオは、実体験を元に生まれた場所だったんですね。実際には、どんな用途で使われている印象ですか?
原さん:サイズが合わなかった小物や家具のカット、ギターのカスタマイズやコスプレに使う道具づくりなんかもありました。あとは、夏休み期間中に、子どもがものづくりの課題をやりにくることもあります。全く予期していなかったニーズが多く、今やそれを知るのも楽しみの一つになっています。
- - 「あとほんの少し高さがあったら、ピッタリなのに」、「買い換えるほどではないけど、直したいな」みたいなことはよくあることですよね。当店・OPEN NAKAMEGUROでも、軽度の什器作製や修繕はDIYで行なっています。
原さん:素敵だと思います。中目黒のような都会で暮らしていれば、何不自由なく過ごすことが出来ますが、「自分でつくる」という発想を持てば、より創造的な暮らしができる思うんです。それが豊かさにも繋がる気がしていて。DIYスタジオがそのきっかけを担えたら嬉しいですね。
DIYを一つの選択肢に
- - 地域の方が参加できる"DIYイベント”なんかも開催できたら楽しそうですね。
原さん:以前に、廃材を用いて木箱をつくるワークショップを開催したことがあります。あとは、目黒銀座商店街のフリーマーケットにも参加しました。その時は、ただ廃材を売るだけでしたが、わりと好評で。「何に使うか分からないけど、とりあえず買っておく」みたいな方が多かったです。廃材との一期一会を楽しまれている印象でした。
- - この活動が地域の方とも繋がれる機会になっているんですね。では、DIYの魅力について教えてください。
原さん:費用が抑えられるという経済的なメリットもありますが、僕は「自分でつくる」という体験が得られる点に魅力を感じています。
現代では「ものを買い、消費する」というサイクルに陥りがちですが、自分でつくれば、愛着心も湧いて、ものをより大切に使おうとする意識も芽生えますよね。僕らの暮らしのなかに、DIYという選択がもっとあってもいいのではと思っています。
はじめの一歩目になる
- - 最後に、今後の展望について教えてください。
原さん:DIYスタジオを通して、ものを大切にする人が増えれば嬉しく思いますす。DIYは、ものづくりの楽しさと大変さも教えてくれます。一度経験すれば、ものを大切にする人もきっと増えると思うんですよ。
買った家具がグラグラだと少しイライラしますが、自分で作った家具だと許せたりします。誰かに頼むのではなく「自分でつくる、直す」といった選択肢を持てば、より暮らしが楽しくなると思います。この場がDIYをはじめる一歩目になれば嬉しいですね。
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