ミルと福澤 小泉信三『読書論』(岩波新書)
慶應義塾の塾長であり、経済学の著書もあった小泉信三さんの「読書論」には、福澤諭吉が「J・S・ミルの『功利主義』をどれだけ熱心に読んでいたか」紹介している箇所があります。
第三章「制裁論」の所感として、福澤による次のような「書き入れ」があります。
いわゆる「人事を尽くして天命を待つ」のことを言っているのでしょう。
「天命を待つ」という言葉には、日本人特有の「タナボタ式」あるいは、わらしべ長者のような「ありえない奇跡を期待する」ニュアンスが含まれていると思われます。
福澤は、そのような「ありえないミラクル」を否定したかったのでしょう。それよりも、「人間的努力を極限までやれ」と言いたかったのではないでしょうか。
小泉信三さんは、福澤の「書き入れ」について、次のように記しています。
小泉信三さんは、読んだ本を記憶するために、アンダーラインを引いたり、書き入れしたりすべきだとしています。その一例として、福澤諭吉も書き入れをしていたことを紹介しているのです。
これは、小泉信三さんだけでなく、「読書力」(岩波新書)を書いた齋藤孝さんも勧めていることです。
福澤も熱心に書き入れをしながら読んだJ・S・ミルの「功利主義」は、岩波文庫から出版されています。
あなたが、慶應高校や慶應大学を受験するようなら、この本をできるだけ早く入手して、福澤諭吉のように「書き入れ」をしてみるのもよいでしょう。
きっと、今までとは違った「読書」が味わえると思います。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?