マガジンのカバー画像

妻恋う鹿は笛に寄る(自作の詩と散文)

110
瀬戸内海に面する小都市で暮らし、働きながら詩や散文を詠んでいます。情景を言葉として、心で感じたことを情景にして描くことを心がけています。言葉の好きな方と交流できたらいいなと思って…
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

解放

解放

何でもない風景に美を見出す君は

幸せそうに微笑む

季節の移ろいの中で美しくなる君は

他に代わりのない存在として溶け込む

いつか私たちは全てを手放し

次の世界へ旅立つ

いつか私たちは傷つく事から解放され

人の弱さを認められる

いつか私たちは希望を見出し

絡まった糸から美しい布を紡ぐ

ひと筋の気泡

ひと筋の気泡

深い沼からひと筋の気泡が立ち昇っていた。魚がいるのかな?こんな汚れた沼にでも魚は棲んでいるんだと木こりは横目で通り過ぎようとしたが、気泡からは何かメッセージ性のようなものを感じた。居ても立っても居られなくなって、異臭すら漂う沼に飛び込んで深く潜った。服やズボンや靴やら全て水分を含み邪魔だったが、木こりの持ち込んだ気泡と立ち昇ってくる気泡が混ざらないように、慎重に潜った。かなり深くて息絶え絶えになり

もっとみる