【短編】 道を誤った女 #シロクマ文芸部
青写真を描こうにも、失ったものが多すぎて、青木真美はぼんやりとした時間を過ごしていた。彼女は、デザイナーとして上昇気流に乗ったように活躍してきていたのだが、完全に失速してしまった。
一年前。真美は、不動産投資家の男性と恋に落ちた。出会いはまるで仕組まれたかのようにタイミングが良すぎるものだった。当時、真美は新しいドレスの発表会の場所を探していたのだ。ありきたりのホテルやホールではなく、リモートから画面越しに見ることを想定したファッションショーを意識していた。そのためには