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セミナー企画とファシリテーションのコツ7:「アイスブレイクの実践例②」

こんにちは。大木浩士と申します。
これまで1000回以上、セミナーやトークイベントなどを企画し、開催してきました。(具体例はこちら
この記事は、それらを自ら企画し開催してみたい。そう思われる方に向け、私が培ってきたセミナー企画のノウハウをお伝えする内容の第7回目になります。
※前回(第6回)の記事はこちらから。

今回のテーマも、前回に続き「アイスブレイク」です。

場の雰囲気づくりに大きな影響を及ぼすアイスブレイク。
今回は、
(2)参加者同士によるアイスブレイク
に焦点を当て、具体的な手法をご紹介いたします。

ステップ5(第5回)の中で、「グループワークを取り入れた進行手法」のお話をさせていただきました。

参加者同士が4名程度のグループになり、提示されたお題にもとづき、話し合いや作業を行う。
グループワークの質を高めるためには、参加者同士によるアイスブレイクを行うことも、大切なポイントです。

アイスブレイクの内容は、主に講師が考え、参加者に支持をします。
その提示する「問いの内容」や「時間配分」によって、アイスブレイクの効果は変わってきます。

ここでは、私が意識しているアイスブレイクの留意点と、具体的な事例についてご紹介したいと思います。

■アイスブレイクの問いや留意点

参加者同士がグループで行うアイスブレイク。
一般的なのは「自己紹介」です。

自己紹介で提示する「問い」に、私はかなりの神経を使います。
問いの数は、主に3つです。
時間がない場合は、2つになることもあります。

1つ目は「名前」です。
自己紹介の際の基本情報ですね。
ただ、初対面の人に自分の名前を知られたくない。そう思われる方もいらっしゃいますので、名前は「ニックネームでもOK」とすることが多いです。

2つ目は、答えやすい問いでありながら、参加者の属性をお互いが知ることができる内容を選びます。
先日開催した、教職員向けのオンライン勉強会では、「お住まいの地域と学校名」を2つ目の問いに設定しました。
どんな地域から参加しているのか。
小学校で教えているのか、それとも中学や高校で教えているのか。
参加者である先生方が、その情報に関心を持っていると考えたからです。

栃木県出身者を集めたセミナーでは、「栃木県内のどの市町村に縁があるのか」を紹介しあいました。
この情報を伝えあうことで、相手の生まれ育った環境をすぐにイメージすることができ、心の距離がぐっと縮まりました。

参加者が多様な地域から集まる可能性がある場合にも、よく「出身地やふるさと」などを2番目の問いとして設定します。
出身地やふるさとは、相手のバックボーンを知ることができ、話題が広がりやすい問いになると、経験を通して感じます。

テーマがビジネス寄りになる場合、「どんなお仕事をされているのかを一言で」を2番目の問いに設定することが多いです。
同じグループのメンバーがどんなお仕事をされているのか、参加者はそれを知りたいと思うからです。

開催するセミナーがどんな内容なのか。
参加者は、他の参加者に対してどんな情報を知りたいと思うのか。
それをイメージしながら、参加者のニーズに答えられるような問いを設定するようにしています。

3つ目の問いは、少しだけ踏み込んだ内容の自己紹介を心がけています。
その人の人柄や問題意識。そんなものが理解できるような内容を考え、選びます。

私がよく採用するのは、「楽しいことや好きなこと」です。
仕事でもいいし、プライベートでもいい。その人がどんなことに楽しさを感じるのかを知ることで、相手の人柄や関心ごとを理解しやすくなります。

先日開催したセミナー参加者の中に、「彼女はいないけど、結婚情報誌のゼクシイを読むのが好き」という男性がいました。
詳しくお話をうかがうと、「結婚願望が高く、今のうちから予習しておきたい。それから、自分の仕事と関係のない情報に触れることで、視野が広がる」との答えが返ってきました。
勤勉でユニークで、特有の感性を持つ方だなと個人的に感じました。
そしてその方への関心や親しみのようなものが高まりました。

「楽しいことや好きなこと」を話題にすると、共通の接点を見つけやすくなるのもよいですね。
映画が好き、アニメが好き、音楽が好き、小説が好き。
そんな発言があれば、相手への質問がしやすくなり、会話に活気が出やすくなる。
共通の接点がもし見つかれば、あっという間に意気投合なんてことも起こります。

「このセミナーのどこに関心を持ったのか」または「参加の動機」など。
これも3番目の問いとして、よく採用する内容になります。
同じグループのメンバーが、どんな思いで参加しているのか。
それを知ることで、相手との距離感が測りやすくなります。
このセミナーにおける相手の関心ごとが把握できることで、その後の質問もしやすくなります。

ちょっと変わった問いを立ててみたいと思う時は、以下のようなお題を提示することもあります。
「今の自分の気持ちを色で表現。できればその理由も」
自発的ではなく、嫌々参加している方が多そうなセミナーでは、このような変化球のような問いを投げかけ、刺激や変化をつくることがあります。

近い意図の問いとして、
「今の気分を5段階で点数をつける。5が最高。点数と理由を紹介」
のようなものを提示することもあります。
仮に低い点数を述べる参加者がいたとしても、それが笑いを誘い、場に明るさが灯りやすくなります。

他にも、
「週末の思い出」
「幸せな気持ちになれる食べ物」
「自分が絶好調になるために必要なもの」
「好きな有名人」

などを、参加者の年齢や性別、特徴などをイメージしながら考え、選びます。

3番目の問いを考える際には、
◎気持ちが前向きになりやすいもの。
◎個人の繊細な情報にまでは、深く踏み込まないもの。
◎あまり深く考えずに答えられるもの。
◎答えのバリエーションが多くなりそうなもの。

などの配慮も行います。

会場で参加者の様子を見ながら、セミナーの開催直前に問いを変更することも時々あります。
集まった人たちの立場になる。
そして、近くに座っている人と情報交換してみたい話題は何だろうとイメージしながら、問いの言葉を探すわけです。

本当はもう少し紹介したい情報があるのですが、長くなりましたので、続きは次回にしたいと思います。


セミナー企画のコツ。
次のステップは「アイスブレイクの実践例③として、
(2)参加者同士によるアイスブレイクの続きをご紹介します。
ご興味ございましたら、ぜひご覧ください。

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