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慶應義塾中等部対策講座 俳句編②季語 御田植(おたうえ)

6月24日は伊勢神宮の伊雑宮(いざわのみや)で「お田植え」すなわち、お田植え祭があります。田植えと言うものは本来、神祭り、神事だったのです。宗教的儀礼だったのです。

この神祭りには、芸能、舞や音楽が伴うので後に、ここから田楽や能楽が始まったのです。さらに田植えの行われる夏の季語として、御田植(おたうえ)御田(おんだ)御田祭(おんだまつり)神植(かみうえ)と言った言葉が今も残っているのです。(俳句歳時記「夏」角川ソフィア文庫)

本来、日本人にとって、水田というものは神聖なものだったのです。一種の神域だったのです。田の稲の苗を植えることは、大地に新たな生命が誕生することを意味します。山から雨によって森林を潤す、養分たっぷりの水が川を通って水田がその受け皿となっているのです。

山も日本人とって山の上様のいらっしゃるところでした。流れてくる清流も山の神様の御恵みでした。水田はそのような御神水のたたえるところでもあったのです。

毎年毎年、お米の収穫をしても、土地が痩せてしまわないのは、ヨーロッパ人にとっては驚くべきことなのです。ヨーロッパの畑は連作が続くとどっちが痩せてしまって作物が育ったなくなってしまうので、時々土地を休ませなくてはなりません。

土地の生産効率が悪い分、酪農や放牧などして家畜を飼わないといけないのです。肉やバター・チーズ・牛乳などの乳製品は生きるための不可欠な食料となったのです。痩せた土地でも牧草は育つので牛の放牧をすれば家畜のふんが肥料となりました。何よりもヨーロッパ寒いので亜熱帯性の植物である稲は育つはずもないのです。日本人は昔から田に神様がいらっしゃると信じて、田の神様に感謝しながら田植えをと言う神聖な儀式を行ってきたのです。

水田の価値は科学的にも証明されています。夏の暑さも水が絶えずあることで抑制され、温暖化熱帯化を緩和してくれています。また農薬などを使わない昔は蛙、ドジョウ、タニシなど生態系が豊かなためコウノトリなどの大型の鳥類や肉食のフクロウなども繁殖していたのです。水田の荒廃によりこのような豊かな生態系を破壊されたのです。

俳句の季語にはこのような日本の伝統的文化がたくさん残されています。季語を学ぶことで日本人の精神文化は後の時代に継承されてゆくはずです。子供たちにはぜひ日本の自然の豊かさ、四季の豊かさを学んでほしいものです。

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