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入浴料100円の温泉がある街

別府ブルーバード劇場での上映実現に当って様々な地元の皆様のご協力をいただいている。地元出身の堀川と監督さえ舞台挨拶出来たらとも思っていたけれど、ご挨拶に伺わないわけにはいかないだろうということになった。
なるべく全ての皆様にご挨拶出来たらなぁと思っているけれど土地勘がなく車移動でもないから期間中に全てを周ることは難しいかもしれない。監督が初日にご挨拶出来る方々もいるだろうから、そこでご挨拶出来なかった方に逢いに行けたらなぁと思っているけれど。

大阪や名古屋の時と同じようになるべく金銭を使わずにの貧乏旅行だけれど、さすがに大阪名古屋のようにホテルを抑えずに漫画喫茶でも何でもいいやというわけにもいかない。深夜バスや電車ではなく九州となれば飛行機の方が格安になると知る。本当は成田からの方が安いけれど、結局成田までの電車賃を考えれば羽田からの方が安かった。

驚いたのがリーズナブルなビジネスホテルでも、源泉かけ流しの大浴場がある場所が多かったことだ。さすがは日本一の温泉街。そんなの他の地域では見た事がない。それと観光地だとなんだかんだと割高なイメージがあったのだけれど別府はそんなこともなく、ビジネスホテルでカップラーメンでもいいやと思っていたけれど、地元の方に愛されている飲食店がとてもリーズナブルだと言う事も知った。

そして公共の温泉の入浴料が100円の温泉が20以上もあるのだという。
都内の銭湯が400円を超えている時代に100円で温泉に入れるだなんて。
挨拶回りがなければ、中日は温泉巡りに充てたいぐらいだけれど。
自分の中で温泉地の入浴料金は600円ぐらいのイメージだったから驚いた。それほど多くの温泉には行けないだろうけれど、2~3か所だったら行けるはずだ。なるほど長く愛される日本一の温泉地なのだ。中には別府温泉好きの観光客がいて、あえて格安のビジネスホテルを抑えて何度も通っている方もいらっしゃるようだ。自分が行く日程の中に26日(風呂の日)が含まれているし、平日だから混雑もないはずで出来れば地元の方と裸で話したりしたいなぁと思う。大阪十三の銭湯でも地元のおじさんと裸で話をしたように。

旅に行って発散するように遊ぶ人もいる。名産品を食べ歩いたりする人もいる。そうやって思い出を作っていく。
本当はそういう人の方が良いのだろうなぁと思う。旅をエンジョイする方法を良く知っているんだなぁと感心してしまうぐらいだ。
自分はそういうタイプでは無くて結局その土地土地の風土を感じたいのだと思う。インドに行ったら帰ってこないタイプと言われてしまう由縁だ。帰ってくるけどさ。

名古屋ではあまりそういう時間を取れなかったという悔いが残ってる。
セブンガールズという映画がどんな土地で上映されて、どんな土地で育ってきた人たちが観たんだということを肌で感じられたら。それだけだ。

終戦直後を舞台にした映画
それが終戦直後から続く映画館で流れる。
そして舞台になった1946年に既に生きていた館長が今も続けている映画館だ。
色々なお客様と挨拶させて頂いたけれど、同じ時代を生きていたお客様はほとんどいなかった。その頃に生まれたというお客様から、子供時代を思い出したと言う声は頂いたけれど・・・。
温泉地だからもちろん娼婦もいたはずだ。パンパンというよりも置屋に近かっただろうことは想像に難くないけれど、それでも売春禁止法の時代も越えてきた街であることは間違いない。今も風俗街や花街の跡が残っている。
その土地でしか感じない、その土地で育った人にしか見えないドラマがある。
だから映画は上映される映画館で印象も変わっていく。

横浜ジャックアンドベティで上映をした時、ご高齢のお客様から自分の昭和にけりがついたという手書きの手紙をいただいた。かつて米軍の滑走路だった時代やパンパンが伊勢佐木町を闊歩していた時代の記憶のある方だった。それはきっと横浜の土地に住む人しか持つことのない感想だったはずで。
きっと別府での新しい出会いは、そんな何かをまた生むだろうと想像している。

だからこそ。

自分にできる誠意はご尽力いただいた皆様へのご挨拶と。
その土地に流れる空気そのものを胸一杯に吸うことなのだと思っている。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。