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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#14

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第三章 奈落の底から


旅立ち

 ケンは、メリーのワイン工場を後にして旅立った。前の日にメリーから聞いた「祖先の呪い」という話を思い出し、歩きながら気になってきていた。明るいうちなら近づいたとしても特に問題はないだろうと思い、山を越えて噂されている方向に行ってみることにした。何しろ徒歩なので時間がかかるが気にしない。いつものことだと思いながら足を進めた。

 結構歩いたつもりだったが思ったより遠い。明るいうちに行けるかと思ったら、とんでもなく遠かった。しかも民家はどこにも見当たらない。仕方ないと思い、その日は一人用のテントを広げてシュラフにくるまって寝ることにした。幸い雨も降ることなく輝く星空が綺麗に見えていた。ランタンを消して寝ようかと思っていたら、昨日聞いていたほんのり明るい光が目に飛び込んできた。気にはなったが、近づかない方がいいと判断してそのままテントに入り込んで眠ってしまった。

 翌日は日の出と共に目が覚めそのまま起きた。朝食もそこそこに、今日は太陽の光があるうちになんとか辿り着いて確認したいと思っていた。広げたキャンプ道具の荷造りをいつもの慣れた手つきで終え、早速歩き出していった。ケンはだいぶ近づいたと思っていたが、残念ながらこの日もそばまで行くことはできなかった。いや、もしかするとほんのりとした灯りは遠ざかっているのかもしれなかったが、そんなことをケンは考えてもいなかった。仕方がないと思い、またしてもテントを張って寝ることにした。持っていた食料もだいぶ少なくなり、明日はなんとかしなければと思いながら、疲れのせいもあり眠りについた。細かいことを気にしない性格は、切羽詰まってもあまり焦ったりすることはない。

 深夜零時を回った頃、なんとなく胸騒ぎがして目が覚めた。ふらふらとテントの外に出て月明かりのない暗い空に輝く綺麗な星を見ながら伸びをしていると、ほんのり明るい光が確実に昨日より近くに感じる気がしていた。向こうから近づいている感じもしたので、ケンは流行る心を落ち着かせながら、明るい光に向かって歩き出していた。ほとんど無意識だった。まるで引き寄せられるかのように、じーっと灯りだけを見ながらしばらく一歩ずつゆっくりと歩いて近づいていった。なぜか、明かりの方も近づいて来ている感覚に襲われた。その瞬間だった。

「うわっ、ま、まずい。落ちる。わーっ」

つづく


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