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【エッセイ】過去への電話

 今年は喪中だったため年賀状は少なかった。なので、去年の年賀状がそのままになっていて、そろそろ片付けようと手に取り、一年前の年賀状を懐かしく思いながら見返していると、「ああ、随分長い間、年賀状だけの付き合いになっているな」と感じる方々が何人か目に止まった。私の記憶の中では30年以上前の姿しか記憶にない。きっと今では変わっているのかなぁと思いながら見ていた。

 時計を見たらまだ20:00位、流石にまだ寝てるはずはないと思い、一枚の年賀状を手に取り買いてある電話番号にダイヤルしてみた。そうすると懐かしい声がiPhoneの向こうから聞こえてきた。元気そうなのでホッとすると同時に、今、noteというサイトで活動していることを伝えると、なんと私より前からnoteには投稿していたけれど今はもう休眠状態だということ。だったら、休眠から覚めて私のサイトに遊びにきてくださいと伝えると、電話を切った後に早速訪問してくれ「ゆっくり読むよ」というメールが届いていた。

 この方は、40年近く前にお世話になったお客様だった。私が転職する時も送別会を実施してくれた人たちの一人だった。最も、送別品はウケ狙いの品物だったので周りからは顰蹙ひんしゅくを買っていたことを思い出した。仕事上でも関係が深かったのでよく話もしていた人だった。電話での話は、年寄りになると定番の「健康」についての話題で盛り上がった。やはり、適度な運動をしていないと体はダメになるということを身をもって体験したそうで「毎日の散歩」を勧められた。私も思い当たるので改善しなければと共感し、30分くらいの会話を終了した。

 いきなりの電話でどうなるかと思いつつダイヤルしたが、結果、懐かしい思い出と予期しないnoteでのつながりもでき、なんだかほっこりした気分でベッドに入ることができた。やはり、いろんな人との繋がりっていいなと思い、今のnoteでのつながりにも思いを馳せることができた日だった。

 年々、年賀状の枚数は意図的に減らしているけれど、何らかの形で繋がっていることが前提で無意識のうちに年賀状は減っているように思う。Facebookで繋がっている人にはそこで挨拶すればいいし、メールのやりとりをしている人にはメールすればいい。つながり方によって新年の挨拶を変えることは不自然ではない。しかし、振り返ると、アナログの繋がりが一番心に残るものだと再確認したような気持ちだった。何となく頭の中ではセピア色の思い出の映像が蘇った。

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