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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#34

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第六章 時の流れと共に


十八年後

 月日が流れるのは早い。ケンが生まれてからすでに十八年が経過し、ケンは立派な青年に育っていた。家の手伝いも率先して実施するようになっていた。ワイン工場も一回り以上大きくなり、葡萄畑も土地も追加して広くなっていた。それに比例して出荷量も二十万本にまで膨らみ、経済的な余裕も生まれていた。日本の酒屋は弟のヨウジが切り盛りしていたが、酒屋の方も順調に大きくなり、特にインターネット経由の取引が急速に増加し、年商も十億円近くにまでに達していた。兄弟共に順調な成長を遂げ、フランスでのワイン生産と日本の酒屋からの販売というビジネスは盤石なものとなってお互いに幸せを噛み締めていた。この頃には友人だったケンの話も出なくなり、キヨシとメリーの記憶からも忘れ去られようとしていた。そんなある日、息子のケンが両親であるキヨシとメリーのところに話にやって来た。

「お父さん、お母さん、そろそろ周りの土地を散策してくるよ。もっと葡萄も増やせればもっともっとワインを作れるようになるだろう。それにはもっと畑が必要だ。まず山の向こうを確認してくるよ。もしかしたら、手付かずの畑もまだあるかもしれないし。この村から一歩も出たことがないから、そろそろ外の景色を見てみたいんだ」

「おお、そうか。もうそんなことを考えてくれるようになったか。じゃあ、寝泊まりができるような荷物を持って、そうだなぁ、ひとりで一週間くらいの旅をして来なさい。一応、念のために携帯と充電用バッテリーは持っていくんだぞ。ソーラーで充電できるものを持っていくがいいよ」

「わかった。ちゃんと毎日電話はするから大丈夫だよ」

 一人で行動するようになったんだという喜びとともに、キヨシとメリーは息子ケンを送り出した。田舎で育っていてここから一歩も出ずに育っているから、少しは周りを知るのは悪くないなと思って送り出したのだ。もちろん、何が起こるかわからないので心配ではあったが、ケンが望んでいるということと、そろそろ独り立ちの準備をした方がいいなとキヨシは考えていたのだ。

「一人で旅をさせられる年になったんだな。早いものだ。これからは自分の道を自分で切り開ける男として成長してほしいものだ。なぁ、メリー」

「そうね。ちょっと寂しい気もするけど、それがあの子のためよね。もしかすると時期としては遅いくらいかもしれないわね。見守りましょうね」


つづく


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