当事者と一緒に内容を考える(『まずは小さくはじめてみる』・第3章-4)
2022年12月13日に出版される『まずは小さくはじめてみる』。
第3章のテーマは、「アイデアの魅力を磨く視点と手法」になります。
取り組みたいことのアイデアがほんの少しでも見つかったら、それを磨くプロセスが必要です。
取り組みの意義をわかりやすく人に説明するため。そしてファンや関心者を増やすためです。
今回は4番目のトピック、「当事者と一緒に内容を考える」をご紹介します。
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取り組みを効果的にそして魅力的に磨きたい。そう思う時、私が必ず行うことがあります。
それは〝当事者と一緒に内容を考える〟というものです。
課題を抱える本人や、対象にしたい相手と、一緒に取り組みの内容を考えるのです。
理由は、独りよがりになることを防ぐためです。
◎独りよがりを防ぐ
独りよがりとは、「他者のことを考慮せず、自分が良いと思うことを勝手に進めてしまうこと」です。
イベントを開催したが、関心を持ってもらえず、人が思うように集まらなかった。
セミナーを実施したが、アンケートの満足度が高くなかった。
私が過去に取り組んだことに中には、そのようなものももちろんあります。
振り返ればその多くが、独りよがりになっていました。自分1人の思い込みだけで内容を考えていたのです。
良かれと思ってはじめたことが、実は的外れなことになっていた。せっかく形にした取り組みが、そんなことになってしまうとショックですよね。
それを防ぐのに効果的なのが〝当事者と一緒に内容を考える〟になります。
◎相手の関心やメリットを知ることができる
当事者と一緒に考えることで、得られる利点がたくさんあります。
〝相手の関心ごとやメリット〟を知ることができるのも、その1つです。
取り組みの具体的な中身を考える際、「この内容で相手は満足してくれるだろうか。期待に応えられるだろうか」と心配になることがあります。
この心配を減らす最も効果的な方法は、相手から直接意見を聞くことです。そして一緒に内容を考えることです。
東京で開催する、栃木県出身者を対象としたイベント企画。
その中身を考える際、出身者数名に仲間になってもらい、企画づくりを進めました。
出身者は、ふるさとのどんなところが気になるのか。知りたい情報は何か。ふるさとをテーマに楽しさを演出するには、どんな方法が考えられるのか。
それらを一緒に考え、満足度を高めていきました。
高校生向けのセミナーを開催する際も、当事者である高校生と一緒に企画づくりを行いました。
高校生に楽しさを感じてもらうためには、どんな仕掛けが必要か。高校生の琴線に響くキーワードは何か。どんなメディアで告知を行えばよいのか。
それらを共に考え、形にし、大盛況のセミナーにすることができました。
対象者と一緒に内容を考えることで、自分では思いつかなかった情報やアイデアを得ることができます。
当事者が課題に感じることを、本人の声を聞きながら理解することもできます。
そうすることで独りよがりを防ぎ、取り組みの質を高めることができるのです。
◎当事者が協力者になる
当事者と一緒に内容を考えることで、当事者が〝協力者〟になる。これも大きな利点の1つです。
セミナーやイベントを開催する際、一緒に中身を考えた方たちが、よく当日に運営を手伝ってくれます。会場づくりや受付などの役割を担ってくれます。
また、告知面での協力者になってくれることもよくあります。
自分の意見が反映された取り組みに、人は愛着を感じるものです。
そのため、SNSで情報拡散をしてくれたり、知人に声をかけたりしてくれるのです。これが集客面での大きな成果につながります。
もしも人が集まらないことに悩まれているなら、複数の当事者に声をかけ、一緒に中身を考えてみてください。
対象者やターゲットをお客さん扱いするのではなく、彼らを企画側に巻き込みながら、一緒に内容を考えていくのです。
それが本人たちの楽しさややりがいにもつながります。
◎当事者が課題の解決者になる
当事者と一緒に考えることで、〝当事者が課題の解決者になる〟という利点もあります。
悩みや課題を抱える本人と、対話をしながら原因を探っていく。
そして解決策を考えていく。
解決策が見つかったら、簡単にできる小さな一歩を探してみる。
すると本人の中に、「自ら動いてみたい」との気持ちが芽生えはじめます。
人は、他者から押し付けられた考えに、どうしても抵抗や違和感を覚えるものです。それが正しい解決策であっても、なかなか動きたいとは思わない。
行動に導くには、本人が自分で気づくことが必要です。どうしたらよいのかを自分で考え、決めるプロセスが必要なのです。
「よい解決策を示しさえすれば、人が抱える課題は解決されるに違いない」
かつて私はそのように考えていました。
しかし、何度も失敗を重ね、それは自分のおごりであることに気づきました。
第三者である私は、課題の解決者になれない。
解決できるのは、課題を抱える本人なのだ。
私ができることは、考えたり気づいたりする機会をつくること。ヒントを伝え、動きはじめるためのサポート役を担うこと。今はそのように考えています。
そしてできるだけ、当事者と一緒に考える機会をつくるようにしています。
■ヒント20:当事者と一緒に考え、取り組みの質や魅力を高めていく。
第3章では他にも、
◎ビフォー&アフターを考える
◎〝「実は」で語れること〟を探す
◎原因について考えを深める
◎かけ算で発想する
◎〝三方良し〟になる企画づくり
◎まずは手元にある材料で企画を組み立てる
という行動や考え方のヒントをご紹介しています。
もしご興味を持っていただきましたら、本をお手にとっていただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。^^
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