楽譜を読む際の工夫(楽譜ガン見を脱却するには)

久々の雑談。楽譜はページめくりが必要だ。

無限スクロールタイプならいいが、そうでなかったり、紙だったりするとめくらなければならない。この時、めくった先の音符をきちんと歌うためには、その音に到達する前に音符を読み終わっている必要がある

つまり、次のページの最初の小節に入るまさにその瞬間に楽譜をめくっていては遅い。前のページの最後の小節を演奏している時にめくる必要がある。最後の小節を演奏するにはこの小節を読んでおく必要があるが、演奏している最中にページをめくってしまうので、その小節はさらに1小節前で読んでおく必要がある。

結局、常に今演奏している小節の次の小節を読みながら演奏することになる。これは器楽でも声楽でも共通である。コンピュータの世界でいうパイプライン処理である(分かんねーよ)。これは意識的に訓練しないとおそらくできるようにならない。つまり、私はそういう訓練を自らしてきた、ということである。

これは何も音楽に限らず、朗読・アフレコなど、原稿のある音声表現ならみな同じだろう。

面倒なのは繰り返しである。タブレットの場合はジャンプボタンで飛べるが、紙の時は指を挟んでおくとか、付箋を貼っておくとかしていた。繰り返してD.S.してCodaなんか最悪である。その場合、付箋は上から順序よくずらして貼る。

1小節先読みしていれば繰り返しも問題なく飛べる理屈だが、ページめくりと違って飛び先のページの最初の小節に飛ぶとは限らない。ページをめくったあとに飛び先を探す作業が必要になる。これに時間がかかると結局間に合わない。

だから、飛び先にこれでもか、とグリグリと赤丸を付けたり、飛んだ先がややこしい場合は飛ぶ前のページに最初の小節を書いておいたりもする。これはページめくりで使っても効果的である。

最初の方で書いたように、声楽には歌詞があるため、まず音符を読んで、歌詞を見て、リズムに歌詞を当てはめるところまで頭の中で事前に済ませる必要がある。それをパイプラインの次の段に送ると、指令通りに自動で演奏されてるイメージで、自動で演奏しながら次の小節の処理を始めるわけだ。

演奏しながら次の1小節を頭に詰め込んだら、楽譜から目を離す訓練もする。目を離してどこを見るかといえば、指揮者やお客さんである。コンピュータでいうとキャッシュしておく感じか(だから分からねーよ)。

吹奏楽の場合、パート譜は休符がまとめられた形で書かれているので、よくできたパート譜は譜めくりが必要な場所は休符になっていることが多い。ラッパは片手で吹けるので休符がなくても大丈夫だが、トロンボーンや木管楽器は両手じゃないと演奏できないので、休符は必須である。そして、書き込みのために原譜をコピーしてクリアファイルに入れる時に見開きが左右が逆になってしまい、演奏するときに困るわけだ。

吹奏楽は歌詞もないので、あとは指揮者を見られるかどうかだが、私は近眼でラッパの向こうに楽譜を置いてしまうと読めなくなってしまうので、楽譜を正面からずらして少し手前に置いていた。そして、目では楽譜を追いながら、視野の片隅に指揮者を入れて吹く、ということをやっていた。これも訓練次第でできるようになる。

人間の視野というのは意外と広くて、両目なら左右方向は180度を超える。慣れておくと乳児の動きを常に視野の片隅で見ながら作業とか、混雑してる駅で人の流れを見切って歩くとか、日常生活でも意外と便利に使える(ホンマかいな…)。

rit.やaccel.の場合、絶対に指揮者を見ないといけない。指揮者がいないような小編成のアンサンブルの場合は、誰かがテンポ出しをしているはずだし、フレーズの頭がそろうパート同士で意思疎通することもあるから、楽譜を先読みして周りを見られるようにするのはとても大事なことである。

楽譜から目を離すと楽譜に目を戻したときにどこを演奏しているか分からなくなる時がある。長い間目を離せば離すほど見失う確率が上がるので、個人的には1小節ごとに指揮を見て、楽譜に戻るようにしている。

まぁ、とりあえず、楽譜をガン見していたらいい演奏はできない、ということである。

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