親との時間 子との時間 モヤモヤした感情の正体
両親はそのまま上手くいくと思っていた
父は数年前に仕事を引退した。私が子供の頃からそうだったが、家事をしないで過ごしていた。たまにやっても母に言われてゴミ出し程度。
母は一人で家事一切を担っていた。父が引退した後でも「そういう時代に育ってきた人だから」と積極的に家事をさせようとしなかった。
当時私は小学生低学年の子供を育てるWM、他の世帯の家事分担にまで正直気が回っていなかった。
両親宅はそれで一応なんとかなっていた。
ところが先月から急に母が具合が悪くなってしまった。
血液検査もレントゲンも心電図も、他にいくつかの検査もやったけれど異常なし。ドクターショッピングのように救急車で病院にかかったり、時間外で大学病院で診てもらうようなこともあったが、結果は全て「異常なし」だった。
一人の医師が「メンタルなんじゃないか」というので紹介状を書いてくれた。メンタルクリニックの予約は現在非常に取りにくい。
「いざとなったら行くから」
いざとなってからでは遅いのだ。だって予約がとれないから。
それで予約をとってもらった。一か月半後の予約。しかも予約をする日はこの日と限られており、その時間を確保するのも非常に困難だった。
少しずつ時間を削られていき、自分の生活が追い詰められる恐怖
いい格好をしたいわけではなく、出来るだけ今までどおり、母が家事をやり父が緩やかに年老いていく状態に戻したかった。もちろん母も年老いていくのだからある程度は仕方ないと思っていてもだ。
そこで私は出来るだけ母を休ませたり、病院に付き添ったりする方向で頑張った。
私たち家族とは生活時間帯が違う親世帯。
食事の時間も違えば内容も違う。
実家ではおかずの品数が多かった。
夫と結婚してから
「こんなにたくさん作るのは大変だから、もっとシンプルでいいよ」
と言われた。
それでも何品も作ってしまう癖を長年かけて修正してもらい、今では夕飯は一汁一菜、大皿料理どーん!である。
親世帯は何品もある料理が普通で、しかもあっさりしたものを好む。時間帯も早い。
しかし全てに対応できるわけではないので、一緒に作って分ける方式をとってきた。
それで不満が出てきているけれど、私に出来ることは限られているので週末は昼夜と料理を作って提供していた。
ところが、やはり気に入らなかったのか、親たちは自分達で用意したものを食べたいとフラフラしながら買い物に行き、また疲れてしまったり食材を無駄にして私に「使って」と中途半端な量を渡すようになった。
これは料理をしたことがある人にはわかると思うけれど、非常にやりにくい。
結果、二回夕食を作るくらいの労力をかけるようになってしまった。
そんなこんなで料理や買い物、こちらに従ってくれない両親とのすり合わせの時間が日常の業務に追加されるようになった。
自分の仕事、自分の趣味、健康、人間関係、これらは全て時間というもので配分されている。
親には大変感謝しているし、不自由なく生きて欲しいと思っているけれど、ある程度で妥協してもらわないと無理だ。
他の兄弟にも情報提供はしているが、やはり近くにいないというのは理解して動くのは無理なのだと日々感じるようになった。
医者もケアマネからも私の携帯に仕事中でも連絡が入る。
意思決定の要は自分なのだと思い知らされる。
家事やケアを下にみている人のためにそれをやりたくない
父という人は世代的に根っから男性と女性の社会的役割が頭の中に固定されている。
仕事をして金を稼いでくる自分は偉くて、料理や洗濯や掃除、子育てなんてみっともないことは自分はやらないし、やりたくない。
そういう気持ちが透けて見える。
そういう人のために家事やケアをしてあげたいと思うか?
モヤモヤの原因はそこにある。
下に見下すことをやってもらわなかったら、一日たりとも生きていけないくせに
今の40代くらいまでの女性にはよくわからない感覚かもしれないけれど、よほどの意思をもって人生の選択権を得るための交渉をしなければ、働くことも学ぶこともままならなかった世代だ。男女雇用均等法が施行されたのは就職活動を始めた時だった。
それでも女はクリスマスケーキ、つまり24までに売れなければ価値がない存在だった。
でも価値って?
貰ってもらうための価値だ。
つまり貰ってもらったとしても、そのあと待ち受けるのは金を稼ぐという力ではなく、誰かの下について、その人が下に見る家事育児をするという価値だ。
今、文字にしていても悔しいし悲しい。
当然就職後にスキルなんて身に着けられるはずもない。
自分で密かに努力しなければ、だ。
まあそれはそれとして、家事育児は下に見られていると知りながら頑張って日々それをこなしてきた。
それとは別に仕事で頑張って、かなりの成果をあげているつもりだ。
それでも父親が期待するのは父親が下に見ている家事とケアだ。
なんとか心を胡麻化しつつも、うまく両親の手助けをしている。
今はそれがベストな選択だからだ。
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