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聞くことは感じること。〜聞いてるときのアタマの中 vol.1

聞いてるときのアタマの中 vol.1
〜Cranberry Moon きよぴぃさん〜

「さぁ、なにから話しますか?」

慣れないインタビューを笑顔で先導してくれたのは、ライフスピリチュアリスト・Cranberry Moonのきよぴぃさん。

彼女との出会いは約10年前。札幌のコミュニティFMでした。
当時パーソナリティだったきよぴぃさんの番組に、私が出演してからの友人です。

きよぴぃさんの今の生業は「占い師」。
日々、全国からの相談や悩みを「聞いて」いる時のアタマの中を、特別に覗かせてもらいました。

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この企画は、ひよっこライターの私、ゆきが独断で選んだ「聞き上手」な方々に、「聞いてる時のアタマの中」についてインタビューします。
テーマは「テクニック」や「コツ」ではなく、その人にとっての「聞く」そのものを掘り下げること。
聞き下手な私のための企画ですが、同時に、コミュニケーションに苦手意識を持っている人へのヒントになったら嬉しいな、という思いからはじめました。
インタビューをとおして、私の周りにいる素敵な人たちの紹介もさせてください。


話すことでは勝負ができない。
だったら聞き上手になろうと思った。


きよぴぃ:今日のテーマは「聞く」だよね? 

ゆき:はい。よろしくお願いします。

きよぴぃ:私はね、まず話すことが苦手な人だったの。

ゆき:え! ラジオのパーソナリティーやってたじゃないですか。

きよぴぃ:そこなんです。笑 まぁ、ラジオの話はあとでするとして。
20歳の頃、2回目の就職先がコールセンターで。そこで思ったのが「私、うまく喋れないな」ってこと。直属の先輩が物凄く話上手な人だったから。

通販の注文と問い合わせの業務で、しばらくするとセールスも任せられて。でもそのセールスが、どうしても出来なかった。商品の知識はあって説明はできるんだけど、どう売り込めばいいのか分からなかった。そして隣には、めちゃくちゃ喋りのたつ先輩がいる、という。

それでもう、私は「話す」ことでは勝負できないなって思って。
でも、その前の就職先を3ヶ月で辞めていたから、もう失敗したくなかった。「ここで辞めちゃダメだ」って思ってね。だから「聞き上手になろう」って決めたの。
話せないんだったら、お客さんの話をしっかり聞いて、理解して、その人が求めていることを言おう、って。

ゆき:すごい。そこで方向転換できるのが。

きよぴぃ:負けず嫌いな性格が出たんだよ。笑
そうしてとにかく「しっかり聞く」ってことを続けていったら、だんだん話を聞きながら、内容をタイピング出来る様になった。聞きながら入力することで、よりお客さんの言っていることが理解出来るようになったの。

入力した文字を聞きながら画面で見て、また入力して、見て……ということを繰り返していくうちに、お客さんが求めていることに対して、話が出来る様になってきた。

ゆき:自分を介することで、より理解できた。

きよぴぃ:そう。これってインプットとアウトプットを瞬時にやっている、ということなんだよね。パソコンが好きで、タイピングが得意だったから。
自分の得意な「入力する」事と、「聞く」を突き詰めてやっていったら、いつの間にか苦手だったセールスが出来る様になってた。

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脳みそを「分割」して聞いている


きよぴぃ:「聞きながら入力する」っていうのは、「脳みそが分割されてる」んだよね。聞いている言葉を入力する脳と、その言葉を見て理解する脳と。
聞いて入力している最中は話すことは出来ないけれど、自分の頭の中を分割することで、相手の話がより理解できた。

ゆき:聞いてる最中は「入力するために」聞き逃さないぞ、と思って聞くんですか?

きよぴぃ:最初はそう。でも、だんだんと入力しなくても相手が求める言葉を言えるようになった。

「聞く」ってことは、「話す」にも繋がるんだな、って思ったね。

例えばラジオもそう。私は話上手なパーソナリティーじゃなかったけど、ゲストを呼んで紹介する、っていうことは得意だったの。
なぜかというと、まず事前にゲストさんのことをしっかり調べる。そして当日ゲストさんが「何を一番言いたいのか」ということを汲み取って話す、ということをずっと続けてきたから。

何よりも「ゲストさんを立たせたい」「この人の魅力を引き出したい」と思ってパーソナリティーをやってきたんだよね。
それは今の占いもそう。相談者の方がメインだと思ってる。


はじまりは、カードの「一目惚れ」


ゆき:占いの話になったので……。
きよぴぃさんが今の仕事をすることになったきっかけというか、経緯を教えていただけますか。

きよぴぃ:きっかけっていうきっかけはねぇ……ないんですよ。

ゆき:あ、ない?

きよぴぃ:占いってもの自体、子どもの頃から常にそばにある物だったから。
自分でも気がつかないくらい、自然と自分の中に入ってきたの。小学校の時にはすでにタロットカードを持ってたんだよ。

ゆき:小学生! それからずっと続けていたんですか。

きよぴぃ:それが小学生で飽きちゃって。
でも、どの年代であっても占いは側にあったかな。占い師さんの友達がいたり、色んな人に占ってもらったり。
でも31歳頃からコミュニティFMのパーソナリティをやってたから、「また自分で占いをやろう」とは思わなかったんだよね。

コミュニティFMから離れることになった時に、ある占い師さんが「きよぴぃさんもカード持ってみたらいいのに」って言ってくれて。その言葉にピンときて、やってみようかな、と思ったのが始まりかな。

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きよぴぃ:それでカードを探しに、関連のお店に何度か足を運んでいたら「このカードを使いたい」っていうものを見つけたの。でも、売り切れで。店員さんから似たカードを勧められたんだけど、どうしても諦められなかった。

ゆき:何が他のカードと違ったんですか?

きよぴぃ:何かは分からないんだけど「絶対これ」って思ったんだよね。売り切れで入荷未定だったんだけど、「それでもこれがいいんです」って店員さんにも伝えて。そうしたら半年後に入荷して。

使い出したら、めちゃくちゃ相性が良かった。初めて持ったのに、カードの説明書がなくてもガンガン読めた。カードに一目惚れだからかな。それが今使っているカード。


カードの意味は、「考える」のではなく「感じる」。

ゆき:あの……カードが「読める」っていうのは、どういうことなんでしょう。

きよぴぃ:カードそれぞれに名前があって、絵柄によって意味が違うんだよね。その絵柄から伝わってくるものが、説明書を読まなくても分かった。あ、こういう意味なんだ、って。そのあと説明書を読んでも、大体合ってたの。カードの絵柄から意味を感じ取れた。

ゆき:「考える」のではなく、「感じる」。

きよぴぃ:そう、「感じる」。
その後は、SNSとかインターネットで知らない人も含めて「無料で読ませて」とお願いして。カードの説明書を読み込んで、アウトプットすることでさらに理解を深めていったの。
リーディングが100回を超えた後からはお代をいただいて、今まで続けてきた、という感じかな。

ゆき:そのカードって、全部で何枚あるんですか?

きよぴぃ:私が使っているカードは65枚。もう一つ、違う種類のカードも使っていて、それも同じく65枚だから……全部で130枚。絵柄を見ただけで意味がわかる。
どちらも同じ作者のカードで、その人のカードだから頭に入ってくるんだと思う。

ゆき:その、「絵柄を見たら意味が分かる」っていうのが……ちょっと分からなくて。カードの絵柄と書いてある情報で「理解する」のではなく、意味を「感じとる」って、どういうことなんでしょうか。

きよぴぃ:私は多分、アートと一緒だと思ってる。絵画を見て、伝わってくるものを感じるのと同じ。あとは、音楽もそう。言葉が分からなくても、歌ってる声やメロディで悲しいとか楽しいとかが分かるじゃない。だから占いとアートとエンタメって似ているところがあるなって思ってるよ。


「ただその人を感じる」=きく。

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ゆき:占いって聞くことはもちろん、話す力も必要だと思うんですが。「聞く」と「話す」ってセットでしょうか。

きよぴぃ:私はセットだと思ってるよ。「聞く」ができるなら「話す」もできる。

ゆき:つまり、話上手な人は、聞き上手でもある?

きよぴぃ:うーん、流暢に話せる人でも、実は自分の主張だけを言っているってことがあるんだよ。それは「話し上手」ではないって思ってる。
聞く方も聞いているようで聞いていない、聞き流してるだけ、っていうのは「聞き上手」ではない。

ゆき:なるほど。

きよぴぃ:ただ、相談者さんの話を聞くときは、「一言一句聞き逃さないぞ」というよりは「この人は何を言いたいのか」っていうポイントを掴むようにしてる。実は100%は聞いてないんだよね、聞くっていっても。
最初は100%聞こうとしたし、一言一句聞くようにしてたんだけど。そのうち、疲れるなって思って。笑

ゆき:確かに疲れる。笑 その、「ポイントを押さえる」とは?

きよぴぃ:何を言いたいか、聞きながら「感じて」いくってことかな。だんだん同じような言葉になってきたな、とか、こういうことを言ってるんだな、って「感じる」こと。

ゆき:「感じる」。カードと同じですね。

きよぴぃ:うん。カードと一緒。だって考えてたら疲れるから。笑

ゆき:はい。疲れます。笑

きよぴぃ:聞いてるときは、頭であんまり考えてないかな。考えすぎても分からなくなってくるから。
聞いてる時に話す言葉も考えてないし。感じたままを言っている、っていうのが正しいかもしれない。

ゆき:「こういうことを言っているから、こう返そう」と考えるのではなく。ただただ、その人を「感じる」。

きよぴぃ:そう、イコール「聞く」ってこと。

ゆき:それは、新しい。私にとって、新しい「聞く」です。

きよぴぃ:占いをする時も、「当てよう」とは思ってなくて、「その人に合ったものを探す」というか……やっぱり「感じる」なんだよ。


占い師はアーティストであり、エンターテイナーである。

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ゆき:最後に。今後こうなっていきたいな、っていうのは。

きよぴぃ:とりあえず、もっともっと色んな人と会って、色んな人にカードリーディングをやってみたい。

ゆき:まだまだですか。

きよぴぃ:今年で7年目だけど、もっとやりたい。私はカードの種類もそんなに多い方じゃないと思うんだけど、もっとなんか出来ないかなって思ってる。私の今のカードは型にハマらないから、色んな方法を試してみたいんだよね。

ゆき:カードとの出会いの話もそうですけど、日頃から感性を磨いていないと出来ないことだなって思いました。

きよぴぃ:「カード」って考えるとイメージが湧きにくいけど、音楽に置き換えたら分かるかも。パッと聞いた時に「あ、いいな」ってなるでしょ。それと同じ。

ゆき:確かに。音楽は最初のワンフレーズで好きかどうか分かります。そういう感じか。

きよぴぃ:私は表現活動をやっているわけじゃないけど、感覚的には、占い師ってエンターテイナーに近いなって思ってる。
音楽も作詞のために言葉を学ぶし、絵だって描き方を勉強するだろうし、感じたことをアウトプットするっていう部分では同じかなって。

これからは、自分の独自のスタイルを見つけたい。忘れられない、また会いたい、って相談してくれた人が思ってくれたら嬉しいな。


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