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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#07

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第二章 見知らぬ旅行者


出会い

 ケンは声をかけられ少し驚いていた。警戒することはなかったが、頭の中では混乱しながら返事をしていた。

「えっ、あっ、日本という国から来ました。ケンといいます。世界中を回っているんです。いろんな人に会って話をしたいので。なので、ワインが特別に好きというわけではありません」

「なあんだ。ただの旅行者なのね。てっきり、ワインの仕入れ交渉にきた人かと思っちゃったわ。残念」

「すみません。なんだか期待を裏切ったみたいですね。よかったら、その期待の訳なんか聞かせてもらえませんか。力にはなれそうもないけど、話を聞くことはできますよ」

「あら、意外と積極的なのね。ケン、、だっけ、名前は。じゃあ、私の自慢のワイン工場に行って話でもしましょうか。もう、夕方になるし、何か食べ物も用意してあげるわ」

「うわーっ、ありがとうございます。実はお腹ペコペコだったんです」

「ふふふ、面白い人」

 ケンとメリーは一緒に歩き出した。歩きながら、お互いに自己紹介を兼ねた話で会話が弾んだ。メリーは、数年前に事故で両親を亡くし、今は一人で葡萄畑を維持しワイン工場でワイン作りに励んでいるらしい。もっとも一人で全てはできないので、村のみんなの助けを借りて維持していたようだ。

 メリーが作っているワインは両親が作っていた時ほどの味わいがなくなり、なかなか売れないのだそうだ。どうやら育てている葡萄の甘さに問題があるようだった。ひとりで手入れしている葡萄畑なので甘さを蓄えるために太陽の光以外の栄養が行き届いていないのかもしれない。このままだと、工場も葡萄畑も手放すことになるかもしれないという切羽詰まった状態をメリーは明るく語っていた。普通なら落ち込んで話をしたくないことだろうが、メリーは屈託のない笑顔でケンに話をした。人に話をすることで少しは楽になりたいと思っていたのかもしれない。

 とんでもない状態に陥っているワイン工場にやって来てしまったケン、果たしてこのあとはどうなるのか?


つづく


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