誰もいないのに、明るかった。
祖母の家からの帰り道。電車に揺られていた。車両の中は人一人いなかった。それなのに、笑ってしまうくらいに車両の中は明るくて、反対に窓の外は家の窓から漏れる光すら見えないほど真っ暗だった。窓に映る自分が見えた。これは、どんな顔だろう。どんなことを考えているんだろう。目が合って、首をかしげてみた。相手も同じように首を傾げた。長く、段々小さくなっていく車両の路を見た。本当に、誰もいない。病院の廊下みたいだと思った。ただただ、電車に揺られて、誰もいないのに明るいことに少しの神秘的な印