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【SS】17.世界は動いている  ※クリエイターフェス

今は新聞の購読をやめている。今のマンションに住むようになった時、新聞は集合の郵便受けまでしか配達されないと聞いたからだ。以前住んでいたマンションでは玄関まで配達されていたので毎日読むのが日課だった。新聞購読をやめてしまってから、ニュースチェックしないと周りで起きていることが把握できなくなる不安が出て、以来ネットニュースやテレビのニュース番組を見るようになっている。そんな環境を、本当に必要なのは何かなと考えながらショートショートにしてみました。お楽しみください。


世界は動いている

 最近は世界情勢より地元のニュースをよく見るようになった。県内の事件やウィルス感染者の状況などだ。しかし、侵略戦争の情勢は気になるので優先的に見るようにはしている。あと、為替と株価のチェックも忘れずにしているかな?

「ねぇ、また事件が起きてるわよ。こんな小さな可愛い子供が行方不明だって」

 妻の声で思わずテレビの画面を見る。私のスマホでは株価のチェック画面が表示されている。ニュースの内容が変わるとまた妻が騒いでいる。

「安倍さんの国葬って、あんまりインパクトなかったわね。反対する人たちのニュースばっかり目立ってあんまり気持ちいいものじゃないわね」

 なるほど、そんな見方もあるなと思い、軽く頷き返した。

 ふと思った。毎日起こるニュースを私は冷静に見ているつもりだったけど、ニュースを提供している側とそれを見ている側では、当たり前だが受け取り方が違ってくるということだ。しかも、提供されるニュースは断片化された情報だ。悪い言い方をすれば「意図して間違った解釈をするような構成」でシナリオが作られニュースとなっている」と受け取れないこともない。

 テレビ各社は「独自の取材で入手した情報によると」ということを当たり前のように前置きして、報道することもしばしば。そのことが悪いわけではないが、事件の場合などは報道による間違った解釈の増長にもつながりそうな気がして怖くなった。

 隣国が何度も弾道ミサイルを発射している。威嚇し牽制するためだと報道される。しかし、万が一日本に着弾した際の対応は発表されない。侵略戦争の情勢もだいぶ少なくなってきたが時折報道される。同じことが日本で起きたらどうするのかという報道はされない。全てを話し合いで解決するまでは国土と国民はじっと我慢し続けるのだろうか。左の頬を打たれたら右の頬を差し出すのだろうか? 釈然としない何かがそこのあるのは確かである。そして、我々はその判断を我々が選んだことになっているはずの政治家に委ねているのである。

 世界は刻一刻と動いている。過去から学ぶことはたくさんあるはずだが、重要なことは未来を無くさないこと。そのためには我々は何をすべきなのかということではないのだろうか。日本の国会で議論されていることが迅速かつ速やかに必要な対応が導き出されているとは到底思えない。

 じゃあ、私に何ができるのかと問われれば、素直に答えるだろう。

「なにもできません」

p.s
警告メッセージが表示されるので直接表現を変えました。



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