またひとつ公園が廃止になった。青木島遊園地はNIMBY施設だったのか。
地域住民に愛されていた公園がまたひとつ廃止されました。多くの人たちが利用する場所であり、また、子どもたちが遊びに来る場所でもあったため、廃止に関しては様々な意見が飛び交っていました。
公園廃止は、地域にとって、どのような影響を及ぼすのか、そして、今後の対応策についても注目していきたいと思います。
青木島遊園地
青木島遊園地(あおきじまゆうえんち)は、長野市青木島町大塚にあった公園です。この公園は、2004年に地元区長会の要望に応えて、民有地を借りて整備されました。公園の周辺には小学校、保育園や児童センターなどがあり、子どもたちも含め地域住民の憩いの場となっていました。
しかし、公園の隣に住む高齢男性から「子どもの声がうるさい」や「送迎時の車のエンジン音がうるさい」などと繰り返し苦情が出されたため、長野市は騒音対策や管理などの問題を解決できないとして、2022年に廃止を決めました。
公園廃止に反対する住民や子どもたちも多く、一部住民の意見だけで決定したことに不満を持ち、署名活動や抗議行動も展開しましたが、市は2023年3月に廃止を確定し、2023年4月17日には、土地所有者に返還するための原形復旧(原状回復)工事が始まりました。
子どもの声は騒音か?
子どもが遊んでいる声は、音が大きいこともあります。でも、楽しそうな声を聞いて嬉しくなったり、ほっこりしたりする人もいます。
音の問題には、「騒音問題」と「煩音(はんおん)問題」の2つがあります。騒音とは、音が大きくてうるさいと感じる音のことです。煩音とは、音が大きくなくても人との関係や気持ちでうるさいと感じる音のことです。近所で起こる音のトラブルは、煩音問題が多いです。
騒音問題と煩音問題は違うので、対策も違います。騒音問題の対策は音を小さくすること、つまり防音対策です。でも、煩音問題の対策は防音対策ではなく、相手と仲良くすることです。
NIMBY(住民エゴ)とは
NIMBY(ニンビー)とは、英語の「Not In My Backyard(我が家の裏庭には置かないで)」の頭文字を取った言葉です。公共に必要な施設だと理解しながらも、自分の住む地域に建設されることに反対する住民やその態度を指します。このような現象を「NIMBY症候群」と呼んだり、その対象となる施設を「NIMBY施設」と呼んだりもします。NIMBYは地域エゴや住民エゴとも言われます。
NIMBY施設の例としては、ゴミ焼却処分施設、火葬場、幼稚園、保育園、精神科病院、刑事施設などが挙げられます。これらの施設は、建設されると衛生・環境・騒音などの問題や地域の治安の悪化が懸念されるため、近隣住民から不快感や反発を招きやすいのです。
公園はNIMBY施設か?
公園は緑や花、遊具などを備えた自然豊かな空間で、住民の憩いの場や健康増進に役立つ施設です。公園が近くにあると、景観や環境が向上し、不動産価値も高まります。公園には環境破壊や臭いなどの迷惑要素もありません。したがって、公園はNIMBY施設とは対極にある施設と言えます。
この青木島遊園地の事例では、市は苦情を訴えた住民に対して適切な対策を講じられず 、廃止の決定も利用者や周辺住民に事前に通知せず 、地権者との交渉も透明性を欠きました。一方、苦情を訴えた住民も、市や児童センターなどとコミュニケーションを取ることができず 、他の住民や利用者とも意見交換する機会が少なかったようです。また、利用者や周辺住民も、公園の管理責任を負うことができず 、廃止の経緯も知らされませんでした 。
このように、公園の設置や管理に関わる人々の間にコミュニケーションや合意形成が欠けていたため、青木島遊園地はNIMBY施設として扱われてしまったと言えます。
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