地方創生の取り組み 淡路島(1)
先日、パソナが挺身して取り組んでいる地方創生の現場を訪 問させていただいた。ご存じの方も多いと思うが、場所は淡路 島である。マス媒体やネット情報では、ゴジラやハローキティーの アトラクション施設などが目立っているように感じるが、それらは、 地方創生の側面のごく一部である。パソナの目標は、淡路島で の雇用を1 万人つくり出すことにある。
出発点は、首都圏の一極集中であることや、オフィスワークの 働き方にバリエーションがもっとあっていいという社会問題解決の 視点だ。パソナという会社は、社会の問題を解決することを使命 として掲げている。女性の社会進出を契約社員という形態で、よ りやりやすくしたのが、派遣事業をはじめた原点にあり、女性の 社会復帰のしにくさという、問題の解決を図ったのが原点にある。
淡路島で働く社員には、午前中はオフィスワーク、午後は飲 食店、夕方から劇団での演劇活動をするといったパラレルワーク の社員も数多くいる。働き方には、もっとバリエーションがあった 方がいい。この主張を自分たちがまず実践していることに、その 本気度を感じた。ほかにも、首都圏在住のパソナスタッフと組ん で淡路島から首都圏の仕事をするスタッフ、演劇がメインでオフィ スワークがサブ、月の半分は淡路島など、働き方の選択はさまざ まだ。
1日の淡路島地方創生体験ツアーでは、次の 6カ所をパソナ の社員さんに案内していただいた。 ① ホテル内の元飲食店を改装したオフィス見学 ② ワーケーション施設見学 ③ 公園内アトラクション「ゴジラ」 ④ パソナ直営レストランと演劇ホール⑤ 地方創生の一号店、野島小学校あとの「野島スコーラ」 ⑥ 住宅マンション、オフィス、保育園が一体となった施設
パソナ地方創生・淡路島の全貌とまではいかないが、この 6 カ所から感じたことを、それぞれお伝えさせていただくことで、中 心にあるものと伝えていきたいと思う。
一番目のホテル内の元飲食店を改装したオフィス見学では、 地方創生で重要なストックのフロー化の実践を垣間見ることがで きた。大きな箱、今回は元飲食店であったスペースがストックであ る。前テナントの大型飲食店では収益が出にくかったので撤退。 ほかの利用方法が必要になっていたところを、オフィスにコンバー トして使用している。
二番目もストックのフロー化の実践例である。元かまぼこ工場を、 ワーケーション施設としてコンバートして利用している。大きな窓か ら海が見える仕事場は、仕事とバケーションの融合した空間とし て提供されている。パソナ調べでは、ワーケーションという言葉を 知っている人は 9 割を超えるが、やったことがある人は1割にも 満たないということであった。だからこそ、モデルとなって世の中 に示していきたいのだという。
一番目の施設も二番目の施設も自分たちがまずやってみる。そ して分かったことを世の中に還元していくというパソナ哲学に触 れることができた。多くの地方で、かつての活性化施策で建設 された建物がストックとして残って いる。今必要なのは、残されたハー ド、ストックをフロー化する知恵で ある。3 番目から6 番目も同様だ。
次号に続く。
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