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【プリンをつくる美容室】女性の働きやすさにこだわる理由について

 O.N.G株式会社は「女性が輝くステージをつくり続ける」ことを理念に掲げています。今回のnoteでは、そのために行っている具体的な取り組みと、思いについて説明したいと思います。

なぜみんな美容師を辞めてしまうのだろう

 取り組みについて共有する前に、一般的な美容師の仕事についてお話します。
 働いたことがない方にはイメージがわきづらいかもしれませんが、美容師の仕事は非常に激務です。以下では私が美容師になった時に感じた業界の負の体質を並べました。
 業界も少しずつ良い方向に変わってきていると思いますが、まだまだ多くの美容室がこういった厳しい環境の中で営業をおこなっています。

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●「勤務時間が長い」
 
1日の営業時間は、10時間以上のお店が当たり前です。さらに、営業時間の前と後に練習をすることも当たり前。私の20代の時は、9時に来て終電間際までサロンにいるのが一般的でした。男性も女性も関係ありませんでした。

●「休みを自由に取れない」
 
一般的な会社員と異なり、土日休みではありません。そうなると、友達の結婚式なども断らざるを得なくなります。冠婚葬祭すべてに顔を出せないので、とにかく友達が減ります。

●「給料がすくない」
 月20万円以下の給料で働いている方がたくさんいます。特にアシスタント時代は薄給で、その中で練習用のウィッグを自費で購入させられるお店もあります。私の下積み時代は、時給換算すると最低賃金を余裕で割っていたと思います。

●「肉体労働である」
 勤務時間の長さに加えて、常に立ちっぱなしの肉体労働でもあります。手荒れなどの問題もつきまといます。
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 他にもたくさんありますが、思いつく負の側面を並べて見ました。これだけでも普通の企業の基準で考えれば、“ブラック”な体質と言えるのではないでしょうか。
 事実として、厚生労働省の調査によると、美容師の離職率は1年目が30%、2年目が44%、3年目が56%で、他業種よりも圧倒的に高いそうです。当然ですよね。

 さらにこれらの負の側面に加えて、女性にはさらに大きな難題が降りかかります。それが出産と育児です。

女性美容師を守りたいと思ったきっかけ

 ただでさえ激務なのに、妊娠や育児をしながら働くなんて至難の業です。
 私が以前に働いていた美容室では、主婦の方が「子どもが具合が悪いので休みます」とか、「幼稚園に迎えに行くので早く帰ります」ということを言い出せない雰囲気すらありました。みんなが過酷な環境で働いているので、誰かを支える余裕がないのです。
 さらに妊娠中の方がつわりの影響で気持ちわるくて休んでいても、「なんで休んでるの?」と嫌な目をされてしまう。そんな環境で、楽しく働き続けることは不可能ではないでしょうか。

 こうしたママ美容師への待遇の悪さを心の底から痛感したのは、自分の奥さんの妊娠がきっかけでした。私と嫁は、前職のサロンで出会い、別々の店舗で働いていた時に子供を授かりました。
 奥さんは私から見ても、そのサロンの人気者で愛されていましたが、それでも妊娠については、周りに引け目を感じていました。つわりで気持ち悪くなっても、「横になりたい」と気軽に言えない。結局、体が耐えられなくなってしまって、サロンを辞める選択をしました。  
 彼女は苦しみを口にだすタイプではないので、言葉にはしませんでしたが、その頃は辛くて生きづらかっただろうと思います。奥さんはやっとスタイリストになったばかりで仕事を愛していたのに、妊娠をきっかけに働けなくなってしまった。そんなエピソードは奥さんだけでなく、私が働いていたサロンでも知り合いのサロンでも頻繁に起こっていて、本当にこの業界は、女性の権利が守られていないのだと感じました。

 その後、私は独立をして、経営者としてお店を持ちました。5年目をむかえた時に、創業期から長く会社を支えてくれていた女性メンバーが妊娠をしたのです。
 かつての奥さんと同じ状況に、自分の社員がなった。その時に、女性が生き生きと働ける環境を、絶対につくらなくてはいけないと本気で思いました。経営者として、彼女たちの権利を何としても守ってあげようと思ったのです。

仕組みを変えて、働きやすい環境をつくる

 ではどうすれば出産、育児をしながらでも美容師を続けられることができるのか。考えた末に全ての仕組みを変えることにしました。
 ママ美容師だけを優遇しても、あまり効果がないのです。みんなが余裕を持って働くことで、はじめて仲間を思いやる空気感も生まれる。だから全員が働きやすい環境をつくることにしました。

O.N.Gでおこなった改革は、以下になります。

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●「勤務時間が長い」→「自由出社にする」
 
一日◯時間働くという固定観念を取っ払い、好きな時間に来て好きな時間に帰れる自由出社にしました。
 この自由出社への変更は、雇い主からすると大きな決断です。借りているお店の家賃は変わらないので、経営目線では長い時間働いてもらった方が、当然元を取れます。でもそんなことはどうでもいいことだと、度外視しました。それよりも働く女性の権利を守りたいと思いました。

●「休みを自由に取れない」→「週休3日や土日休みも自由に」
 勤務時間だけでなく休みも自由に取れるようにしました。週休を3日にしても構いませんし、土日祝日の冠婚葬祭への参加も「どうぞ行って来てください」と伝えています。好きなアーティストのライブに行くのももちろんOK。家族旅行に行く人もいますし、週末に資格の試験を受ける人もいます。これも採算は度外視です。

●「給料がすくない」→「頑張ったぶん、稼げる給与形態に」
 業界でも一早くに、固定プラス歩合の給料の仕組みを導入しました。どんな人でも固定で最低ラインの賃金は保証しつつ、頑張れば頑張ったぶんだけ、さらに給料が上乗せされます。O.N.Gで働くママさん美容師の中には、時給2200円を超えている方もいます。

「肉体労働である」→「美容師以外の仕事も社内に用意する」
 これは次回のnoteに詳しく記そうと思いますが、事業を多角化しているのは、立ち仕事ができなくなったスタッフのためでもあります。美容師以外の仕事の機会を増やすことで、社員たちの肉体的負担を取り除いています。

●その他 →「社内の福利厚生を充実させ、託児所とも契約する」
 O.N.Gはパートタイムでも、社会保険や雇用保険に入れるようにしています。これにより産休や育休にはいるスタッフは、出産手当や育休手当を受けることができます。
 また託児所とも契約して、子どもを預けられる場所も確保しました。川口店にいたっては自分たちの美容室の中に託児所を設けています。
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出産後も、戻ってこられる職場

 こうした改革が実を結んだのかO.N.Gでは、美容師の離職率はここ何年も0%です。出産、育児を経験してから戻ってくるスタッフは何人もいますし、子育てをしながらでも彼女たちはみな生き生きと働いてくれています。

 こうした制度を生み出すきっかけとなった、創業期からの女性メンバーもその後2人目の子どもを産み、それでも子育てをしながら働き続けてくれました。今は旦那さんの仕事の都合で引っ越すことになり退職しましたが、彼女のような人材が出産後も戻ってこられる環境をつくれたことは本当に良かったと思っています。

 O.N.Gは、「女性が輝くステージをつくり続ける」会社だと冒頭に説明しました。そうした理念をかかげるのは、ブラックな体質の業界の中でも、とりわけ出産、育児を経験する女性の負担が圧倒的に大きいことを認識しているからです。
 逆に言えば、妊娠中、育児中の女性でも生き生きと働き続けられる美容室は、どんな人でも働きやすい環境です。現にO.N.Gは、男性スタッフもみな生き生きと働いてくれています。

 妊娠や出産というのは、本来なら喜ばしい出来事なのに、美容師の世界ではそれを申し訳なく感じる人がいます。育児をしながら働くことを周りに迷惑をかけていると思ってしまう方もいます。
 O.N.Gは、そんな女性たちの受け皿となり、楽しく生き生きと働ける環境であり続けたい。だからこそ「女性が輝くステージをつくり続ける」という理念を掲げているのです。