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ポジティブな人だけがうまくいく 3:1の法則(バーバラ・フレドリクソン=著)

わたしが最も愛する書籍、ポジティブ心理学のお話です。

初版は2010年で、「神戸大学の金井壽宏先生が絶賛!」という帯で吸い込まれるように購入した一冊でした。書店での偶然の出会いは素晴らしい。金井先生、感謝です。(金井先生著書の”読書きろく”はまた今度)

全ページを抜き出したい気持ちですが、今回はいくつか抜粋して書き留めさせていただきます。

※amazonで新書はありませんでした。気になる方はお早めに。

ポジティビティは、「笑顔で耐えよう」とか、「心配するのはやめよう。いつも機嫌よくしていよう」などというモットーのようなものではありません。そんなものは単なる表面的な理想です。ポジティビティは人間心理のもっとずっと深いところを流れるもので、感謝、愛情、楽しみ、喜び、希望、感動など、幅広い肯定的な感情を含んでいます。

ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則(バーバラ・フレドリクソン=著)

まずは「ポジティブ心理(ポジティビティ)」を定義していた一文です。

この定義から始まり、本書では様々な実験結果や例示を使ってポジティブ心理学を説明しています。本書で説明するポジティブ心理学とは、引用のとおり、わかりやすすぎる楽観性や心配しない心がけではなく、ものごとをどう捉えるか(肯定的な感情)が重要であることを認識させてくれる前半でした。よくある「ポジティブに生きようぜ!」的なものとは異なります。

image:illustAG

次におもしろいと思った一文を抜き出してみます。

しっかり注目すべきは、感情の「ラベル」ではなく、感情を引き起こす「きっかけ(スイッチ)」のほうです。

ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則(バーバラ・フレドリクソン=著)

喜び(JOY)感謝(Gratiutude)安らぎ(Serenity)興味(Interest)希望(Hope)誇り(Pride)愉快(Amusement)鼓舞される感情(Inspiration)畏敬(Awe)そして愛(Love)

このような10個のポジティブ感情を1つ1つ丁寧に説明してくれているのも素晴らしいのですが、その前のページにこの引用文があります。これらの感情を引き起こすためのきっかけが重要だと書いてくれています。この実務(使い方)まで突っ込むあたりが、実際の日常をとらえている実践書として素晴らしいと感じています。ちなみに中でも愛情は別レイヤーとして存在している特別なものだそうです。
このようなポジティブ感情が、ものごとの捉え方や何かしらのきっかけから自分の中に生み出せれば素晴らしいですね。

一例ですが、「ポジティビティのオンとオフ」の章に例示がありますのでご紹介します。(きっかけひとつでこんなに捉え方が変わるんです)

私はバスの中で本を読む。忙しくてもバスの中では確実に好きな本読めるので、この時間が楽しみだ。バスの路線が近くにあって私は幸運だ。おまけにこの町のバスは無料なのだ。乗る時間は結構長いので、1章くらい読めてしまう。よい本を選べば通勤の時間が視野を広げる時間になる。また席を選べば、お気に入りの噴水が毎日見られる。

例①:ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則(バーバラ・フレドリクソン=著)

今朝も寒い。風が強いと私はじんましんが出るのだ。毎日途中で、若者が1人乗ってくる。やけに陽気な男で、大声で誰にでも挨拶する。私は本に集中できなくて、同じ箇所を何度も読まなければならない。やがて、たまった用事や仕事のことを考え始めてしまう。車でくれば、もっと早くオフィスについて、遅れている仕事にとりかかれたのだ。このバスはいったい何でいつまでも止まっているのだろう。

例②:ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則(バーバラ・フレドリクソン=著)

思わず笑ってしまいました。なんとなく例①思考の方より例②思考の方の方が多数派なんではないかと思えてしまいます。
ごくありふれた同じ通勤シーンで、ものごとの捉え方の違いを極端に書いてあるだけなのですが、「もしかして私は後者?」と初めて読んだ当時は思えてしまいました。

本書の説明では、「感情は天候のように気まぐれに降りかかってくるもののように思われていますが、自分の感情を驚くほどコントロールできる」とされています。意識的な思考の方向転換だと。「心の持ちよう」と古くから言われていますが、ポジティブ心理学をわかりやすく表現されていると思い引用いてみました。

では、最後に題名にもなっていく「3:1」核心の部分です。

ティッピングポイントという考え方は、この手品のトリックを解き明かしてくれました。3:1以下のとき、ポジティビティは、ネガティビティの強大な力に圧倒されて何もできません。3:1を超えたときにようやく、非力なポジティビティは数の力で何とかネガティビティに打ち勝つことができます。

ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則(バーバラ・フレドリクソン=著)

ポジティビティとは、自分の心の全てを埋め尽くせば良いわけではありませんとバーバラさんは言ってくれています。毎日・全てがポジティブである必要はないということで、少しホッとしました。ありますよね、ネガティブな感情に包まれてしまう時。
人にとってまさに「ちょうどいい」状態が、「ポジティビティ3:ネガティビティ1」という発生割合だというのです。各種実験についても書かれています。
ネガティビティの必要性としては、

実際、「繁栄」する人生を作るために、「適切なネガティビティ」はなくてはならない材料なのです。

ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則(バーバラ・フレドリクソン=著)

とまで表現されています。

このあと、「味わいつくそう」「わくわく」「エネルギーが補充される」「自分の強みを知ることがポジティビティの上昇につながる」などなど、私にとって大切なキーワードが続きます。
ポジティブ心理学が必要だと思い、現在の心のバランスをとる一番の拠り所となった一冊です。

感謝。

image:dreamstime


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