エッセイ『やがて灰になる』あらすじ 目次

 泥だらけの少年が、宝物を誰にも見つからないところへ隠しに行くように。毎日のように覗き込み、そこにある宝物を見て心躍らせるように。僕は今日もそこへ行く。僕だけが見えるものを見に。
 好きな人の隣で傘を差さなかった日、セミの鳴き声が聞こえなかった夏、季節を見失った一年、初めてお酒を飲んだ日、生焼けのような恋をした三ヶ月。思い出す「日」は年々増え続ける。せめてもと、淡い過去を慈しむ。
 僕たちは、踏み荒らして舞った砂埃を掴まなくてはならない。だって僕らは、やがて灰になる。

※カクヨムにも投稿しています。


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