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【読書感想】ウエハースの椅子/江國香織 新潮社

【はじめに】

 ある人のオススメで初めて江國香織さんの作品に触れた。結論から言うと好みの作品ではなかった。なぜだか分からないが、いかんせん文体が僕に受け付けなかった。
 前提条件として僕は普段、学校への移動中(往復4時間)の空き時間で読書をしているのだが、読了するまでに3日以上かかった本は好みの作品ではななかったと考えている。それこそ面白ければ1日の移動時間で読了してしまうからだ。

【読書感想】

 さて、中身の話をしていく。主要人物は主人公の女性、恋人、妹、妹の彼氏だ。主人公の生活と考えが描かれていく。
 読了後、なんとも言えない気持ちになった。というか、しばらくスッキリ終わる作品、後味が良い作品に触れられていない。小説というのは人の心を動かすものであって、それは喜怒哀楽のどの感情でも良いと僕は思う。だからこの作品も良い作品なのだと思う。
 僕はこの作品で「満足することの不満足」を強く感じた。絶望は1人でいる時には現れず、恋人のことを考えると現れることや、恋人に一方的に別れを告げて1人死を待つときだとか、そのような場面からだ。妹にも、「姉さんは忙しい方がらしい」的なことを言われており、一定の状況下にあり続けることで当人は満足した気になっているだけで、周りからみれば満足している風にはみえないということもあるのかもしれない。
 「絶望」は他人との関わりで生まれる。1人でいれば他人に絶望することもないし、他人と比較して自分に絶望することもない。もともと1人であれば孤独も感じない。幸福を求めるために他者との関わりを持とうとするが、一方で深い絶望へと踏み込んでいるのかもしれない。

【おわりに】

 映画や小説といった創作作品は人生に彩りを与えてくれる。昔から物語の世界に憧れていた。ファンタジーにもSFにも日常にも。
 その一方で、日常生活を送るとイヤでもそんなことは起こらないと理解させられる。想像に夢を馳せるぐらいならいっそ触れない、知らない方が良かったのかもしれないと時々考えてしまう。しかし一度知ってしまったからには抜け出すことはできない。僕は今後も映画を観まくるし、小説を読みまくるしかないのだろう。
 ここまで読んでくださりありがとうございます。次回は映画の予定です。またお目に掛かれれば幸いです。
 

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