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創業101年目のブランドロゴ刷新

この度、株式会社おのざきはブランドロゴを刷新いたします。2024年で創業101年目を迎えた「おのざき」にとって、今年は次の100年に向けた二度目の創業1年目の年にあたります。そこで、第二創業の年である2024年は創業の精神に立ち返ることに重きを置いて走ります。

ブランドロゴの刷新は、創業の精神に立ち返るための1つの具体アクションとなっています。この記事では、新しいブランドロゴが完成するまでの秘話をまとめていこうと思います。

2023年夏、キックオフミーティング。
—――3軸のデザインコンセプト。

2023年夏に実施されたロゴ刷新キックオフミーティング。まずは、ロゴの方向性を絞るところから始まりました。

方向性①おのざきの理念や姿勢を訴求
おのざきの経営理念や、おのざきのカラーである「多彩さ」「チャレンジ」「面白さ」のような要素を押し出す案。

めっちゃ可愛い!

方向性②いわきの老舗企業であることを訴求
地元いわきで100年愛される老舗企業としての重厚感を表現する案。

老舗感すごい!

方向性③鮮魚店という事業内容をダイレクトに訴求
一目で魚屋だと分かるような案。

魚といえば「おのざき」くらいの潔さ!

上記3案の中から方向性を1つに絞る必要がありましたが、当然迷うわけです。全部組み込みたい。。どの方向性に決まろうと、絶対に譲れない要素が1つだけありました。それは、「伝統+革新」の要素。「創業100年の魚屋」という肩書は他社に簡単に模倣されるものではないので、”老舗感”や”伝統”のニュアンスをまとったロゴでないともったいない。それだけではなく、伝統を重んじつつも時代の変化に合わせて革新的に変わっていく、これこそがおのざきの姿勢なのです。

一枚の写真との出会い

なかなかデザインの方向性が定まらない中、創業の精神に立ち返るために、会長夫妻の自宅の奥に眠る、埃をかぶったアルバム写真を開いてみました。たくさんの昔の写真がでてきたわけですが、1枚の写真に自然と惹きつけられました。その写真がこちら。

撮影されたのはおそらく1980年代

写真をよく見ると、1980年代にして既に「ONOZAKI」とアルファベット表記。さらにはキャッチーな愛らしいクジラ。今の時代でも通用するような洗練されたデザインが今から40年前には存在していたというのだから驚き。

1980年代といえば、小野崎英雄会長が、実母であり創業者の小野崎ウメからお店を引き継いで事業を拡大させていた頃。想像の範疇に過ぎないけども、英雄会長が母親から継いだ鮮魚店のこれまでの”伝統”を重んじつつも、当時にしては”革新的”であるアルファベットとクジラを起用したことこそに、おのざきのDNAが垣間見えます。そう、「伝統+革新」こそが、受け継がれしおのざきのDNAなのです。クジラのロゴには、英雄会長の「自分は体が小さいけども、会社はクジラのように大きな会社にしたい」という想いが込められているのだそう。

ラッパのマークの~、鷲(わし)のマークの~、のように、めでたいものや華のあるものを象徴にするようなデザインが老舗企業に多いですよね。その文脈でいくと、「クジラのマークのおのざき」というキャッチフレーズは、いわきで魚を売り続けて100年の「おのざき」が活用しない手はない。なぜなら、創業100年という事実は他社にとって模倣しようにも模倣できないのだから。

1冊の本が最終決定打

ロゴの刷新キックオフ会議から既に約半年。ロゴの方向性がなかなか決まらず焦りがありました。たまたま書店に入ると、1冊の本「湖池屋の流儀」が目に止まりました。日本で初めてポテトチップスを量産化した会社「湖池屋」の本です。その日本ポテトチップス界の老舗であるパイオニアが、後発のライバル社との安売り競争で疲弊し、業績が下降していた頃、創業家が外部から新しい社長を招き、見事V字回復したのです。その業績回復を実現させる起点のひとつとなったのが、ブランドロゴの刷新だったのです(このとき、ロゴと共に社名までもが変更された)

この本を読んでから湖池屋のポテチ食べまくっている

この本を読んで印象に残ったのは以下。

・湖池屋の原点に戻る意味で、六角形の中に湖を配して新しいCI(コーポレートアイデンティティ)とした。

・日本で初めてポテトチップスの量産化を実現させた老舗であるという誇り、湖池屋の暖簾(のれん)を大事にしながら、お客様と共に未来を作っていく。

・横文字の社名が増える昨今、逆張りで社名を「湖池屋」に変更し、老舗感、人間味、暖簾感を訴求。

・創業者の小池は長野県諏訪出身で、自身の名前は小池だけども、諏訪湖のように大きくなれという想いを込めて「湖池屋」にした。

・ロゴの「湖」のマークを見ただけで、よだれがでて食べたくなるようにした。

どうも「おのざき」に似ているのです。「原点回帰」、「老舗の誇り」、「会社を大きくしたいという想いを込めたシンボル(クジラ)」。気づけば、本を読んですぐにデザイナーさんに連絡を入れていました。「やっぱり、クジラはシンボルとして継続登用し、老舗感(伝統)と革新性(ワクワク)の2要素を織り交ぜたロゴにしたいです

そうして完成したのが、こちらの新しいロゴ。朱色、紺色、黒色、の3色のカラーバリエーション。重厚感ある「創業大正十二年」パターンと軽やかさのある「EST.1923」のパターン。「onozaki」のタイポは、デザイナーさんに作っていただいたおのざきオリジナルのフォントであり、他と被ることはありません。この6つのロゴをその時々に応じて使い分けていきます。

合計6パターンのロゴが完成

おのざきという会社は「二対」

「おのざき」という会社はあらゆるものが「二対」になっています。
伝統と革新、古参と新参、親潮と黒潮、父と子、夫と妻、など。
その二対を表現するために、「朱色」「紺色」を2色を起用しました。
興味深いのは、半年以上かけてクジラを使わないロゴも含めてあらゆる角度のロゴデザインを検証した結果、最終的には原点回帰で昔のロゴに似たデザインのロゴに仕上がっていたこと。

ロゴデザインの刷新に向けた半年間の日々の中で、この記事を執筆している私(小野崎雄一)自身に、創業の精神がDNAとして宿ったのかもしれない。

最後に、この場を借りて、半年間一緒に伴走してくださったデザイナーさんに感謝の意を表します。

図らずして最終的に原点回帰していたロゴデザイン


創業の精神に立ち返るためのアクションとして、ロゴの刷新以外にも、旗艦店のリモデルにも挑戦しています。2024年4月26日OPEN予定!ぜひ応援いただけると嬉しいです。




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