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「過去から新しさを見出す」 newterritory 〔ニューテリトリー〕 ・ 井藤 邦雄

OPEN Magazine "Based in Nakameguro"では、中目黒エリアに拠点を構える店舗や人を特集し、街の魅力を繋いでいきます。

今回は、有名無名問わず、様々なジャンルや年代のアイテムが揃うヴィンテージショップ・newterritory 〔ニューテリトリー〕。

倉庫の一角を改装してつくられた広々とした店内。そこにはクラシカルな照明や、モダンなオブジェ、90年代のポップアートなど、個性的で存在感あるアイテムが並びます。これらは全て、オーナーである井藤さんの感性によって集められたもの。ヴィンテージアイテムの魅力やお店を長く続ける秘訣、そして、自身の展望についてなど、取材を通して井藤さんが歩んできた旅路を辿ります。

宝探しのような体験

- - 早速ですが、ヴィンテージショップの開業に至ったきっかけについて教えてください。

井藤さん:実は、趣味が高じての開業だったんです。
もともと20年以上アパレル店員をやっていました。当時、洋服の買い付けや旅行で海外に行くことが多くて。その度に現地でヴィンテージアイテムばっかり買っていたら、どんどん溜まっていって。うちで眠らせておくより、誰か使ってもらえたら、と思ったのがきっかけでした。

- - なるほど。では、実際に開業されたのはいつ頃ですか?

井藤さん:90年代の後半です。実は、ヴィンテージショップを始める前に、恵比寿で居酒屋を開業したんです。しばらくして、その近くに空き物件が出たので、そこを借りてヴィンテージショップをはじめて。その場では10年ほど続けました。

- - 中目黒に移転された理由が気になります。

井藤さん:移転した理由は、上階に友人の事務所があったからです。「1階が空いたからどう?」と声をかけてくれて。この物件は天井が高く、大通り沿いにあるため、荷物の搬出搬入がしやすくて。ヴィンテージアイテムを扱う僕からしたら、とても好都合な物件だったんですよ。

- - なるほど。店内を見渡すだけでもワクワクしますが、かなり幅広いジャンルのアイテムを扱われているんですね。

井藤さん:有名無名問わず、年代も様々で。世界各国から仕入れていますが、アメリカやヨーロッパのものが多いです。無作為に思えるセレクトですが、笑えるチャーミングなアイテムも意図的に取り入れるようにしていて。中には、貴重な絵画や彫刻も隠れているので、宝探しのような体験を楽しんでもらえたら嬉しいです。

芯のある街

- - お店を長く続ける秘訣があれば教えてください。

井藤さん:無理のない範囲でやること、ですかね。僕はこの仕事を今でも趣味の延長線上みたいな気持ちでやっていて。「どこまで追い求めて、やらないことを決めるか」がお店を長く続ける秘訣だと思っています。

プライベートの時間を確保するためにも、仕事を抑えることが必要です。自分自身と相談しながら「決めたことだけやればいい」と僕は思っています。何かを無理している状態では、長く走り続けることなどできませんからね。

- - では、恵比寿と中目黒を比べて違う点や特徴はあったりしますか?

井藤さん:恵比寿と中目黒は似ているところが多い気がしています。商店街があったり、その地のお祭りがあったり、トレンドの発信源でもありながら土着的に根付く文化もあって、いずれもブレない芯のある街だと思っています。

素を魅せる

- - ヴィンテージアイテムの魅力について教えてください。

井藤さん:ヴィンテージアイテムといえば、付加価値が伴い、高価なものだと考える人が多いですが、見方を変えれば、ただの中古品ですよね。だから僕はなるべく安く買えるようにしたくて。値付けをする際は市場価格も加味しますが、手に取りやすい価格設定を心がけています。

- - 店内を拝見した時、手に取りやすい価格帯のものばかりで驚きました。では、アイテムはどのくらいの頻度で仕入れていますか?

井藤さん:気に入った物があれば、適宜仕入れています。仕入れたらどんどん山積みに陳列しているので、常連さんからは「あれ10年前からあるよね?」なんて言われたこともあって。正直、私自身もどこに何があるかまでは正確に把握しきれていませんが、どれもこだわりを持って仕入れた思い入れのあるアイテムなんですよ。

- - なるほど。山積みに販売されているのは何か意図があるのでしょうか?

井藤さん:その方が商品の素の状態をお見せできると思っていて。うちは商品をよく魅せるための陳列や装飾は一才行っていないんです。だからこそ「どう使おうか」と思いを馳せながら、自由気ままなショッピングが楽しめると思います。

古さは、新しさでもある

- - 最後に、今後の展望について教えてください。

井藤さん:近い将来、物流がより滑らかになって、買い物もしやすい世界になるかと。僕らのような事業者は海外に売るアプローチがより欠かせなくなってくると思います。そういった意味では、ヴィンテージショップは若者こそチャレンジし甲斐のある分野だと思いますよ。古いけど新しい、そんなものとの出会いでも、人生はちょっと明るくなるんです。新しさは未来だけはなく過去にもあるんですよ。


newterritory 〔ニューテリトリー〕

Open = 12:00~19:00
Address = 東京都目黒区上目黒1-3-9-1F

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