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温泉を支える素敵な仲間たち

今月の前半に、SNSで知り合った温泉仲間からメッセージを頂きました。
「島に来て話を聞いてほしい」

真剣なお願いに、8月ではなくすぐ次の週に行くことを決定。
そんなわけで3年ぶりに奥尻島へ行ってきました。

奥尻島には昔2つの温泉地がありましたが、その一つ「幌内温泉」は南西沖地震の被害により廃業。もう一つの「神威脇温泉」はちょうど私が島に行った3年前で「ホテル緑館」が閉館。温泉地としてはどちらもなくなり、「神威脇温泉保養所」という日帰り温泉が島で唯一の施設です。

島の対岸の町で生まれ育った私は、毎年キャンプで島に渡り、その神威脇温泉にお風呂に入りに行っていました。そして、南西沖地震を耐えた建物は当時のまま。素晴らしい鄙び度となっています。

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消えかけた「神威脇温泉」の文字だけで、鄙び系温泉ファンには垂涎ものでしょう。道内の共同浴場系の温泉の中でも、抜群の雰囲気です。

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浴室は1階と2階の2箇所あり、2階の方が広め。
漁港に面している温泉で、微妙な曇り具合ながらオーシャンビュー。
そして以前は2階は循環ろ過していたのですが、現在はかけ流しです。
しかも以前は2本の源泉のミックスでしたが、混合しなくても片方だけで十分な湯量があるということで、近年は2号泉だけを使用。新しい分析書も2号のみとなっていました。なんて贅沢な話。

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こちらが1階の男湯です。女湯は位置的に海が見えませんが、男湯は1階でも漁港ビュー。硬派な共同湯っぽい雰囲気に惹かれる方多数かと。
こちらは昔からかけ流し。

そして、朝8時から夜9時までの営業時間。
温泉の清掃にどれだけ時間がかかるかを身をもって知っている私にとっては、その営業時間も脅威的。4時5時から掃除を始めないといけないわけですから、その労力たるや大変なものです。
そして、清掃レベルが高いのもポイント高し。

いろんな意味で私にとっては道内でも指折りの温泉だったのです。

この温泉に惚れて、札幌市からここに移住した女性がいます。
その方から声をかけていただいて、私でも何か力になれることがあればと思い島に渡りました。

事前に簡単なやり取りをした感じでは、この温泉を長らく管理しておられる方が近年体調を崩されて車椅子での生活をされているということ、また私が運営していた温泉があった当別町で経験したような難しさがこの島でもあるということは分かりました。

神威脇はわずか13世帯の小さな地域です。
昔は島の中の陸の孤島で、船がないと行けない地域でした。
現在は道路で繋がっていますが、フェリー埠頭がある奥尻地区から見ると島の裏側。バスで行くのも便利ではありません。
島で唯一「カムイ(アイヌ語。神の意)」という言葉がつけられた場所。それだけ近づきがたいところだったということでしょう。

そういったことを踏まえた上で何ができるか。
短い時間ながらかなり頭を使いましたが、実はそんなに心配することもないと気が付きました。
それは、小さな地区ながらその地区に住んでいる人たちと、その土地にあるいろんなものを見ることができたからです。

それは次の記事で。
とにかく未湯の方は一度、神威脇温泉へ!

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