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「街は変われど、人は変わらない」 small cat 〔スモールキャット〕 ・ 榊 祐一

OPEN MAGAZINE "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。

今回は、海外買付のこだわり抜いたヴィンテージアイテムが揃う古着屋・small cat〔スモールキャット〕 。OPEN NAKAMEGUROの真向かいにある、正真正銘のご近所さん。若者だけではなく、シニア世代のファッション通も足繁く通う場所には一体どのような"魅力"が詰まっているのか。

本取材では「場づくり」の話を中心に、「店名に込められた想い」やオーナー・榊さん自身の「今後の展望」についてもお話伺ってきました。

僕らの使命

- - 古着屋をはじめたきっかけについて教えてください。

榊さん:これまでに、古着屋やセレクトショップなど、いくつかのアパレルショップで働いてきました。もともと独立心はあったのですが、具体性はなく、漠然としていました。

30歳前半の時に「このままでは数年先も同じことをしているかも」とふと思ったんです。当時の僕は「いつか、いつか」と待っているだけだったので、当然チャンスも訪れませんでした。自分を変えようと決意して、2018年にsmall catを開業させたんです。

- - 開業は自身の決意の表れでもあるんですね。では、"small cat" という店名の由来について教えてください。

榊さん:実は、特別な理由はなくて。「店名に子猫を用いると可愛いのでは?」という単純な発想から、「small cat」と名付けたんですよ。ちなみに、内装も子猫が遊べる様な骨作りになっています。子猫のように、誰もが親しみやすいお店になればいいなと思っています。

- - たしかに。開放感もあって、子猫が動き回る絵が思い浮かびますね。具体的に、small catはどんなお店なのでしょうか?

榊さん:small catは、僕らが好きなものを集めたヴィンテージ古着ショップです。トレンドを意識した商品はセレクトせず、こだわり抜いたアイテムのみセレクトしています。お客さまには、不変的で価値あるアイテムを手に取り楽しんでいただきたいんです。

ヴィンテージのTシャツやアクセサリーには、語り尽くせないほどの魅力が詰まっています。ヴィンテージのアイテムを見ていて「なぜこのデザインなのか」「なんか値段高くない?」という、ふとした疑問にはちゃんと答えがあるんです。僕たちはそんな疑問にちゃんとお応えしたくて。古着という文化を伝えていくことが僕らの使命だと思っています。

カルチャーを起点とした場づくり

- -日々の営業では、どのような方々にお越しいただいている印象ですか?

榊さん:それで言うと、僕らが好きな文化を同じように好きと感じている、価値観が近い方が多いです。うちが取り扱っている古いアイテムだと60年代のアイテムもあるので、ご年配の方も常連でよくいらっしゃいます。samall catは、若い世代が文化を知る「発見の場」でもあり、大人の世代が「懐かしむ場」でもあります。これからも、古着という文化を起点とした場づくりを行なっていきたいと思っています。

- - 古着は世代によってはとても新鮮に見えたりしますよね。どの世代でもそれぞれ違った価値を感じられることも、魅力の一つかもしれません。

榊さん:僕もそう思います。古着は気張りせず、気の向くままに着て、日常的に楽しんでもらえたら。そのアイテムの価値を分かった上で着ると、より気分も高まるので、僕らはその価値のワケをちゃんとお伝えしていきたくて。

- - なるほど。では、接客で心がけていることがあれば教えてください。

榊さん:できるだけ価格以上の価値を感じていただくためにも、僕らは「価値のワケ」をお伝えるすることに注力しています。
それを体現するためにもリアルな場がどうしても必要になってきます。だからこそ、僕らは実店舗を構えたんです。

- - 実店舗というリアルな場から、”古着という文化”を発信されているんですね。次に、中目黒という「地域について」お話を伺っていきます。

変化に寛容な街 

- - 開業の地に中目黒を選んだ理由について教えてください。

榊さん:中目黒は都会でありながら、自然も程よくある街です。この街には、創造性を刺激するような、独特な雰囲気も流れています。ファッショナブルな人たちも多く訪れるので、僕にとってはずっと憧れの街でした。

開業してから5年経ちますが、中目黒という街自体は変化しているけど、人は変わらないといった印象ですね。お店が増えたり、減ったり、街の変化はありますが、この街にいる人たちの大らかな雰囲気は全く変わらないです。

中目黒は変化に寛容な街だと思います。だからこそ、新しいものが入ってきやすい街なのかもしれません。それがこの街に賑わいが絶えない所以だと思います。

- - たしかに。それで言うと、中目黒は新陳代謝ある街とも言えるかもしれませんね。そういえば、中目黒はふらっと散歩していても、古着屋をよく見かけますね。

榊さん:意外と古着屋がある街なんです。中目黒で古着屋を営んでいる方々は、皆んな穏やかな方ですよ。「古着屋って入りづらい」なんてイメージを持っている方もまだ一定数いると思っています。そんな方々も是非中目黒で古着屋巡りしてもらえたら嬉しいです。

中目黒の地から、社会貢献を

- - 最後に、榊さん自身の展望について教えてください。

榊さん:これからも、”古着という文化”をこの場所で語り続けたいです。それが僕たちの使命であり、やりたいことでもあるんです。
古着屋という商売ではありますが、お客様が古着の面白さや楽しさに気づく、一つのきっかけになれたらと思っています。それこそが僕たちの存在意義なんです。

あと、もう一つ。以前、古着の仕入れでタイ-カンボジアの国境地帯に訪れた際、世界中から寄せられた古着の寄付が利用されず、ゴミの山になっている光景を目の当たりしました。その時、僕は言葉を失ってしまって。古着という文化を後継していくためには、こういった問題にも着手し、貢献していかなければいけないと思ったんです。

古着という「自分の好きなこと」で社会貢献ができたら、どんなに幸せなことでしょうか。正直、まだ具体的には取り組めていませんが、近い将来、社会問題にも寄与できるように、この場所・中目黒から発信し続けたいと思います。


small cat〔スモールキャット〕

OPEN = 12:30~18:30〔火曜日-日曜日〕
Adress = 東京都目黒区中目黒3-2-19-105
Regular holiday = 月曜日
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