【SS】山奥の春 #毎週ショートショートnote
お題:雪解けアルペジオ/タイトル:山奥の春|
厳しい冬も過ぎ去り暖かい日差しが心地いい。ここは山奥の清流が湧き出ているところだ。人が訪れることはほとんどない。春の日差しを感じ取った森の動物たちがやってきて喉の渇きを潤している。人工物もなければ人工音もない。澄み切った空気の中で、自然のリズムだけが奏でられている。自然が作り出した音楽がそこにはあった。
安心しきった動物たちは、自然の音楽に身を委ねている。冬のなごりを残す雪を避けながら、大地から芽吹き始めている新しい命を喰みながら、ゴロンとなって寛いでいる。天敵もいないのだろう。春の日差しを体全体で楽しんでいるようだ。
小さな源流である小川は、少しずつリズミカルな音を奏でながら、覆われた雪を溶かし始めた。雪が溶けるにつれ水の流れはスムーズになり、奏でる音もテンポが速くなる。それは、ゆっくりと流れる水がアルペジオで演奏されているギターのような音だったのが、スリーフィンガーでテンポよく響き渡る曲に変わったようだった。
410文字
あとがき
若かりしころ、必死になってスリーフィンガーを練習したことを思い出しました。アルペジオも好きでしたが、リズミカルなスリーフィンガー演奏に憧れてましたね。もう、五十年も前の思い出です。
以下の募集への参加です。 (毎回ムズイお題に悩まされてます)
出題日 4月22日
お題 春ギター
裏お題 雪解けアルペジオ
先週のお題に対するSS
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