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また、戻りたい島。|カメラマンとめぐる尾道_第4回(生口島)

今回は全8回のシリーズ企画第4回
尾道にゆかりのあるプロカメラマンと、尾道市地域おこし協力隊が市内をめぐり、各地で撮影した場所やひとの情報、撮影について学んだ内容をinstagramnoteマガジンで発信します。

この企画の投稿や記事を見ながら、カメラ片手に尾道各地をめぐってみてくださいね(尾道への交通手段をまとめた記事はこちら)。

※順番変更のお知らせ※
第3回に予定していた御調町(みつぎちょう)の回は、諸事情により後ろの回に移動します。

1. エリア・テーマ・講師のご紹介

第4回の舞台となるのは、生口島(いくちじま)
瀬戸内を取り上げた雑誌やTVなどのロケ地としてよく登場します。「レモンの島」という名のごとく、島でつくられた国産レモンの生産量は日本一。温暖な気候から、島では他にもさまざまな柑橘類が育てられています。

移住地としても人気が高く、特に港近くの商店街には、近年移住者の方々がはじめたおしゃれなカフェや宿泊施設などが増えています。また、この島では地域住民参加型のまちづくりも積極的におこなわれています。

全8回の企画のうち、初回はカメラの基礎知識を学ぶ座学、2回目以降は実践編で市内各地を撮影しながら撮影方法を学びます。各回研修テーマを設けていますが、第4回のテーマはこちらです(テーマの一覧)。

<第4回の研修テーマ>
構図

今回の講師は、県内の広告制作会社に20年以上勤務した後、現在SONY αAcademy講師や尾道本通り商店街フォトコン審査委員長、Setouchi PHOTO写真教室主催者として、地域内外でご活躍されている竹國照顕さんです。

2. カメラ研修

内容に入る前に、研修の大まかな流れを改めてご説明します。

まず「①全員で被写体を撮影」し、「②協力隊2名が自分の写真を選択」します。それから「③撮影意図と疑問点を発表して講師からフィードバック」を受け、それをもとに「④再撮影」し、最後に「⑤講師の撮影した写真を見て質疑応答」をします。

前提として、写真はInstagramとnoteで使う写真を想定して撮影しています。

2-1. 協力隊1人目(選んだ写真)

協1:「実は1枚目を2パターンの構図で撮影したのですが、どちらがいいのか正直わかりません。2枚目はまちを紹介しているシーンで、突っ立っているより動いているときに撮った方が良かったのかなと思います。3枚目は職場での一枚。動きをつけるために斜めで撮影しました。」

1枚目の2パターンの構図

竹國さん:「1枚目は、構図の真ん中に人物を入れると安定はしますが、動きがなく記念写真のようになってしまいます。(上図・右)のように構図の中心から人物をずらして撮ると良いですよ。」

竹國さん:「今日ご主人が着ている上着は黒色でしたよね。2枚目は背景の建物も黒で、色が重なってご主人の姿が背景と同化して見えづらくなってしまいました。この場合は、半歩右側に寄って撮るか、被写体の2人にずれてもらうと良いと思います。」

竹國さん:「3枚目のように、動きがないものに動きをつけるためにカメラを傾けて動きを表現する方法もありますが、ひとつ注意点があります。屋外の撮影なら良いのですが、屋内だと垂直に伸びる壁や柱が構図に入って水平が傾いた感覚になります。屋内で撮るなら、頭上より高い位置にカメラを構えて、背景に柱ではなく床面が写るようにすると、傾いた感覚を抑えつつ、その場のライブ感や動きがつきます。

POINT|
・人を画面の片側に寄せた構図で撮ると、記念写真感が抜ける
・服と背景などの色の重なりに注意する
・ライブ感を出す斜め撮りを屋内でするときは、柱が写らないようにする

2-2. 協力隊2人目(選んだ写真)

協2:「1枚目は、アイキャッチに使えそうなスタンダードな一枚を選びました。ただ、明るさと表情重視で背景まで考えずに撮っていました。2枚目は、全体の様子がわかる引きの写真。接客を楽しんでいるのが伝わるように、奥様が一番笑顔なものを選びました。」

竹國さん:「スタンダードな写真は、記事を選ぶときに何の記事なのかが伝わりやすくていいですね。もし少しひねりたいのであれば、トリミングで人物を右側に寄せてあげると違ってくると思います。右側に重心がいくので、脇役となる背景の橋が左に入るように構図をつくると、バランスがよくなりどんな場所で撮影しているのかが伝わりやすい写真になります。」

トリミング前後の比較

竹國さん:「2枚目は、明るくなるように"露出補正"の設定をプラス側に上げて撮影しても良いかもしれませんね。店内の様子が分かって良いのですが、人物が小さくて2人のやりとりが伝わらないので、トリミングして構図いっぱいに2人が入るようにしてあげると、接客の雰囲気がより伝わりやすくなると思います。」

「露出補正」で明るくし、「トリミング」で接客の雰囲気を伝わりやすくする

POINT|
・人を片側に寄せた構図で、ひとひねりした1枚がつくれる
・引きすぎない構図が、人の間の空気感をより伝わりやすくする

3. プロカメラマンが切り取った生口島

ここまで協力隊の写真とプロカメラマンからいただいたアドバイスをご紹介してきましたが、今度はプロが撮影した3枚とコメントをご紹介します。

Photo by Teruaki Takekuni

竹國さん:「人物って意外と普通に立っていると離れて見えるんです。肩があたるくらいに立ってもらうと、ひと塊になるので、2人の仲良し感や雰囲気の良さが出ます。あとは、くっついてもらうと照れが入るので被写体の表情が柔らかくなりますよ。」

Photo by Teruaki Takekuni

竹國さん:「2枚目は一点透視法のように、遠近感のある手の向こう側がまっすぐ直線になっていて、そこに手が被ってくる構図で撮りました。看板が工事中じゃなかったら、F値(ボケ具合を調整できる数値)を大きくして看板まではっきり写るようにしてもいいと思います。」

Photo by Yukari Takekuni

竹國さん:「3枚目は、島がおしゃれに見えるような一枚。都会的な感じが伝わりますよね。正面から撮るか、斜めに撮るかでも感じが変わりますよ。これは妻(カメラマン/竹國ゆかりさん)が撮影した斜めから撮ったものです。ガラスがあるところって撮るとかっこいいんですよ。」

4. 生口島で出会ったひとやもの

最後にあとがきとして、今回生口島で出会ったひとやものをご紹介します。

土居洋介さん・真依さん夫妻
生口島出身。妻の真依さんは島内の高校卒業後、広島市内で勤務後Uターン移住。夫の洋介さんは高校から島を出て、大学卒業後県内外での勤務を経てUターン移住。休日は海辺にある家で昼寝をしたり、沿岸を散歩したり、夫婦で買い物に行くのが楽しみなのだそう。

Photo by Teruaki Takekuni

島ごころ
瀬戸田出身・神戸で製菓修行をした社長がUターン後に考案したレモンケーキは、年間100万個を製造する大ヒット商品。柑橘を用いたさまざまな商品を展開しており、瀬戸田を代表する企業のひとつです。被写体になった真依さんは、販売と公式Instagramの運用を担当されています。

公式HP (https://www.patisserie-okumoto.com/)
公式Instagram (https://www.instagram.com/shimagocoro/)

社会福祉法人新生福祉会 楽生苑(らくせいえん)
洋介さんが働く、瀬戸田で一番大きな福祉施設。特養、訪問介護、デイサービスなど幅広く手掛け、今年秋には東京にも進出予定です。「福祉の仕事ってめちゃくちゃありがとうって言われるんですよ。大変なこともたくさんありますが、ありがとうって言われると気持ちいいです」と洋介さん。島暮らしをしながら介護の仕事をすることができます。

公式HP (https://rakusei.or.jp/)

生口島のスポーツチーム
土居さん夫婦が出会ったきっかけでもある、島内のスポーツ活動。生口島では、ビーチボールバレーやバスケットボールなど、社会人などが集まるスポーツ活動があるのだそう。移住前後の仲間づくりにおすすめです。

いかがでしたでしょうか。これからも尾道各地のさまざまなエリア情報と、カメラ講座の内容をご紹介していきます。よろしければフォローやいいね!をよろしくお願いします♪

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