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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#20

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第四章 ワインの販路


届いたワイン

 ケンの友人であるキヨシが経営する酒屋にフランスのメリーからワインが届いた。白ワインばかり五十本入っているのを確認し、キヨシは弟のヨウジとともにワインを一本とって試飲してみた。ワインのコルクを抜いた途端に爽やかな香りが漂った。たくさんの太陽を浴びた爽やかさを感じる香りだ。同時に、何かが飛んで行くような錯覚を二人とも覚えた。まるで透明な蝶が羽を広げて飛び去っていったように感じていて不思議そうに消えるまで眺めていた。

「なんだか妖精みたいな感じだったな。ワインを開けた途端に飛び立ったように見えたけど、錯覚だろうな」

「兄さん、僕にもそんな感じに見えたけど、圧縮されていた空気が一気に抜けた時の蜃気楼みたいなもんじゃないのかな。今時妖精なんて言ったら笑われそうだし」

「ああ、まぁ、そうだな。じゃあ、気にするのは良そう。早速飲んでみようか。ケンおすすめのワインを」

 二人とも、気のせいだろうということで自分自身を納得させ、キヨシはコルクを抜いた後ワインボトルから立ち上る香りをそっと鼻に近づけてからボトルを傾け、ワイングラスに注ぎ入れた。トクトクと音を立ててグラスに注ぎ込まれる白ワインの薄い琥珀色が踊りながら満たされていき、とても綺麗な輝きを放っている。

「めちゃくちゃ軽くて飲みやすいワインだな。しかも色もすごく綺麗だ。白ならではの透明な清純さを感じられるな。これは女性をターゲットにすればブームを起こせるかもしれないな」

「兄さん、僕もそう思うよ。さっそくネット広告も検討したいけど、その前に提携しているホテルに売り込みをしてみようか」

「そうだな、関係者の感触をまず確かめたいから、まずは、ホテルに行って支配人と話をしてみよう」

 キヨシは早速ホテルに電話を入れ、ちょっと面白いワインが手に入ったので一緒に確認して宿泊プランに組み込めないかを検討したい旨を伝え、翌日のアポをとった。なんとなくワクワクした気分で兄弟はその日の仕事を終え、次の日に備えることにした。


つづく


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