【感想】オンライン対話型鑑賞「VTS(Visual Thinking Strategy)」に初参加してみた
VTS(Visual Thinking Strategy)という言葉を聞いたことがありますか?
VTSとは、対話型鑑賞、つまり1つの絵画を数人であれこれ会話しながら鑑賞するということです。
このVTSは世界のエリートや企業の幹部が最近注目し、実践しているそうです。
山口周さんの著書『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』でもこのVTSについて述べられています。
山口さんの本を読み、私もVTSを体験してみたいと思い参加してみることにしました。
この記事では、VTSはなぜ注目されているのか、具体的にどう行われるのか、そして私が実際に体験してみた感想を書いていきたいと思います。
なぜいまVTSが注目されているのか
なぜ世界のエリートはこのVTSに参加しているのか、それは美意識を鍛えるためです。
美意識とは、大雑把に言えば自分の内なる直感や感性のことです。
エリートは、この変化の激しい時代には直感や感性が必要だと考えているのです。そして、芸術作品の対話型鑑賞を通じてそれを鍛えようとしているのです。
対話型鑑賞には正解がありません。逆の言い方をすれば、正解は無限にあるとも言えます。この特徴はビジネスによく似ています。
ビジネスも、限られた時間の中で、その時に最良だと思われる判断を繰り返しながら行われるものだからです。絶対的な正解は存在しません。
ビジネスの判断とは、調査されたデータや過去の経験、経営者の直感などによってなされます。
現在、この直感による判断が重要視されています。
その理由が山口周さんの著書で3つ紹介されています。
ちなみに、ノベール賞を受賞している人には、音楽や絵画などの芸術的趣味を持っている人が多いようです。
これまでの内容をもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの書籍もご覧ください。
VTSは具体的にどのように行われるのか
zoom 2分間初見の絵を見る 何が書いている?どう感じますか?を話していく5週くらい チャットでもやりとり
ファシリの人が絵について解説 楽器とか解釈とか画家の他の作品とか楽器の音聞いたり
ここからは、対話型鑑賞「VTS」が実際にどのように行われるのかを書きます。
私は初めてこのVTSに参加しました。ですから、この1度きりの体験をもとに書くので、すべてのVTSが同じように行われている保証はありませんのでご了承ください。
まず、オンライン対話型鑑賞はzoomで行われました。
peatixという、オンラインイベントを検索できるサイトに会員登録し、直近でVTSが行われていないか検索したところ、無料で参加できるイベントを発見したので申し込みました。
このイベントには人数制限がありました。対話に参加できる人が5人程度と、発言はできない代わりにzoomのチャット機能を使ってコメントできる人が10人程度だったと思います。
このような開催日時やイベントの内容、参加方法などはpeatixのページですべて確認できました。
いよいよzoomで参加しました。
もうすでに、参加している方がいらっしゃいました。大学生からおばちゃんまで幅広い年齢層の方がいらっしゃいました。声を出して対話に参加していた人は全員女性でした。背景が本棚だったり、海外の建造物だったり、文学や芸術に関心がある方が多い印象を受けました。声は出さずにチャットでコメントする人はビデオをオフにしている方がほとんどでした。
時間になると、ファシリテーターと呼ばれる眼鏡をかけたおじさんがスライドを画面共有して自己紹介やVTSとは何かについて話し始めました。アロハの半そでシャツを着たそのおじさんは、実は美術館建設に関わったりする方だと自己紹介で明らかになり、驚きました。
おじさんが司会進行役で、われわれ参加者はその後も色々な説明を聞きました。
いよいよ参加者が主役となり、絵画について意見交換をする段階になりました。参加者全員は、2分間のあいだ画面に表示された絵を見ます。その後、声を出して参加できる人が一つずつ、おじさんの質問に答えていきます。おじさんからの質問は大きく分けて次の3種類でした。
「この絵で何が起こっていますか?」
「それについてどう思いますか?」
「Aさんはこう言っていますが、Bさんはどう思いますか?」
おじさんとAさん、おじさんとBさん、・・・という風に、参加者同士の直接的な対話はありませんでした。すべての会話はおじさんとのやりとりです。
声を出せる人全員が意見を言い終わると、2周目が始まりました。前の人の発言を踏まえながら話が進むので、話題はどんどん進んでいきました。結局、5周程度したと思います。
声を出せずにチャットだけで参加する人も、2周目あたりからコメントが増えていきました。声を出せる人もそのチャットの意見を拾いながら自分の意見を展開していました。
5周程度の対話が終わると、おじさんからその絵画に対する解説が始まりました。(ここまでで、開始から1時間ほど経過していたと思います)これは普通のVTSでは無いそうです。普通のVTSは議論して終わりだそうなので、答えが出なかった話題についてはそのままモヤモヤしたまま終了します。しかし、私が参加したVTSは、おじさんからの解説付きでした。
絵画の名前、画家の名前、絵画の解釈、画家の他作品、絵画が描かれた時代背景をはじめ、描かれている人物が持っている楽器の音を実際に聞いてみることもできました。
大まかな流れは、導入→実際に対話→解説、最後にちょっと質問コーナーのような時間があり、退出しました。
初めてVTSを体験してみた感想
結論から言うと、とても満足でした!!!
絵画の中で自分が注目する部分と、他の人が注目する部分がこんなにも違うのかと勉強になりました。描かれている人物が男性なのか女性なのか、同じ絵を見ているはずなのに意見が分かれることもありました。
およそ1時間もの間、1つの絵についてあーだこーだ話し合う機会はとても面白かったです。美術館で見たとしたら数分で通り過ぎてしまったであろう絵画にはこんなに奥深いストーリーがあったんだと知ることができました。
そして1時間悩んだ末に、実はこうだったのだと解説を聞くとモヤモヤがすっきりして声を出さずに脳内で「おー!」とうなってしまいました。描かれた地域の風習や文化的背景を知った後にもう一度その絵画を見ると、最初に見た時とはまた違う感情が呼び起こされました。
そして何より、このイベントに参加しなければ二度と出会う出なかったであろう方々と、声は出せませんでしたが、対話の内容を聞いたり、チャットでやりとりできたことをとても貴重だと思いました。
今後も、自分が普段関わらないであろうコミュニティにも積極的に参加し、色々な人の考え方を吸収していきたいと思いました。
私が参加したときは無料でしたが、今後は有料になるようです。しかし、それくらい価値のあるイベントだと思いました。
詳しくは書いていませんが、実際に参加してみると書ききれないほどのとても多くの学びがありました。興味のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか!
P.S. 居酒屋のアルバイトに応募しました。
よろしければサポートよろしくお願い致します!