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#建築 記事まとめ

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建築系の記事を収集してまとめるマガジン。主にハッシュタグ #建築 のついた記事などをチェックしています。
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#海外

ウィーンを歩く.ジュリー・デルピーを探して.

彼がリチャード・リンクレイターの「Before Sunrise(1995)」を見たのはこの旅(1992)から帰って数年後だから,このタイトルは完全に時間感覚を混乱させていることになるが,これ以上ウィーンについて相応しいタイトルは付けられそうにない.もし,あの映画を先に見ていたら,この旅はどうなっていたんだろうかと,時々思わないことはない.人生は常に起こったことと,起こったかもしれないことが存在して,どこかで折り合いをつけて日々に向き合うようなものだ. 彼は夜行列車でウィーン

2020に20世紀をおさらいするということ: 建築見学記のあとがきにかえて

平穏あるいは平凡な日常、もしくは予定というもののあてにならなさをただ噛みしめる数ヶ月間の挙句、僕の米国生活は終了した。 時を隔ててこの記事を読んでくれている方のために書き記しておくと、2020年前半のアメリカ合衆国は大変な苦難に見舞われた。悲しい出来事もいっぱい起きた。 ひとつめの苦難は新型コロナウイルスの流行だ。昨年末に中国で発生が確認された「COVID-19」。ニュースこそひっきりなしに耳にしていたものの、暫くはまさに対岸の火事って感じで、米国では僕や周りの人含めて呑

サーリネン と サーリネン

はじめに・・・ 2020/04現在、コロナウイルスが世界中を大混乱に陥れ、アメリカも大変なことになっているのは皆さんご承知の通りだと思います。僕は地方都市に住んでいますが、一か月くらいほとんど外出しない日々が続いています。この記事ですが、米国がこんな状況になる少し前に行ってきた建築見学記になります。その点、ご承知いただければ幸いです。 米国が危機的な状況を脱出し、日本でも爆発的な感染増加・医療崩壊が起きず、誰もが健やかに・気兼ねなく外出できる日々がいち早く再来することを祈っ

光の礼拝堂

皆さんお久しぶりです! 無事、小さな旅から帰国し、落ち着いたのでぼちぼちまたnoteを始めようと思います! 本当は、海外に行っている間の空き時間に行った建築のnoteを書けば、そのままダイレクトにアウトプット出来ていいじゃん!っと思っていたのですが…、 しっかりと時差ボケをかまし、想像以上の疲労により、ホテルに着いて脱力、寝てしまうことが多かったです。 しっかりとスタートダッシュに遅れ、今に至ります。 そんな事はさておいて、今日はロンシャンの礼拝堂に行って来たことにつ

5.4.3 中世西ヨーロッパの美術・建築と文学 世界史の教科書を最初から最後まで

中世西ヨーロッパの美術・建築中世ヨーロッパにおける「美しさ」のベースは、《キリスト教的な価値観》にある。 「筋肉ムキムキ」で「セクシー」かつ「ギリシア・ローマ的」な彫刻・絵画・建築は”邪道”とされ、 「つつましく」「きよらか」で「神の栄光を称える」ような彫刻・絵画・建築が”正統派”とされたのだ。 ただ、やはりギリシア・ローマの影響が、完全に消え去ってしまったわけじゃない。 中世の初め頃には、東ローマ(ビザンツ)帝国のビザンツ様式(ドーム型のホールとモザイク壁画、イコン

ドーシ設計のキャンパス

インドに来て半年が経ち、1学期が終わりました。 よく日本の大学時代の友達に、”インドの大学ってどんな感じなの?” とよく聞かれます。発展途上国ということもあり ”青空教室” みたいなのをイメージする友達もいるようです。笑  ということで、私の通うCEPT大学について簡単にまとめさせていただきます! 今回は大学のキャンパスについて。 バルクリシュナ・ドーシ設計のキャンパス私が在籍するCEPT大学は、インドの西部のグジャラート州にあるアーメダバードという街にあります。雨季に

Architectural Publisher

本、雑誌、メディアを取り巻く状況は時代と共に変化しており、生き残りをかけ時代に対応した柔軟な対応が求められる様になってきました。建築業界を見ても、10+1の更新終了の様に、骨太なメディアを維持する事の難しさを感じます。海外を見てみると、ArchiDaily,DesignBoom,Dezeenといった世界中の建築をまとめるプラットフォームがあります。今回は、そこまで大きくなく独自路線をとっている海外の建築メディア、出版社についてまとめてみました。 1.MAS ContextM

5.2.2 ビザンツ帝国の社会と文化 世界史の教科書を最初から最後まで

いわゆる「ローマの東西分離」(395年)以降、ローマ帝国の東部領土であったエリアは「東ローマ帝国」として、西側のローマとは違った”キャラ”を確立していった。 ラテン語をお祈りの言葉とするローマ教会との差別化も進んでいき、 7世紀以降にはギリシア語が公用語として用いられるように。 古代以来、ギリシア語の通用するエリアは非常に広い。 西ヨーロッパではとうに忘れ去られていた古代ギリシアの古典が研究され、キリスト教の教義解釈の中などに受け継がれていったんだ。 「東ローマ帝国

12月のテキサス / アゲイン(その②:ヒューストン建築散歩)

前回の記事では、レンゾ・ピアノ氏設計の美術館「メニル・コレクション」について言及したが、ヒューストンは他にも見るべき建築が沢山あった。我々日本人からすると「NASA!」って感じのイメージが先行してしまうこの街だが、実際のところ全米第四の大都市で、文化的充実度も高い。 最近の見学記では、一つの建築・あるいは一人の作家について、ベッタリ、クドクドと感想を書くことが多かったが、たまには(?)淡々と建築紹介をしてみたいと思う。 ― Cy Twombly Gallery / Da

12月のテキサス / アゲイン(その①:メニル・コレクション)

言わずもがなの、冬である。いやはや、米国北部の冬はやっぱりしんどい。当然東京より寒いし、空も終始どんよりしている。今年の初雪デーなんてハロウィンだったし。 そこで考えるのはやはり南への逃避。そう、去年に引き続き、「12月のテキサス・アゲイン」である。今回はヒューストンに向かうことにした。 とはいえ、前回の経験から「そうは言ってもそこまで温暖な訳じゃない」というのも織り込み済み。薄手のダウンジャケットくらいは着ておこう。ところがどっこい、ヒューストン国際空港に着陸すると拍子

ニューヘブンにルイス・カーンを見に行く(その①:イエール・アート・ギャラリー)

気付けば大分時間が経ってしまったのだが、先日(というか先月)、コネチカット州ニューヘブンに行ってきた。目的はそう、ルイス・カーンが設計したイエール大学の2つの美術館。ひとつは「イエール大学アートギャラリー(1953)」で、もうひとつは「イエール大学ブリティッシュ・アート・センター(1974)」である。 これらの建物はキャンパスに斜向かいで立っているのだが、上記の通り、時期的には20年も隔たりがある。一方は(ほぼ)デビュー作で、もういっぽうは(ほぼ)遺作。今まで紹介してきたカ

フランク・ロイド・ライト「入門」 (その②)

ジョンソン・ワックス・ビルは、ウィスコンシン州のラシーンという小さな街にある。雄大なミシガン湖を望む美しい街だ。シカゴから車で一時間半くらい。そして、この街は、このビルのクライアントであるジョンソン財閥の企業城下町でもある。通りを歩くとあちこちに「Johnson」を冠したお店とか、銀行とか。きっと公共施設への寄付や出資もたくさんしている筈だ。 これもフランク・ロイド・ライトをめぐるポイントのひとつで、彼にとっての「優良クライアント」は、こうした地方の資産家が多かったよう

フランク・ロイド・ライト「入門」 (その①)

先日、落水荘に行ってきた。おそらく世界で一番有名な住宅。言うまでもなく、建築家フランク・ロイド・ライトの代表作だ。ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の、自然に囲まれた山中にある。 張り出したテラスの下に滝が落ちる、幾度となく本や雑誌で見てきた外観。実物はまさにそのままの姿で、なんか「問答無用」って感じの威厳があった。 外観のフォトジェニック具合とはある意味対照的に、一度建物の敷居を跨ぐと、この住宅を印象づけるのは「音」だった。そう、滝の音。よくよく考えたら、滝の上に住宅を作

モダンでおしゃれなスイス バーゼル動物園

[この記事の内容]建築や看板にはスイスのデザイン哲学が生かされ、自然と調和した美しい景観となっている。動物の写真は少なめ。  だいぶ期間が空いてしまいましたが、バーゼル動物園の写真をアップします。  スイスのバーゼルと言うと、デザイン、特にタイポグラフィでとても有名です。装飾性よりも思想を重視するヨーロッパのモダンデザインの中でも、とくにシンプルで機能性が高いです。いわゆる日本の「ミニマム(ミニマル?)デザイン」はここやチューリヒのデザインに影響を受けているようです、が、