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温泉を支える素敵な仲間たち③

前の二つの記事で、奥尻島唯一の温泉と、その温泉がある小さな地域について書きました。大きくて派手なアトラクションはありませんが、魅力に溢れた地域なのです。

私が札幌に依存する小さな町・当別町で温泉を運営していて感じたのは、とにかく小さくても細かくても、地域ならではのものを見つける目を持つことが大切だということでした。
そういう意味での「視力」が良ければ、一見関係ないもの同士でも、それらを繋げて地域まるごと面として外からの人を迎えることができます。

ただし、それもその地域に拠点があってこそ。
拠点とは、施設であり人です。
そして神威脇はその人に恵まれた地域でもありました。

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町から委託されて神威脇温泉を管理しておられるのは、温泉掘削やボイラー等の設備のスペシャリスト。
(カルシウムの割合が多いので)「温泉の配管がスケールで詰まることはないんですか?」って聞くと、「スケールは温泉に空気が触れてできるから、空気に触れないようにして汲み上げればいい」と即答。

「人が1人入浴すると、◯リッターの温泉が溢れて◯◯カロリーの熱量が失われるから、湯口から出る量を◯リットルに調整して、カロリーを補給する(でもそれを説明しても誰も分かってくれない、簡単な計算なのに)」ってサラッと。

去年温泉ボーリングの現場を見せてくれた私の知り合いの方に「管理人さん知ってます?」って聞いたら、「あぁ、何回も一緒に仕事したよ。この仕事してて知らない人がいたらもぐりでしょ」と即答でした。

温泉ボーリング、ボイラー等の設備、熱交換システムまで全部オリジナルのアイデアを入れながら自前で作ることができ、豊富な経験と専門的な化学の知識と計算でお湯を管理しておられる方。
そんな最強の職人が管理している温泉、他にあるでしょうか?
私は計算じゃなく感覚で温泉を管理していたので余計にそう思います。


そして、その神威脇温泉を支えるために移住してきた方がいます。

島内で唯一の温泉ソムリエ。
神威脇温泉の管理人の方は車椅子生活のため、施設の掃除に別の方を雇って管理を続けておられますが、それらの方が出勤できない時の代わりの掃除や温泉の受付をボランティアの形で行っています。
島内でフルタイムの仕事をしていますが、温泉を助けるために神威脇に居を定めていて、ここでの生活を楽しんでおられます。

「温泉の掃除」は当たり前に毎日しなければいけない作業ですが、地道で体力を使う長時間の作業です。神威脇温泉の場合は営業時間が朝8時からと早いため、掃除は早朝の4時5時から始めなければ間に合いません。
経験者なのでわかりますが、誰でもやれる簡単な仕事ではありません。
それを自らボランティアでしている彼女には頭が下がる思いです。

島の温泉ソムリエとしてnoteやインスタをやってますので、応援して欲しいです。


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そして、この地域の拠点になっているのがゲストハウスイマココ。
家族で奥尻島に移住し、元民宿だった建物をそのままゲストハウスとして利用しています。いろいろな旅人が集う場所です。

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ただ旅人を泊めて楽しい経験を共有しているだけではなく、この地域にあるものを最大限に生かそうと奮闘しておられます。
ファットバイク・カヌー・SUPをレンタルしていて、夏の奥尻ブルーを楽しむことができ、さらにファットバイクで島を一周するのにチャレンジする人も。島一周は朝出発すれば夕方には戻ってくることができます。車と違って島の中のいろいろなものが目に入るので間違いなく楽しいです。

さらに天然のブナ林をガイドし、林の中にハンモックを設置して休んでもらったり、伏流水で淹れたコーヒーを提供するツアーも。
そうしたアクティビティに神威脇温泉の入浴がセットになっています。
これらをほぼ一人でこなしながら、さらに地域を盛り上げようと考えている姿に、このバイタリティはどこからでてくるんだろうかとさえ思いました。
公式サイトから彼の強い想いが伝わってきますので、一度ご覧ください。

でも、こうした仲間がいることが分かって、安心できました。
本当に誰もいなかったら私も運営のお手伝いをしなければいけないかと考えていましたが、そういう状況でもないようで、島の温泉ソムリエさんに神威脇温泉をこれからどう盛り上げていくかのヒントと、さらに温泉に子供たちが集まるようなアイテムをプレゼントして、背中を押して帰って来ました。

あれから二週間、アイデアの一つがもう形になりつつあります。
私が直接やるよりずっと速い。
今の若者のスキルはすごいなぁと感心しています。
私が地図を見ていて気付いた「温泉神社」のことも、郷土資料館の方を巻き込んで調べておられるらしく、これからこの地域を語る際に神社の話が登場するかもしれません。

可能なら、小さなカフェでも1軒あればと。。
奥尻ワイナリーでアイスを食べられますが、それを除けば飲食店が1軒もない地域。温泉ー宿ーカフェのトライアングルができれば、観光客のみならず、冬の間に島内の方も来やすい場所になるだろうと思います。

そんな神威脇、まだ一度も行ったことがなければ是非!
そして離れてはいますが、私もチーム神威脇としてさらにここを盛り上げていくことができたらいいなと思っています。

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