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ソジャーナ・トゥルース

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19世紀末にNY州で生まれた奴隷解放運動家の伝記。天啓を受け「旅する真実の子」と名乗ったアメリカのジャンヌ・ダルク、ソジャーナ。
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2020年10月の記事一覧

ソジャーナ・トゥルース 1略歴

 イザベラにはきょうだいが十人はいたが、正確な数はわからない。イザベラは読み書きを知らず…

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ソジャーナ・トゥルース 2生い立ちと両親

 私の先祖は九州の農民でした。明治生まれの曾祖母は名前も顔もわかりません。農作業や養蚕な…

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ソジャーナ・トゥルース 3住まい

 奴隷制を擁護する意見として、「黒人は自活できないのだから、私たちが庇護して衣食住を保証…

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ソジャーナ・トゥルース 4イザベラの兄姉

 東南アジアのスラムで活動するボランティアの本を読んでいて、「自分の子が何人いるのかわか…

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ソジャーナ・トゥルース 5神の教え

 昔チョムスキーにインタビューしたとき、思い切って神の存在について聞いてみました(チョム…

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ソジャーナ・トゥルース 6競売

『アンクルトムの小屋』も奴隷の生活を描いた傑作です。そこで一番衝撃的だったのは、奴隷が「…

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ソジャーナ・トゥルース 7マウマウ・ベットの死

 アメリカの社会保障制度が始まったのは1935年。連邦政府が運営する医療保険、メディケア(高齢者向け)とメディケイド(低所得者用)の開始は1965年。奴隷制はずっとそれ以前の問題ですが、数々の困難を抱えながらもこの国は少しづつ前進してきました。 __________________________________  ある初秋の朝(先ほど述べた理由から何年のことかはわからない)、マウマウ・ベットはジェームズに「ライ麦パンの種をこねて、それを親切なお隣さんのシモンズ夫人に昼ま

ソジャーナ・トゥルース 8バウムフリーの晩年

 赤ん坊が6か月くらいだったとして、体重およそ8キロ。それをベビーカーでもおんぶでも抱っ…

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ソジャーナ・トゥルース 9バウムフリーの末路

 映画『風と共に去りぬ』で黒人として初めてアカデミー賞を受賞(助演女優賞)したハティ・マ…

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ソジャーナ・トゥルース 10試練の始まり

 1820年のアメリカの一世帯当たりの収入は$1、149。2019年は$65,112(Go…

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ソジャーナ・トゥルース 11さらなる試練

 アメリカの通貨がドルと制定されたのは1792年。イザベラが少女のころは、それまで使われ…

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ソジャーナ・トゥルース 12新しい主人と夫人

 たぶんこの作品で一番奇怪な章です。どうにももどかしい書き方がされているものの、イザベラ…

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ソジャーナ・トゥルース 13イザベラの結婚

 イザベラと四人の子をもうけたわりに、影のうすいトーマスさん。結婚しても配偶者が売られた…

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ソジャーナ・トゥルース 14イザベラ母になる

「泣いているのは誰の子?」と思わず突っ込みたくなる、優しいご主人。 __________________________________  数年たつうちにイザベラは五人の子の母になり、自分を抑圧する者の財産を増やせることに喜びを感じていた! 自らの「肉の肉」であるわが子を喜びいさんで奴隷制の祭壇に差しだし 、「母親の涙と子どもたちの血に塗れた魔王」モレク(訳注:古代中東で崇拝された神)に捧げる母親の姿を、親愛なる読者はひるむことなく想像してほしい! しかし、そうした生贄を