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素人の個人開発サイトが公開2週間後に10万PVを達成した話。

はじめまして。「オノログ管理人」と申します。

名前の通り、Web小説を対象にした投稿型レビューサイトのオノログを運営しています。

このサイトは2021年7月9日に公開し、ありがたいことに公開初日で200人以上の登録、2週間で10万PVを達成と自分でも信じられないくらいの好スタートとなりました。
(記事を書いている現在は登録者数約700人。PV数約13万。)
本当にありがとうございます!!

今回、個人開発をするにあたって、巷で言われていることの、これは事実だったな。これは違ったな。これをして良かった、後悔した。みたいなことを備忘録的に書きました。

開発にあたって多くの個人開発者の先輩方が書いた記事に励まされ助けられたので、少しでも恩送りできればと思います。
(そしてサイトの宣伝にも!)

※注意
先に書いたように基本は備忘録です。よくある「●万PVを達成する方法!」みたいなノウハウ伝授的な記事ではありません。自分自身、刺さった手応えのある工夫はあれど、現状は実例一つだけで再現性が不透明です。あくまで個人の経験談として捉えていただけると幸いです。

■サイトの紹介

WEB小説版のレビュー投稿サイトです。

Web小説に馴染みのない方に説明すると、ネット上には文芸作品を自由に投稿できる小説投稿サイトがあります。一番有名なところだと「小説家になろう」と言ったサイトです。

そうした小説投稿サイトに掲載された作品に対して、レビューを投稿できるサイト。それがオノログです。

そもそもオノログを作った理由は、自分が「Web小説を好きだが、面白い作品を探すのが大変になった」からです。

小説投稿サイトにはランキング機能があるのですが、読者の多数決で作品が出世していくのを見ながら、マイナーな作品を抱えては「自分はこっちのほうが好きなんだけどなぁ」みたいなモヤモヤを持っていました。

そうした状況から「感動の多さでなく、感動の深さ」から良い作品を見つけられないだろうか、と思ったのがオノログ発案のキッカケです。

ちなみにタイトルにあるとおり、自分は職業プログラマでなく、2年独学したくらいの人間です。オノログの開発期間は半年ほど。

通常ならこうしたサイトを作るのは大変でしょうが、Ruby on Railsという素晴らしいフレームワークのお陰で開発することができました。実務上での評価はどうかわかりませんが、Railsは個人開発にとってありがたい存在です。

ということで技術的な部分より、本当にサイトについての試行錯誤的な備忘録になっています。


■個人開発するだけなら独学で十分?

初っ端から一部に反感を買いそうな内容ではありますが、プログラミング素人が困るのが「どうやって学ぶか」だと思います。自分も実際にそうでした。

現在、コロナの影響などでプログラミングを学ぶ人が増えているそうです。なかには「個人でサービスを作ってみたい」という理由で学び始める方もいると思います。

自分の場合は仕事にするとなると話は別ですが、個人開発するだけならスクールなどに通うより独学で効率良かったのでは? と思っています。

オノログまでのプログラミング学習過程としては
1、本で勉強(挫折)
2、Progateを利用
3、サービスづくり①
4、サービスづくり②
5、「オノログ」の開発
というものです。

学びが多かったのはどのフェーズかと問われると、やはり3,4の開発です。本職の方に話を伺うと、個人開発と仕事での学びは違う、と言われますが、そうだろうな、と思います。

個人開発の場合、コンセプトづくり、デザイン、開発、宣伝と全てをしないといけません。

そうした場面では、配色の原則、APIの活用方法、法律の知識、広報の方法の方が実はプログラミング以上に大事だったりもします。

分からない時に質問できる人が欲しい、という声も分かりますが、正直言って初学者が分からないくらいの問題は大体ネットに解決法が載っています。

まぁ、自分は就職でなく個人開発100%のための学びだったので、かなり特殊だと思いますが……

ありがたいことに技術的な問題については行き詰まっても、調べたり質問したりすれば、大体答えは見つかります。意味不明のエラーに遭遇して何時間も検索したり、日本語の記事がなくて英文に発狂したりすることはありますが、結局なんとかなります。

個人開発における本質的な問題は、技術力よりも企画力や宣伝力といったスキルに由来するものがほとんどの気がします。

そうした意味では、スクールでは学べないことが実際の開発で学べた気がしています。使い古された言葉ですが「経験に勝る学びなし」でした。

■「まずは作る」は一部だけホント

たまに個人開発で言われる「まずは自分の好きなものを作る」は一部本当だと思います。

少なくとも最初の一回目だけは……

自分も初めてのサービス開発は、自分が作ったサービスが動く、という事実だけで楽しかったですし、満足でした。

ただ二回目に作ったサービスが盛り上がらないのを見た時は凹みました…

なので本職でプログラミングに慣れている方にとっては、あまり「ただ作る」だけのことに意味はないように感じます。初学者にとっては大きな意味がありますが。

もしくは自分が欲しいと思ったサービスでも「他人も欲しいとは限らない」という事実を認識する意味では、意義あることかもしれません。

今回、オノログで良かったと思うのは開発を手掛ける前に、かなり調べて考え抜いたことです。個人開発で禁じ手と言われる「ユーザー投稿型」サービスなので、本当に開発して反響のあるサービスなのかは気を配りました。

「想定利用者はどんな人か」
「その人が現実に存在する根拠は?」
「その人は、どうやってサービスに出会う?」
「そのサービスが自分のニーズを満たしてくれると、何故分かる?」

呆れるかもしれませんが、最初の開発なんて「自分が欲しがっている!」という間の抜けた根拠だけで走りだして、こんな基本的なことも考えていませんでした。社内で新規事業立ち上げるプレゼンができるくらいの根拠と推測は必要だと思います。

■「商品開発」より「顧客開発」

実際に、オノログは開発前から2回目のサービスより盛り上がることは予測できていました。理由は「商品開発」をするより先に「顧客開発」をしたからです。

これは「リーン・スタートアップ」と呼ばれる方法で、詳しく書かれた本が沢山あるので興味ある方は読んでみてください。
個人的に理解しやすかったのは「STARTUP―アイデアから利益を生みだす組織マネジメント―」という本でした。物語仕立てなので分かりやすく、オススメです。

自分がしたのは「サイト開発のためだけのTwitterアカウントを作る」ということです。フォロワーがついてくれれば将来の利用者になっていただける可能性もあるので、広報の意味を含めても効率的です。

プライベートのアカウントはありましたが、反応がニーズ確認のノイズになるので、本当にまっさらなアカウントを作って、こんなサイトを作りたいとツイート。

仮に拡散されなくても、誰にも期待されないサービスが、誰にも知られず企画倒れするだけのこと…くらいの気持ちでした。

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ところがフォロワー数十人のアカウントだったのですが、RT200超え、フォロワーも200人以上増えるなど想像以上の反響をいただきました。

特に大きかったのはフォロワーが増えたことです。「イイね!」だけだったら応援の意味だけかもしれませんが、フォローをしていただけるということは今後の行く末に「多少は興味を持ってもらえている」という実感がありました。

少なくとも「自分だけが欲しいサイトではない」という手応えと共に、サイト開発を決断しました。

この方法はニーズの確認以上の効果があり、本当にして良かったと思っています。
開発経緯を報告していくなかで、フォロワーの方からサイトに関する質問や要望をいただくのですが、それがサイトづくりのヒントになることが多々ありました。
独りよがりのサイトにならずにすんだのもフォロワーの方からのリアルタイムなフィードバックがあったからだと思います。

サイトオープン時の爆発もフォロワーの方々の協力によるものです。本当に頭が上がりません。


■一番悩んだのは公開時期の決定

あまり個人開発の記事で触れられませんが、実はここの判断が一番難しかったです。つまり「完成のライン」はどこ?ということです。

今回、開発の仕方がフィードバックをもらいながら機能を追加したり減らしたりという方法だったというのもあると思いますが、当初設定していた公開予定日は完全に絵空事になりました。

サイトの完成予想図が常に変動していくので、いざ欲しかった機能が完成しても「もう他にはない?」という疑問が出てきます。すると「あれも!これも!」となるので、もう前に想定していたサイトの計画なんて空虚になる、という悪循環です。

結局、公開に踏み切った理由は「機能の追加」メリットよりも、期待してもらっている人の「待ち疲れ」デメリットの方が大きいと気がついたからです。

ここについての解決法は思いついていませんが、仮に次回があれば「公開後に追加する機能一覧」みたいにストックして、公開日と一緒に発表すると思います。

実際、公開してからいただいた要望を見ると、開発中に加えた機能がそれほど重要でなかったことが分かっています。あと半月は公開を早められた気がしています。

■反省していること

・上手くいくことも想定しておく
自分は過去の失敗があったので、正直オノログでここまで一気に利用者が増えることは想定していませんでした。よくて初月登録者が100人くらいの想定です。
常に考えていたのは、利用者がほとんどいなかった場合の対策ばかりでした。

なので想像以上の反響をいただき、公開4日目で用意していたサーバーの許容量近くになった時は本当に慌てました…
結果、すぐにアップデートすることに。

さらに、その接続設定が急な仕事だったため、メールサーバーの設定が抜け落ちて約1日もサイトにアクセスできない大惨事も発生…

昔、ゲームハードの「ドリームキャスト」が需要に対して生産が間に合わず失敗したことを思い出します。

最悪の想定は必要ですが、それは「最悪だけを考えていれば十分ということを意味しない」と手痛い学びを得ることになりました。


・データの収集は後からできない
これも上記に付随してですが、実は二週間でPV10万と言っていますが実際はそれ以上にあったはずです。

というのもPVの計測を導入したのは公開後3日経ってでした。
ユーザーの登録数が
1日目…260人
2日目…146人
3日目…56人
という勢いを考えると、かなりのデータを失ったことになります。

さらにアクセスできない問題で1日の空白があったことを考えると、実際はもっと反響をいただいていたことに……。

今回、GA4という新しいサービスで勝手を分かっていなかったこと。最初でここまで爆発すると思っておらず、オープン後の対応を優先してデータ収集が後手になったことがこうした結果になりました。

「後からできないこと」は緊急でなくても重要ではあります。「7つの習慣」ではありませんが、ここの優先順位付けを見間違いました。

■個人開発は面白い

色々書きましたが、結局はこれです。

個人開発は面白いです。技術的な学びの楽しさもありますが、世の中の状況に対して「こういうのがあれば良いのでは?」という問いを、たった一人から発することができます。

さらには様々な人とつながっていくことができますし、何より喜んでくれる人がいるというのは本当に嬉しいことです。

最近ではノーコード・ローコードの開発も進んでいて、これからもっと個人開発は身近なものになっていくと思います。

ただ先に書いたように個人開発の根幹は技術よりもアイデアと行動力だと思っています。今の積み重ねは、例え個人開発が容易になり参入障壁が崩れたとしても価値を失うどころか、むしろ武器になっていくのではないでしょうか。

興味がある方はぜひ、個人開発に挑戦してみてください。

■最後に

予想以上の好スタートとなったオノログではありますが、今の成功が、明日の成功を保証してくれる訳ではありません。

まだまだ課題も多く抱えている状態です。伸びしろしかありません。

これからどんなサイトになっていくのか、ぜひオノログにご注目いただけたらと思います。もしWEB小説に興味がなくとも、どんなサイトなんだろう、ということで一度訪問いただけると嬉しいです。

ひょっとしたら面白そうな作品が見つかるかもしれません。
WEB上の創作者と受け手の出会いがオノログをきっかけに生まれてくれたら、本当に嬉しく思います。

また自分が沢山の記事から学びを得たように、この記事が少しだけでも個人開発者の参考になれば幸いです。

オノログもがんばります!

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