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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#46

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第八章 未来への希望


一人旅の女性

 数日後、リュックを背負った女性がケンのワイン工場のあたりにやってきた。ケンは声をかけなければいけないという使命感を感じ呼び止めた。

「お嬢さん、どこからきたんですか」

「えっ、あたしですか。お嬢さんだなんて恥ずかしいわ」

「いえいえ、立派なお嬢さんですよ、あなたは。黒髪がとても素敵です」

「うふっ、私は日本というアジアにある国から来ました。綺麗な葡萄畑を見たくてここまで来てしまいました。お姉ちゃんも誘ったんですけど、母親の仕事を手伝わないといけないからって断られたんです」

「そうでしたか。お母さんは何の仕事をなさってるのですか。何だか興味本位に聞いているみたいですけど気になりました」

「いいえ、私の目的はこのワイン工場ですから」

「えっ、どういうことですか」

「私の母は、若い頃からフリーのライターで仕事をしている人で、最近は文章などの書き方の講座を開いたり、フランスのワインを紹介する本を書いたりしてるんです。あっ、そうそう、このあたりのワイン工場も母から聞いて知ったんです。もう三十年近く前にこのワイン工場の白ワインをホテルで提供するプランがあって、それに申し込んで味わってから大ファンになったみたいです。何でも、取材のためそのプランに申し込んだ第一号のお客だったらしく、お土産にワインをもらって帰って父と二人で飲んだと言ってました。紹介記事にしたら大反響だったといってました。それから、そこのワインのファンになったんです。そんな話を聞いたら、見たくなっちゃうじゃないですか、ワイン工場と葡萄畑。それで、頑張って一人で来てみたんです。来てみてよかったわ。とっても空気が綺麗で空も綺麗。心も綺麗になるような場所で。何だか前から知っていた場所みたい」

「ありがとうございます。僕は、ケンといいます。父親は日本人なんですよ」

「まぁ、こんなところで日本人の血を引く人と巡り逢えるなんてびっくり」

「良かったら、僕のワイン工場を見学して行きませんか。父と母もいますから良かったら会っていってください」

 女性はたまたま声をかけてくれたのが、そばのワイン工場の主人だと知って目を丸くして驚いていた。


つづく


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