「平気で生きるということ」全編の案内



0.木を見て森を見るな(まえがき)2019/04/02

以降の文章で伝えようとしていることの大まかな説明です。


1.ポリコレの救済から零れる人たち 2019/04/02

ものごとを「正しい」「間違っている」の二面で判断することが個人の精神に不安定をもたらすという話です。「好き」「嫌い」の重要さを説いています。


2.真面目なのに嫌われる人と奔放で好かれる人の違い 2019/04/04

「あなたのここはこうだ」という欠点やミスの指摘を受けて必要以上にショックを受ける人、あるいはその指摘がどうしてもできない人とそうでない人の違いについて述べています。個人的に重要な回です。


3.中毒とは、好きなものを失うこと 2019/04/07

「逃避」するために好きなものごとを利用していると、いずれそれを失ってしまうという話です。中毒は甘えではなくストイシズムから来ているという仮定をします。


4.些細なことで傷ついてしまう人たち 2019/04/10

少し嫌なことがあっただけで自分は不幸だと思ったり、少しだめなところがあっただけで自分は欠陥人間だと思ってしまうのはなぜでしょうか。ここが全体をとおして最も重要な箇所で、ここまで読んで解約してもいいくらいだと思います。


5.「何もできなく」なった人へ 2019/04/13

「何をするにも人の反応が気になって身動きが取れなくなってしまう」という、僕も経験した精神状態についての考察です。これについてもそれ以前に説明したのと同じ方法で考えています。


6.何を与えられても満足しない人 2019/04/16

「幸せにならないと」とか「意見を言える人にならないと」とか「成功しないと」といった強迫観念が、むしろ生きることを難しくしているという問題について話しています。このあたりまではほとんど精神的な足枷になる「枠」についての話を繰り返してしています。


7.あなたはなぜ意見を言うのか 2019/04/19

何か意見を表明したり、他人の言動に対して是非をはっきりさせておくのは、他人や世の中を変化させるためだけではないという話です。「行為は生み出す結果ではなく行為そのものを目的としている」という考え方の足掛かりになります。


8.夢、という病気 2019/04/22

「努力し、夢を叶えなさい」というメッセージに対する、そこまで言わなくてもというくらいのかなり批判的な意見を述べています。夢って何だよ、と考えるきっかけにしてもらいたいです。


9.イエス/バットな肯定論 2019/04/25

「生きることは辛い/だが生きていきましょう」という人生訓はつまるところ前半部分しか主張していないのではないか、という懐疑的な視点を持つための文章です。生きることは辛いと思いますか?


10.なぜ「面倒臭い」のか 2019/04/28

精神は簡単に変化するがゆえに「傷つかない」「落ち込まない」ようなことは難しいが、「回復させる」のようにコントロールすることは思っているより簡単だという話です。日々を平穏に暮らすためには様々な問題を分解して対処しなければならないということにも触れました。


ここまで#1~10のまとめはこちら

https://note.mu/onoholiday/m/m79215bc25afc



11.自分の望みを言うという責任について  2019/05/01

人間はだいたい「最初に望みを言う人」と「何もいわずに事態を眺めて、不満が溜まったころに口を開く人」に分けられると思います。そうして、何も言わなかった人というのは、その責任を取らされることになります。


12.優しい人は冷たいか 2019/05/04

よく言われる「他人に対して怒らない(優しい)人はほんとうは冷たい」という言葉に対する考察です。「優しくて冷たい人」の反対は「温かく激怒する人」ですね。


13."善意"に苦しむ人たち 2019/05/07

世の中を見回して、「善意」のある人ほど苦しんでいるのではないか、と考えたのがこの一連の文章のきっかけでした。善意ややさしさはときに誰の役にも立たず、むしろその持ち主を傷つけるという話をしています。


14.絶望する”頭のよい”人たち 2019/05/10

人は考えたいように考える、だから「自分がどのように考えようとしているのか」を把握していなければ入ってくる情報は限定されてくるという話です。抑圧から開放されるためにはまずそれが抑圧だと知らなければなりませんね。


15.憂鬱とアンフェア  2019/05/13

不公平不平等に対する問題意識や善意が当人に対して抑鬱的に作用する仕組みを考えています。「誰かが得をすると誰かが損をする」という意識がこの仕組みに関わっていると説明しています。


16.いじめられっ子の精神 2019/05/16

「自分に対して最も否定的な価値観に取り合い、他の場所でもそれに対して誠実にふるまってしまう」といういじめられっ子の精神を考えます。根拠なく行うべき自己肯定について考えたきっかけです。


17.結局誰が悪いのか?―あなたか、私か  2019/05/19

現在の世の中では問題が起こるとすぐに「誰が悪いのか」が確定します。しかし、「悪いのは誰だ」となったとき、あらすじの主人公は悪い方になり、被害者側の主体性が失われるというリスクもあります。そのことについて掘り下げて書いた回です。


18.何もせずに生きていけるか  2019/05/22

いまでは多くの人が持っている「何もしたくない」という願望について懐疑的に述べるものです。生きるために「何かをしろ」と言われる世の中で見失ってしまいがちですが、本当に何もすることがないのはそれはそれで辛い。


19.「人生なめてるほうがうまくいく」理由  2019/05/25

文字通り、人生をなめてる感じの人のほうがスイスイ生きていける理由を書いています。自分の値札は自分でつけることになる、というのがこのあたりから出てくるテーマです。それは自己評価とも言い換えることができます。


20."動機の消失"の時代  2019/05/28

「何かをしたい」と思うより早く「何かをしろ」と言われるのが人間です。経済的な正しさのまえに非効率な存在が淘汰され、人間の文化的な行いはなりを潜めます。そのもたらす無気力、無感動について考えます。


21.「ちゃんとした人」なんていない 2019/05/31

それを満たすことがますます厳しくなる時代で、世にある「このようにするのがちゃんとした人だ」という観念に対してどう抗うかを考えています。この連載で批判的に語られがちないわゆる「リベラル」とか「ポリコレ」のよい面について書いている回でもあります。


ここまで#11~21のまとめはこちら

平気で生きるということ #11 ~21



22.問題と報酬の世界  2019/06/03

資本主義シリーズの第二弾。「数値化できない価値が省略され、あらゆる概念が”問題”と”報酬”の2つに分類される」という経済社会的な事情を考えます。この世界では無駄なものの良さ、そして非効率で不経済な人間そのものの必然性が揺るがされます。難しい言い方をしなければ、「誰かに必要とされなくても生きていてよい」ということが言いたいだけです。


23.社会が"厳しくなければならない"理由 2019/06/06

当連載中の最もフェミニズムな回、社会は男が女に対抗するために生み出したものだ、というのを前提にした「社会が厳しくなければならない理由」の考察です。


24.必要性ゲーム 2019/06/09

「生きるためにはカネが必要だ」が「必要とはカネだ」になり、すなわち「誰かに必要とされる」ことを金銭で肩代わりする、存在意義の依代としての金銭に関する考察です。最終的な主張は誰かに必要とされなくても生きてよい、ということです。


25.「嫌なことを減らす」から始まる窒息  2019/06/12

「嫌なことが少ない選択をする」という、必ず悪い方向に出る行動指針について書いています。社会の貧困化に伴って、この縮小再生産の傾向は個人に対しても強く影響すると考えます。


26.「大丈夫な人」と「大丈夫でない人」の間にある断崖 2019/06/15

「平気な人は毎日ますます平気に、辛い人は日ごとにますます辛くなっていく」世界で、助からない側から助かる側に飛び移るためにどうしたらよいか、というのがこの連載のテーマです。そのために必要な自己肯定よりも、他人からの価値保証を求めてしまう精神について考えます。重要な回です。


27.イメージの解体  2019/06/18

苦しみの90%はイメージで、そのイメージを解体するという話です。人生とか幸福、良い人間と悪い人間、そういったイメージを解体することで生活の単純さを取り戻すことを訴えています。


28.生活をとり戻す(前編)  2019/06/21

壮大化し、極大化していく「人生」や「生命」の前に立ち尽くし、「生活」に襲われるようになった人が、そういった巨大な概念を取り払い、「生活」という最小単位を生きることを考えます。生活を取り戻せば、目の前のことに集中するだけで生きてゆけます。


29.生活をとり戻す(後編) 2019/06/24

「人生」を生きるには「幸福」という巨大建築の管理が必要ですが、「生活」を生きるなら「今の気分」というごくちいさな乗り物をメンテナンスするだけで暮らしてゆけます。ここでは「今の気分」を重視することで得られる複合的なメリットを説明しています。

「精神的な意味と物理的な意味の両方で」、全ての問題をひとまとめにしないということが重要です。


30.弱さは個性か、欠点か 2019/06/27

「今のあなたを肯定する」=「あなたはそのままでよい、変化しなくて良い」「変化する」=「今のあなたを否定しなければならない」という二元的な極論になってしまっている、自己啓発と自己容認の世界から、これらをイコールで結ばない考え方に導きます。変化とは自己否定ではない、自己肯定から始まる変化もある、ということを訴えます。

このことをもっと早くに書くべきだったと、あとあと感じている回です。


31.巨大な許可 2019/06/28

最終回です。人が生きていくために必要とする「巨大な許可」について書いています。それは森羅万象の許しであり、神の許しでありますが、ここではもっと簡単なもの、自分で自分を許すということに絞って考えます。

自分で自分を許せば、さまざま苦しみから開放される、というのがこれらの結論です。許すものはシンプルに強い、だから信じるに値する。


32.あとがき 2019/06/28

現代的な苦しみとは、目の前の苦しみが自分の苦しみではないということではないかと思います。誰かに指示されてゲームのように自分をコントロールし、自分のでない苦しみに苦しみ、自分のでない喜びに喜ぶ。

この分裂状態から自分を救うというのが、この連載の目的だったのかもしれません。


33.「平気で生きるということ」にひとこと 

コメント用の記事です。読んだ感想、意見などがあればお気軽にどうぞ。筆者からも返信させていただくかもしれません。


#22 ~最後までのまとめはこちら

平気で生きるということ #22 ~最終回+あとがき

最初から最後までの全編はこちら

平気で生きるということ 全編




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